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- 『30年前に初診日のある、Ⅰ型糖尿病の40代女性の方から②』
『30年前に初診日のある、Ⅰ型糖尿病の40代女性の方から②』
先日の、Ⅰ型糖尿病の40代女性から面談でのご相談です。
『Ⅰ型糖尿病でずっと治療を続けております。
何かもらえることができると耳にしました。
私は障害年金をもらえるのでしょうか?』
と、これが前回の内容でした。
今回は、
『初診日についてです。
19歳の頃に初診日があり、最初の病院の後、すぐに救急搬送されて大学病院へ入院しました。
1.A病院(初診)
2.B大学病院(入院➡10年ほど通院)
3.Cクリニック(10年少々、通院)
4.B大学病院(現在、6年ほど通院中)
このような感じで治療を続けております。
先日、大学病院に通院したところ、初診日の証明についてお尋ねしました。
すると、「7年間以上前のカルテが残っていない」と言われてしまいました。
どうすれば、よろしいでしょうか?』
前回のご相談のお答えは、下記に記載してあります。
今回は、お電話でご相談をお受けして、面談となりました。
お電話の際に、私の方から大学病院へ2度、確認の電話を入れてみました。
ご本人に申込書を記載していただき、そのすぐ後、ご本人より、その場から私に電話をしていただくことにしました。
あとは、私が直接、担当係員とお話しをして、詳細をお聞きしながら進めていく。
「書類が必要だ」としかわからないご本人にとって、それ以上の病院とのやり取りは、病気をしている身にとって大変であると、私は自分自身でよく理解しています。
そのため、こうして相談される方の様子をみてから、「配慮が必要なのかどうか」を判断して、声をおかけしています。
『事務所として、書類を作成したり、あるいは、実際に出張するなどがあるのなら、別途に費用をいただきます。
しかしながら、電話で対応可能なら、込み入った内容でない限り、料金は特にいただいておりません。』
このことも、「小さな個人事務所であるからの、小回りが効く」という利点を活かしての、当事務所におけるサービスの一つです。
こうしたことがあって、この度、お会いしてから障害年金の概要と、相談者ご自身のこと、またご質問をお伺いしました。
結果、ご契約をいただき、申請に向けて進めていくこととなりました。
通常、当事務所では、「申請して認定がもらえるかどうか」判定をして、「認定もらえそうなと判断した場合のみ」、契約をしてお引き受けさせていただいています。
今回は、申請前に初診日探しなど、いろいろと事前にやることがあることから、まず契約をいただいてからということになりました。
もちろん、糖尿病の認定基準の3級の障害等級について、ほぼ満たすことを確認した上でのことです。
20歳前に初診日があるから国民年金だと、私は思い込んでいました。
しかしながら、この方、高校卒業後、就職されて働かれており、当時は厚生年金加入中だったようです。
そのため、2級どころからか、3級に該当しないはずはないと確信。
昨年の2級容認の糖尿病裁判の記事と、それに伴う厚生労働省通知。
また、平成28年の糖尿病の認定基準改正についての日本年金機構のリーフレットをお渡ししました。
すると、この方、信じられないことをお話しされたのです!
『知人とこのリーフレットを見ながら、社労士事務所へ相談に行ったんです。
すると、そこで「糖尿病は合併症がないと、あなた、もらえませんよ!」と言われて・・』
そして、しばらくして、当時のことを思い出したのか、ぽろぽろと涙をこぼし始めたのです・・。
こういうことが本当に多々あり、私は怒りを覚えています。
「私たち、障害や難病を持つ者が、どれほど大変な暮らしをしているのか!
それを健常者が認定できる人をこうしてどん底へ、また、認定できないはずの人を契約してお金を出させる!」
こう、私がつぶやくと、依頼された方は、「こんなところがあったんだ・・・」
そう言って、笑顔を見せてくれたのです!
不正受給を強要する人たちには、「できないから」とキッパリ断る。
もらえない人には、「契約すると22,000円必要。うちの事務所は1日当たり5万円の経費が必要。お互いに損するから、やめておきませんか?」とお断りする。
でも、もらえると判断した場合、昨年1年間で、厚生労働省まで確認したことが3度。
うち、1回は「国会で質問してもらえないか?できるなら、私が自分で国会で話したい。」、と議員秘書まで頼み込んだこともありました。
『自分と同じく、難病や障害で悩む人たち、あるいは、かつての私と同様に、障害を抱えるお子さんをお持ちのお父さんお母さんのお力になりたい。』
だから、怒りもするし、悔し涙も流すし、あるいは、大変難しい案件が通った際には、依頼者と大喜びしたり。
当事者であるからこそ、こうしてわかりあえる。
私は幸せ者です。
今回の件では、もしも今回、診断書などの関係で、仮に申請ができないとしても、今後、条件が整えば「申請できるかどうか」ということを確認しておく。
そうすることで、今後に備えることができることをご説明して、承諾をいただきました。
あとは、いつもどおり、私が最善を尽くすのみです。
※前回のご相談に対するお答え
私のブログ(⬆)を見られた方からのご連絡のようでした。
令和6年4月にあった次の大阪高裁の判決の結果を受けて、厚生労働省から「糖尿病の方の取り扱いについて」ということで、令和6年11月に通知が出されました。
これまで、人工透析が必要ではない、糖尿病の方については、障害等級は3級までということで、2級までの障害等級しかない国民年金に、初診日の当時、加入されていた方は、障害基礎年金をもらうことができませんでした。
が、前述の判決により、原告のⅠ型糖尿病の方には障害基礎年金2級が支給されることとなりました。
そこで、取り扱いが善処され、障害等級2級にも該当する可能性がでてきたわけです。
ただし、欄外⬆のブログのにあるように、別途様式が定められ、その障害認定は大変厳しくなっているようです。
ところで、今回のご相談の方は、初診日が19歳であるということでした。
19歳と言うことで、この方はまだ国民年金制度に加入しておらず、「20歳前の障害年金」の申請ということなります。
「20歳前の障害年金」では、国民年金から障害基礎年金が支給される。
このため、障害等級が2級までしかない障害基礎年金においては、障害等級が2級以上に該当する必要があるのです。
なお、この方は、現在49歳ですから、ちょうど30年前に初診日があり、この長い間に病院を転々とされているということです。
糖尿病の方で一番大変なことは、「初診日探し」です。
昨年にも「40年以上」にもなる「初診日探しの旅に出る」ことになり、県外の病院まで大変でした。
が、それでも無事に認定までこぎつけて、「どの事務所でも断られ、年金事務所でも首を傾げられたのに。」と話して、たいそう喜んでいただけました。
そのことを、今回の相談者の方にお伝えして、ひとまずご安心いただきました。
「まずは初診日探しからです。が、実績があるので、何か方法があるものと考えます。
ご安心ください。やってみないとわかりませんから。
とりあえず、当事務所のサイトから詳しい内容、特に病院関係の履歴を記入して、送信してください。
その後、私の方も内容を拝見して、具体的な案を作成します。
その上で、日時を打ち合わせして面談して、今後のことを相談していきませんか?」
と回答させていただきました。
糖尿病の方で障害年金の申請において、一番困るのが「初診日探し」です。
とりあえず、ここをクリアして、次は難しいであろう「変更された取り扱い」に沿って、手続きを遂行するのみです。
