前回は、『「受けることができる権利」の要件3点セット』について、お話ししました。
今日は、いつもとはちょっと変更して、「今後の制度改正の方向性~厚生労働省・年金部会から~」について、お話しします。
7月28日に厚生労働省で第6回社会保障審議会年金部会が開催され、その資料等が公表されています。
mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_230728.html
今回は遺族年金制度やと加給年金制度について話し合われました。
テーマは、「現在の制度では、妻は専業主婦あるという前提から、夫が死亡した際を想定しているこれらの制度等が、時代にそぐわないのではないか?」ことでした。
ここからはざっくりとお話しします。。。
現在、政府の方針は、労働人口の減少の問題から、「働ける人は働いてよ!」という方向性となっています。
『専業主婦も難病や障害者も、高齢者も、みんな働いて国を支えてもらおう。
その代わりに、パートでも厚生年金がもらえるよ!
だから、もう遺族年金とか税金の配偶者控除は要らないんだ。
仮に、遺族年金が要るとしても、ずっと亡くなるまでもらえるという現在の制度はやめて、もらえる期限を決めよう!
ただし、旦那さんが亡くなったりしたときには、みんなショックで働けないだろうから、その間は年金で支えてあげる必要があるかも。。。
そうすると、ショックで手に付かないのは別にお金のあるなしに関わりないことだから、不公平のないように現在ある所得制限はもうなしにしよう!
それぞれ元々の生活レベルが違うものを、同じ収入額で比較することが正しいのかどうか?
そして、数年前に妻だけではなく、夫も遺族基礎年金をもらえるようになった。
それなら、別に法的に婚姻関係にないけど、同性婚の人たちにももらえるようにしよう。』
というような内容です。
ところで、この審議会の前回6月26日の審議会の議題には「障害年金」のことが含まれていました。
現在の審議の内容には直接的には関わりないことですが、ここで終了後に委員の方から、『来年度の「社会保障審議会年金部会」で審議される「障害年金制度の改正」』について、意見を述べられています。
その論点は、現在、よく障害年金の申請の際により取り沙汰されている「障害年金受給と就労との関係」についてです。
ざっくり申し上げますと、現在、私もよく相談されるのですが、「働いていると障害年金はもらえないのですか?」とよく尋ねられますし、このブログの中でも何度かお話ししてきました。
まず、現行の制度では、
「働いていると原則としてもらえない。でも、例外としてもらえる場合もあるよ!」
ということになっています。
このことを次回改正の際には、『「働いていること+障害年金の受給」をセットにするように改正し、「いつまでも働かないで障害年金をずっともらえるわけはない」とハッキリしよう』というものです。
これは言い換えると、「働くことを前提として障害年金をもらえるようにして、その障害年金の障害等級などの中身を見直していこう」ということです。
来年度の審議ということで、今後また社会情勢が変動すればその内容も当然、変わることでしょう。
ただ、
1.「障害年金や遺族年金などもずっといつまでももらえる制度ではなくなる」ということ。
2.「どんな人も例外なく、みんなが働いて社会を支えていくように世の中は進んでいく」ということ。
を前提として審議されるのはまず間違いないということです。
現に、障害年金には有期認定と永久認定があります。
更新があるのかないのかによる区別ですが、これも段々と「永久認定であったものが有期認定に変わっていく傾向」にあります。
このように、時代は人手不足から「働ける人は働いてもらおう」となり、働ける人は「頑張って保険料や税金を払ってもらおう」というようになってきています。
整理をします。
1.これからの世の中は働くことをまず先に考えていく世界になること。
2.それは人手不足から経済やいろいろなことが麻痺し、社会が成り立たないことからであること。
3.社会を存続させるためには、政府もどうしても強行的にやらざるをえないものであること。
このようなことなどを前提として、年金制度もまた他の制度も変化していきます。
「もう甘い顔をしている余裕は政府にもない。」
こう言えば「また暗いことを」と思われる人もいるでしょう。
でも、私が相談された中でも多かったのが、「働いていると障害年金をもらえないのですか?」ということでした。
これからは、真面目にできるだけ働きたいと思う人、昔のかつての私もそうでしたが、そういう方はもうこのことで悩まずにすむことになります。
「働ける現在の状態に応じて障害等級は決定されるし、障害年金がもらうことができる!」
これがこれからの年金制度の改正におけるベースとなります!
大きな社会変革がある今日、私たちはこのようなことを頭の中に入れておき、
『まず、「世の中はどのように進もうとしているのか?」ということをよく見極めた上で、次に「自分が進むべき針路を間違わないように舵を取る」こと』
こそが大切であると私は思います。
それは、「大きな嵐の中で舵取りを間違えると、船は転覆してしまう」からに他ならないからです。
弊所、「ライトハウス社会保険労務士事務所」の「ライトハウス」は「灯台」という意味です。
みなさんが人生の航海を乗り切るために、微力ですが、私はみなさんのお手伝いをさせていただこうと、事務所を名付けました。
「嵐の日があっても灯台の灯りが見えたなら」
暗い夜の海で灯台に灯りを点し続けるために、ライトハウス社会保険労務士事務所は今後も頑張って参ります🙇
以上、今日は「今後の制度改正の方向性~厚生労働省・年金部会から~」についてでした。🙇
それではまた木曜日にお会いしましょう~🙋
(続く)