初診日に年金制度に加入していなかった、長期間、うつ病を患う50代男性

うつ病により障害年金の申請を検討中の50代男性。

この3月に病状悪化により休職を繰り返して離職。

年金事務所にて相談したところ、初診日要件を満たさないのでできないと言われた。

初診日は平成16年。

その後、まもなく施工管理技士の資格を取得し、ずっと同じ民間企業にて就労してきた。

就労してからはずっと厚生年金制度加入。



「やっぱり申請することはできないのでしょうか?」

約15年の間、周囲の同僚と同じく、就労を続けて、その対価として普通に報酬を受け取って来られたとのことから、「社会的治癒」の申し出ができると考えた。

「社会的治癒」とは日常で言われる「寛解」とほぼ同じ意味合いを持つ。

ただし、障害年金の制度上、これが「社会的治癒」というきちんとした定義自体はない。

あくまで、年金を申請する際に「社会的治癒の申し出」を行い、障害認定をもらう必要がある。

過去に認定を受けた前例も、またその内容はいろいろであって、添付資料や方法もまた申請する側によって異なる場合がある。

が、要は普通に就労できていたことを証明すれば良いとのことから、勤務の状況、報酬の支払い状況、治療の状況などを読み取ることができる資料を収集して立証することとなる。



以上について説明。

「これなら大丈夫です!」と太鼓判を押すことはできないが、必要な資料を準備していくことができれば、申請までこぎ着けるかもしれないことをお話しした。

この「社会的治癒」ができるところまでこぎ着けないと、主治医は自分が把握している初診日と異なることから、診断書の作成をお断りになられる場合もある。

また、医療の上の「寛解」や「終診」というものからではなく、社会保険上における救済処置的なものであることから、このことを主治医に説明しなければならないことも多い。

書類を整え、「社会的治癒の申出書」を作成し、主治医に診断書を依頼する際に、きちんと説明した上で、ご理解いただく必要がある。

2024/5/28