交通事故により右手でペンも持てなくなった、50代の県外の男性

県外の50代の男性から。

消防士をされているのだが、しばらく前に交通事故にあって、大きなギブスは外せたが、手が震えるなどしてペンを握ることもできないでいる。

物を掴むことができず、現在、休職中の消防士の仕事をすることも出来ないのではと考えている。

職場では配置転換を申し出て、デスクワークも検討してもらっているが、どこまで回復するのか、不安な日々をすごしている。


「先日、障害年金の制度のことを知りました。

家内と一緒にサイトを見ていて、そちらのサイトが目に入りました。

ご自分の体験のお話しを読ませていただき、親身になってもらえそうなと家内と話をして、ご連絡をした次第です。

私は、障害年金をもらうことはできないのでしょうか?」

損害賠償金と障害年金との調整について(交通事故)

交通事故などの第三者の行為が原因で障害年金を請求することがある。

第三者行為が原因で障害が残った場合、多くのケースは加害者から賠償金や給付を受け取っているはず。

第三者行為が原因の障害で障害年金を受給した場合、1つの事故について加害者からの賠償金と国からの年金という二重の補償を受けることになり、そのため、障害年金を一定期間支給停止にすることで二重の補償を受けることがないよう支給調整がされる。

損害賠償金(自賠責保険等を含む。)といっても、「逸失利益」や「休業保障」のような生活保障費相当額のみが対象であり、慰謝料、医療費、葬祭料などは調整の対象ではない。

支給停止期間は、事故が発生した翌月から始まり、最長36か月間。

ただし、平成27年9月30日以前に発生した事故等の場合は、24か月が上限となる。

なお、3年も年金が支給停止されるわけではない。

障害年金の受給は、早くても障害認定日(事故から1年6か月経過日)翌月からの開始されることから、実際に停止されてしまうのは、残りの1年6か月分が上限となる。

支給停止期間の算出方法は、次のとおり。

支給停止月数
=36月 - 事故日から障害認定日までの月数 - {損害賠償額-(実出費+慰謝料)}÷一月当たりの基準生活費

①損害賠償金を受けた場合の取扱い

相手方から損害賠償金を受けた場合、事故日の翌月から起算して最長で36か月の範囲内で障害年金の支給停止が行われる。

支給停止期間が満了した後、障害年金の支給が再開。


②損害賠償金を受けていない場合の取扱い

示談中等のため、相手方から損害賠償金を受けていない場合、通常、先行して障害年金が支払われる。

この理由は、障害年金の支給停止期間の算出に当たっては、損害賠償金の受け取りが完了するまで待つ必要があるが、受取りが完了するまでには相当の期間を要する場合があることから、この間、何の生活補償も受けられないこととなり、受給権者(被害者)の生活に多大な影響があるためである。

その後、受給権者が損害賠償金を相手方から受け取り、保険者が年金の支給停止すべき期間を確定した時点においては、本来であれば支給を停止されるべきであった期間分の障害年金が既に支払われていることから、この期間に支払われた年金を保険者に返す必要がある。

このため、本来の支給停止期間が経過し、支給が再開された後に支払われる障害年金額から2分の1の額(半額)が支給停止額に達するまで差し引かれて調整され、差引調整される額については、別途申出することにより、2分の1の額以外(それ以下や一括等)に差引調整率の変更も可能である。

まず始めに、交通事故の場合は、医療保険と同じく、第三者加害ということで扱われる。

原則として二重払いを避けるため、同時に障害年金をもらうことはできない。

障害年金の申請を行い、認定を受けても支給停止等の措置となる。

支給停止措置は交通事故の日の翌月から3年経過後、支給停止を解除されることで、もらうことが可能。

また、損害賠償額をもらう前に障害年金をもらっていた場合には、あとで損害賠償額をもらった際には、二重払いとならないように障害年金を返還する義務がある。

損害賠償請求をして請求額を受け取ることが遅くなるようであれば、事故の日から1年6ヶ月後に障害等級に該当することにより、認定を受けてもらうことも可能。

ただし、前述のとおり、その場合には二重払いを避けることから、後に損害賠償請求額を受け取った後に、返還する義務が生じてくる。

2024/6/2