『軽度知的障害と発達障害を持つ30代女性のお母さんから、不支給決定に対するご相談』

軽度知的障害と発達障害を持つ30代女性のお母さんから、不支給決定に対するご相談がありました。




『娘はこれまでずっと普通に生活してきました。

結婚もして出産し、その頃から状態が変わってしまいました。

離婚をして、実家の私どもの家に帰って参りました。

結婚する前も、県外へ一人でイベントに出かけるなどしていました。

確かに、周囲と比べると、「ちょっと反応が鈍いのかな?」と思うこともありましたし、「性格なのかな?」と感じることもありました。

それでも、まさか、娘に障害があるとは思えませんでした。

大変ショックでした。

軽いですが、知的障害とも言われ、発達障害と診断。今は本当に世話も大変です。

ただ、これまで知的障害と言われたことがなく、療育手帳を持ってもおりません。

「知的障害と発達障害が重なった場合は、同一障害として、出生日を初診日とする」ということで、この度、不支給決定という通知がありました。

これはどうなのでしょうか?

私たち親ももう歳です。娘の今後のことが気になります。

どうしたら良いのでしょうか?』

「自分が気付いてやれなかったからだ」と涙するお母さん。

結婚、出産、離婚、病気・・。

「母親の私のせいだ」としたお母さんのお気持ちが、私にも同じ障害を抱える我が子がいたことで、よくわかりました。




以前には、大阪市で市長が、「発達障害は親の育て方が原因だ」として条例案を議会へ提出し、大騒ぎしたこともありました。

私も、電話でしたが、猛抗議しました。

それでなくとも、母親は「我が子をこんな風に産んでしまって。一緒に死のうか?」と夜に涙する、お母さん方のお話しを私は障害者団体の役員として、たくさん耳にして参りました。

結局のところ、「なかなか理解してもらえないものだ」とつくづく感じた次第です。




さて、ご相談の件ですが、確かに、

『知的障害と発達障害は、いずれも20歳前に発症するものとされているので、知的障害と判断されたが障害年金の受給に至らない程度の者に、後から発達障害が診断され障害等級に該当する場合は、原則「同一疾病」として扱う。』

こととされています。

このことから、

『例えば、知的障害は3級程度であった者が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった場合などは「同一疾病」とし、事後重症扱いとする。』

というような取り扱いとなっているところでございます。



が、しかしながら、

『なお、知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害がある者については、発達障害の症状により、はじめて診療を受けた日を初診とし、「別疾病」として扱う。』

ということで、障害等級に特に当たらない程度の知的障害に関しては、これまでも「別疾病」として扱われてきたという経緯がございます。




これまで知的障害との指摘もなく、当然、療育手帳の取得もされていなかった。

このことから、娘さんの状態より私は、この「なお書き」以下のことに該当し、娘さんは「別障害として取り扱うことで、初診日は別々で間違いないもの」と存じます。




ところで、日本年金機構は結局、「診断書の初診日を直して」ということでしょう。

だから、私は今回、万が一のために、次のように、保険をかけることをご提案いたします。



1.不服申立を行う。

2.初診日を直した診断書を添付して、再申請を行う。

この2つを同時に進めればと存じます。




こうすることで、不服申立が通れば良し。

通らなければ事後重症請求ですが、早めに認定されることになると思います。

私は、安全を考慮して、この2本立てでの処理をお勧めいたします。



なお、今回の件で、私がお引き受けした際には、二本立ての場合においても、不服申立としての審査請求の費用のみで、再申請の費用は不要とさせていただきます。

こうしたことで、早く認定がもらえて、安心されるようにと存じます。



「お願いします。」として、笑顔になってお帰りのお母さんの姿。

子供のことで走り回っていた、当時の私自身のことを思い出しました。

『信頼こそ力』
~一緒に前進しましょう!~
2025/1/27