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『2級で認定を受けた、ダウン症の息子を持つお母さんからの切実なご相談』
ダウン症の息子を持つお母さんからの切実な相談
ある日、私のもとに一通のメールが届きました。
ダウン症の息子を持つお母さんからの相談でした。
「実は自分で申請をしたんです。
すると、2級で永久認定だったわけです。
ところが、周囲の同じダウン症のお母さんと話をすると、みんな1級に認定されています。
どうして、うちの子供だけがと納得できません。
なんとかできないでしょうか?」
このお母さんの声には、「息子さんへの愛情と、なぜ自分たちだけが異なる扱いを受けるのか?」という疑問が込められていました。
1.不服申立について
私は過去に、手をつなぐ育成会の役員をしていた頃、ある1本の電話を受けたことがあります。
2人のダウン症の子供を持つご両親からの相談で、突然、生活保護打ち切りの連絡があったのです。
「生活ができない。生きていけない。」と訴えるその声に、私はすぐに市役所へ電話を入れ、職員を呼び戻しました。
そして、ご家族4人をワンボックスに乗せて、時間外の市役所へ飛び込んでいったことがありました。
このような経験を思い浮かべながら、今回のお母さんの話に耳を傾けました。
お母さんは「なんで、うちの息子だけが」と憤りを感じておられるようでしたので、一通りお話をお聞きしました。
2.私の説明
a.不服申立の可能性
不服申立ができるかどうかは、提出された書類を確認する必要があります。
具体的には、医師の診断書や日常生活能力の判定、日常生活能力の程度などが重要です。
b.成功率
不服申立の成功率は一般的に1割前後とされています。
これは、認定基準が厳しく、審査が慎重に行われるためです。
c.引き受けの判断
当事務所では、不服申立の成功が難しいと判断した場合、引き受けないことがあります。
これは、費用対効果を考慮した結果です。
d.費用
不服申立には成功報酬以外に、前金で多額の費用が必要となります。
これは、手続きの複雑さや時間、専門家の関与を考慮したものです。
e.永久認定と額改定
『永久認定で2級」は、ずっと2級でしかないわけではありません。
障害が悪化した場合には、決定後1年経過してから額改定の手続きにより1級へ申請することが可能です。
3.お勧めの選択
今回のケースでは、費用対効果を考慮し、額改定の手続きをお勧めいたしました。
これは、現在の認定結果に異議がある場合でも、将来的に障害が悪化した場合に1級への申請が可能であるためです。
4.ご相談者からのメール
その後、ご相談者から「先生に審査請求をお願いしようと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。」というメールをいただきました。
このメールに対して、私は「う~ん」と考え込んでしまいました。
ご相談者の期待に応えるためには、慎重な判断が必要です。
☆額改定請求
障害年金を受給している方の障害の状態が悪化した場合には、等級見直しの請求を行なうことができます。
この額改定請求をする場合には、請求日前1か月以内の現症日の診断書を請求書に添付して提出する必要があります。
ただし、年金受給権利が発生した日から1年以内は、額改定請求を行うことができません。
また、原則として、障害状態確認届により等級が変更になった場合や額改定請求を行った場合も、その時点から1年間は原則として額改定請求を行うことができません 。
1.額改定請求ができるパターン
・年金受給権利が発生した日(※)から1年が経過している方
・障害の程度の審査を受けた日から1年が経過している方
・明らかに障害の程度が増進したことが確認できる状態に該当する場合(厚生労働省令に規定されたものに限る)
・65歳になる前に障害基礎年金1級、2級に該当したことがあり、現在65歳以上の方
2.額改定請求ができないパターン
・年金受給権利が発生した日から1年未満の方
・障害の程度の審査を受けた日から1年が経過していない方
・過去に障害基礎年金3級にしか該当したことがない現在65歳以上の方
