前回は、「今後の制度改正の方向性~厚生労働省・年金部会から~」について、お話ししました。
ちょっと関心がおありの方が多かったようなので、ちょっと驚きました。。。
そこで、今日は前回に続いて、「今後の制度改正の方向性~厚生労働省・年金部会から~②」として、私の本業の方の、障害年金に関して現時点での動向について、お話しします。
6月26日に厚生労働省で第5回社会保障審議会年金部会が開催され,こちらは議事録が公開されています。⬇
第5回社会保障審議会年金部会 議事録|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
この中には審議された内容がいろいろと出て参ります。
基本事項でも読む返すと、私も「良いことだなあ!」感じる部分もあります。
例えば、「事務局」からの説明では、
1.障害年金は、日常生活能力あるいは労働能力が制限される障害状態になった場合に、生活の安定を図るための給付であること。
2.1に加えて、通常は加齢に伴って起こる稼得能力の喪失が現役期に早期に到来することにより、そういった保険事故の発生に対する一定の所得保障を行うという考え方をとっているということ。(老齢、遺族についても共通)
3.「20歳前の障害基礎年金」について20歳前に初診日がある場合で、20歳時点で障害状態にあれば支給される障害基礎年金。所得制限がある障害年金はこれが唯一であること。
4.老齢年金との一体的な運営という考え方のもと、2級が老齢年金の満額と同額となっていること。
5.加えて、1級については、介護や日常生活費用がかかるという考え方から、制度発足当初より1.25倍の額になっていること。
6.等級の考え方について1級、2級については、日常生活の活動の制約の度合いに着目して、障害厚生年金のみがある3級については、労働能力の喪失に着目しているという違いがあること。
等、私も障害年金申請代行業務を専門としていながら、「さすがに研究者の先生は深みが違うなあ!」と思いました。
また、次に審議の中では重要なこととして、この学会にいる研究者として2人の先生から、次のような発言がなされました。
1.就労支援との連携を図ることが、とても大切であるということ。
2.実際に障害者の支援をされている方にヒアリングなどをさせていただいて、よく聞くことは、
「障害を持って、働いて、何がしかの収入を得て、自立に近づいていけることが、ものすごくその人に生きる力を与えていく、目の光が変わったり、発言が変わったりすることがよくある」と伺っている。
そうやって社会参加を促してみんなで支えていく世の中をつくるという観点で、とても大切だと思ったこと。
3.2と同様の意味合いから、基礎年金の3級の創設のことを含め、被用者が1号になっていることを考え、より軽い障害でも年金が支給されることによって、自分の収入と合わせ自立に近づいていけることを促すという点において、緩やかに就労につながっていく仕組みを今後取り入れていけたら良いのではないかということ。
等。
これらのことは来年度以降に審議されていき、次回改正において反映される見込みです。
「働き方改革」から始まり、DX化による問題、脱炭素の問題、そしてロシアとウクライナのことであらためて考えさされた地政学的な問題等。
今、日本は戦後から大きく変わってこなかった制度を、根本的に見直す時期にさしかかっていると思われます。
日本を「家」にたとえれば、
『新築の頃は確かにきれいで立派なお家でした。。。
みんなから賞賛もされました。
それから約80年。
途中で何度もリフォームして気を付けてきました。
本当に大切にしてきたつもりです。
でも、賑やかだった我が家もお爺ちゃん、お婆ちゃんは他界し、小さな子供たちはみんな大きくなって家から出て行き、今は私と奥さんだけです。。。
大きな総二階のお家も年を取ってきた私たち夫婦には広すぎるし、また足腰も弱ってきて2階の部屋はほとんど使わなくなりました。
生活している1階も私たちがこれから老後を過ごすためには、廊下に手すりや、また場合によると廊下を車椅子で移動することも考えなくてはなりません。
しかしながら、廊下はその昔、新築した当時の標準である90センチ幅となっていて、車椅子が通るには最低110センチほどは必要です。
間取りも部屋数よりも、二人がお互いに確認できるように広い見渡しの良い部屋の方が、もしもの際には助かります。』
このように、家族の状況、生活様式の移り変わり等、いろいろなことで、「私たちの現在の暮らしにあわなくなって」きているのです。
ある政党が主張する「ベーシックインカム」制度。
取り入れている国はいろいろあっても国によって内容は異なります。
社会保険制度、医療保険制度、生活保護の制度、障害者政策等、いろいろな社会保障制度を全廃して、毎月定額の給付金を全ての人、赤ちゃんも含めて支給して完結するという制度。
どこまでの範囲までやるのかという問題がありますが、これも一つの選択肢ではあります。
そうなると、私のような「社会保険労務士はどうなるの?」という声も上がることでしょう。
が、そういうことも含めて、「もう考えなけらばならない時期なんだ」と私は思います。
世の中に不変のものは存在しない。
「諸行無常」、これは仏教の教えですね。。
私たちの世界ですから、私たちみんなが真剣に考えるべき時期がきたのだと私は思います。
みなさんはいかかでしょうか?
以上、今日は「今後の制度改正の方向性~厚生労働省・年金部会から~②」についてでした。🙇
それではまた月曜日にお会いしましょう~🙋
(続く)