前回は、「今後の制度改正の方向性~厚生労働省・年金部会から~②」について、お話ししました。
今日は、『障害年金は働いていると「もらえる?」or、「もらえない?」』についてお話しすることにいたします。
これまで2回にわたりに厚労省の審議の動向について、お話をいたしました。
そこでもあったように、障害年金はその支給要件が「病気になった」または「けがをした」ことによってもらえるものではなく、
「病気やけがによって」
「働くことや日常生活をおくることに対して、差し支えるようになったときに」
「障害等級に該当すれば」
もらえる可能性が出てくるものであること。
そして、その「障害等級」については、「認定基準」等により判断され、申請により認定されるものであること。
その他に、「初診日要件」、「保険料納付要件」等があります。
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このように、「差し支えるようになったとき」ということを、みなさんはよく勘違いされるんですね。
そして、前回にお話ししたように、老齢厚生年金や遺族厚生年金とかと異なり、障害厚生年金は「稼得保障」という「これまでに稼いできたお金を保障」するだけではなく、「障害者や難病を抱える人たちが、そのハンディを抱えながらも社会の中で前向きに生きていけるように」という、いわば「背中を押す制度」でもあるということが大切なんですね。。。
現在の障害認定の際にはこの後者のことが置き去りにされているような感じが見られ、他の有名な社労士の方の専門書にも「稼得保障」のことは記載されていても、後者のことは記載されてないように見受けられます。
このこと、つまり「障害や難病を持つ人の働くことを後押しする制度」としての政策目的を考えれば、「働くことを前提」として障害厚生年金3級は規定されているはずなんですね。
現在は「働いているともらえないよ!」ということで門前払いとなることが多く、例外的に「職場での何らかの支援を受けている」とか、またあるいは「最初から障害者が働くことを前提とした職場である」とかという場合でなければ、認定されないような状況となっています。
これが、来年度以降、次回の障害年金制度の改正に向けては、「例外的に」ではなく、「前提として」と改められることで、現在の政府の「働き方改革」の方針に従っていく方向で進められていくようです。
「働かざる者食うべからず」
昔からこう言われてきました。
今も生活保護とか、また年金でも保険料を払ってないのにもらえる「20歳前の障害厚生年金」の制度とかもあります。
こうした福祉的な制度も今後は財政的にも厳しい現状を考えると、いろいろと見直しもある可能性があるでしょう。
ある政党やある評論家は「ベーシックインカム」制度ということで、年金、生活保護等の社会保障制度を全廃し、毎月定額を支給することを提唱し、あるいは政策として掲げております。
「今までもらえたのにそんなの反則だ~!」
ではなく、「現状を考えるとこのこともやむを得ないことなのかな」と、私は「賛成します!」とは言えないけれども、「やむを得ないのかなあ・・」という気持ちにはなります。
「無い袖は振れない」
この言葉通りであって、個人でもお金がなければ辛抱するしかありません。
別問題として、「今までのお金の使い方がどうだったのか?」ということを再検討する必要は大ですが、これは選挙等で国民として私たちが声を上げていかなければならないことです。
とりあえず、今ここで障害年金制度として私がお話できることは、このように、
「障害年金は稼得保障だけではなく、障害者や難病を抱える人たちが社会進出することを後押しする制度でもある」
ことを知っておく必要があるということです。
そして、現状、障害厚生年金3級は「働いていたらもらえませんよ!」と年金事務所等で言われても、そのことは「間違っているよ!」と言えるということを、覚えていていただきたい。
このように思います。
以上、今日は『障害年金は働いていると「もらえる?」or、「もらえない?」』についてでした。🙇
それではまた木曜日にお会いしましょう~🙋
(続く)