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- 障害年金全般
- これまでにいただいたご相談の内容
- 「統合失調症を治療中の、 60歳代前半の男性の妹婿から」
統合失調症を治療中の、60歳代前半の男性の妹婿から
妻の夫から相談。妻の兄が統合失調症で病院を受診中。
令和2年5月に職場を休職し、このときに初診日有り。統合失調症と診断。
いったんは復職するも、令和4年1月に再び休職し、同年5月退職。
以後は就労せずに、通院しながら自宅療養を続けている。
初診日は厚生年金加入中。
「現在、妻の母親と二人で暮らしていますが、その母親が軽い認知症を患っており、先行きのこともあるため、相談することになりました。
妻の兄は障害年金をもらえますか?2級以上であれば今後の生活も助かるのですが。」
申請を受ける上での大前提
年金請求権は財産権の一つである。
このことから、本人の利益の保護の観点から、厚生労働省や日本年金機構においても厳重な対応を行うように指示が出ている。
本人が発行した委任状により、本人が真に権利の行使を他者に委任したのかどうか、このことについて慎重に対処する必要が存在する。
年金の相談については、同居の親族及び2親等内の親族による場合と、また、施設に入所している場合の施設の職員による場合の2つについて、必要書類等の例示がなされている。
このように、相談の段階においても、個人情報等の保護について厳しい管理を要することが示されている。
であれば、年金請求に関しては、さらに取り扱いを厳重に行う必要があると思われ、今回の相談のケースのように「同居していない2親等の親族」による場合等では、「本人の意志が本当に委任されているのかどうか」を確認することが大変重要なこととなる。
まず、こういった場合に実際に面談を行う際には、「面談を申し込む方が本人の権利を代理するのか」について、本人の署名捺印した委任状作成の印鑑を実印として、さらに印鑑証明書を添付して行う等の慎重な取り扱いを要するものと思われる。
さらに、年金請求者である本人の財産権の保護の観点から、弁護士等にも相談されたのか、また、後見人制度等の利用等についても、詳しく事情を聴取することを要するものと思われる次第である。
内容から判断すると、受給要件を満たしていることから、障害厚生年金の2級以上の可能性がある。
初診日から1年6ヶ月後の障害認定日でも、もしかすると3級に該当する可能性もある。
その場合には遡及されることになる。
ただ、問題となるのは、本人がひきこもり状態で人と話することもできず、
また、親族では誰も本人の詳細な日常生活を把握できている方がいないということから、
現在治療中の病院のカルテ等で、そのことがきちんと記載されているのかどうか、まずは確認することが必要。