『「障害年金よりも失業保険が先だ」として、診断書を書いてもらえない医師のこと』

前にご相談をいただき、契約して進めている方からのご相談。



『資料を、またお手紙をおおくりいただき、私自身も大変勉強になりました。

ところが、それでも主治医は持論を譲らず、「障害年金をもらうと一生、抜け出せなくなる、だから失業保険が先だ!」
と診断書を渡していても、書いていただけないということでした。

どうしたら、良いのでしょうか?』

現在、病気にて休職し、健康保険の傷病手当金により生計を立てている。

3月末に退職することを経営者に伝え、そのために障害年金の申請を準備をしようと、当事務所へ相談されて契約をいただいた。

この医師、私も県庁時代からの知り合いでした。

きちんと説明すればわかるものと思っておりました。



それは、次のことであって、それを法律条文を添付して、本人の質問への回答書として作成し、本人の手から医師に渡していただいたのでした。

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1.傷病手当金と障害年金の併給という点では、障害年金が優先して支払われる。

2.両者を比較して傷病手当金の額が障害年金の額より多い場合、傷病手当金からその差額が支給される。

このような調整規定があるが、退職をされる場合、当事務所では同時申請をお勧めしている。


理由としては、受け取る額は合計して同額となる。

しかし、障害等級2級以上となった場合には、国民年金保険料の法定免除等の、支給額以外の利点が存在するからである。



それと、事情を聞けば、日常生活でも配偶者のお世話によってどうにか過ごしているとのこと。

であれば、求職活動そのものができないことから、雇用保険の失業手当を受けることができない。

失業手当は「就労する意思と能力を有する」ことが有る者が、努力しても就労先を見つけることができず、就労できない場合に支給されるもの。

この方のようにとても就労ができないため、仕事を退職する場合には、まず「求職の申込」という「求職活動の門」自体がくぐれないことになる。

このような場合には、雇用保険法に基づき、最高4年間までの「受給期間の延長」等の措置を受けることが可能。

このときに、主治医の診断書がまた必要となる。

「病気で」ということの証明のためである。


ご本人には、このことを説明し、雇用保険の条文等により主治医に説明をするようにお伝えした。

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ところが、まだ医師は理解されていないようでした。

私は、依頼者と同行して医師とお話ししようと提案しました。

裁判所の判決文もありますし、医師法の規定にもあることは、県庁で関連する業務に従事していた際に学んだことです。




「なぜ、診断書を書けないのか?」

社会保険労務士としては、法律、制度の趣旨の説明、裁判の判決等を提示して、理詰めで行う他ありません。

ただ、今回の依頼者も、医師との信頼関係を損なう恐れがあると、「しばらくそのままにしておきます」と提案をお断りになられました。




こういうことが、私の住む徳島県では非常に多い。

別件で、カルテ開示したところ、薬の内容しかないカルテも存在したことが、今年はありました。

完全に医師法違反です。




依頼者の了解を得て、県庁の元上司等にも、医師会にも相談しました。

が、どうすることもできず、相変わらず、私たち障害者等は弱い立場にあることを知りました。

とても残念なことです。

こうして泣き寝入りをする障害者等がおられることは残念です。

ところが、反対に、障害年金を不正に受け取ろうと、「相談を」と言いながら、実際には「この間、〇〇刑務所から出所して来た。医師と社労士が書類を作成すれば、どうにかなるんだろう?」等と、不正受給の強要をされることもありました。

他にも社会的弱者と言いながら、社労士会に苦情相談をして、また社労士会も真に受けてしまうこともありました。




結局、体調を悪化させて業務もしばらくできず、警察署へ相談することとなりました。

警察も、弁護士も、また私が県庁時代も、相手が「しめた!」となる恐れから、こうしたトラブルについて、本人対応を禁止しています。

このように、不正を持ちかけられることがあっても、それがたとえ自分と同じく難病や障害を持つ人であったとしても、「できないことはできない」ときちんと断れること。




そこに、社労士法である「品位と品格を持って」という社会保険労務士としての、業務に対する姿勢を記載されている意義が存在することを、しっかりと自覚した上で、

「私の依頼者も、また私も、決して人様に胸を張れないようなことはしない」

このような態度、姿勢が、私は大変重要だと思いました。

2024/12/14