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『年金事務所にて請求できないと言われ、請求を諦めていた精神疾患の女性からのご相談』
年金事務所にて請求できないと言われ、請求を諦めていた精神疾患の女性から、ご相談をいただきました。
「以前に、保険料納付要件のことが原因で請求できないと年金事務所で言われ、請求を諦めていました。
病院を何度か替わりました。
今の病院では主治医が『診断書を作成できるから』と言ってくれていて、精神保健福祉士の方は年金事務所で言われたことを話すと、『う~ん、できると思うんだけど・・・。専門の社労士さんに相談するしかないのでは?』と言われました。
私は50歳。80過ぎた両親と3人で生活しています。
高齢の両親も私の行く末を心配しており、私はもう生きていることで、こんなに心配をかける両親に申し訳ないという気持ちがいっぱいで。
何度も自殺を図ろうとしたこともがあります。
私はもうどうして良いのか、わかりません。お願いします。
相談に乗ってもらえませんか?」
1.初回来所時
最初、事務所に直接来られたのですが、その際には他のことで面談中でした。
事前予約制であることを説明し、夕方6時にお電話をいただくようにお願いしました。
事務所のある徳島市のお隣の市町村から、運転のできない相談者を送迎してきた、80過ぎのお父さんがご一緒でした。
2.電話での詳細確認
夕方6時過ぎにお電話をいただき、昼間の非礼をお詫びしました。
そこで、一つ一つ、内容をお尋ねして参りました。
この相談された女性は、私が感動を覚えるほどの診断書を作成される女医さんから、言われたことを話されました。
それは平成12年の初診日の日付についてです。
なんと、私が尋ねると、その場で日にちまで即答されたのです!
理由を尋ねると、その女医さんから「後日、このことが大変大事になってくるから、絶対に忘れないように!」と、書いたメモを手渡されていたのだそうです。
「あの先生はここまでするんか!」私は、患者思いのその先生に対して、頭が下がる気がしました。
うつ病で長く治療を続ける私は、我がことのように思えたからでした。
3.保険料納付要件の確認
そして、問題の納付要件について、確認しました。ご本人は大学を22歳で卒業。
その後、就職して厚生年金に加入。24歳で発病し、入院。
そして、そのまま退職を余儀なくされたということでした。
このとき、大学のときには国民年金の保険料は未納のままであって、卒業してから24歳で初診を迎えるまでしか、保険料の納付がないとのことでした。
「保険料納付要件を満たさない」と言われた年金事務所。
『初診日の前日において、初診日の前々月までの』という年金法の条文の規定があります。
確かに原則では、「初診日の前日において、初診日の前々月までとする保険料納付期間の、2/3以上の保険料納付済期間が必要」であることとなっております。
俗に、「2/3要件」と申します。
しかしながら、通常はこの「2/3要件」よりも「1年要件」を優先して確認するのが定石です。
「1年要件」とは、『前々月まで1年間に未納期間がない場合」は「納付要件を満たす」という「障害年金を受給できるよう保険料未納者を救済する特例」のことです。
時限立法であるこの措置は来年までの期限でしたが、現在のところ、これまでと同様に、10年間延長されることが見込まれております。
4.1年要件の適用
こうして、1年要件でみると、初診日以前の「22歳大学卒業から24歳の初診日までずっと厚生年金加入」していることで、未納になることなど考えられません。
すなわち、保険料納付要件は満たしているのです!
このことをお話しすると、「では、なんで、私はそう言われたのでしょうか?」と、悩んで来られたご本人は涙声で言われました。
「それは対応した年金事務所の職員が〇〇だから!」と、私は言うしかありませんでした。
彼女の気持ちを察した私は代弁したのです。
すると、辛そうだったご本人は「ハハハ」と笑い声を上げられました。
そうすることしかできない歯がゆさを私は感じていましたが、それしかなかった。
5.障害年金の受給可能性
そして、たたみかけるように、ご本人は、「では、私の障害年金はどうなるのでしょうか?」と尋ねられました。
『「前医も含めて、先生がみんな、診断書を作成するよ!」と言われており、また精神保健福祉士さんが「おかしいなあ。専門家に相談を」とまで言ってくれているのだから、
初診日要件、保険料納付要件、障害の程度要件の3つを満たすものと考えられます。』と私はお答えして、後日、診察の後に当事務所へお寄りいただくこととなりました。
内容の再確認と契約をして、作業を迅速に進めていくためです。
6.事務所の見解
しかしながら、こうしたことが多いのは辟易します。同じ障害を抱える者として私は、「もしも自分だったら」と思わずには居られません。
障害年金を相談されに来られるのは、ほとんどの場合、傷病により働けない方がほとんどなんです!
こうした年金事務所の窓口での対応も、私は、最近話題になった「精神疾患が前年度と比較して不支給2倍」という記事にもつながるのではと、疑問を感じました。
7.難病や障害を抱える当事者として、社会保険労務士として
現在、私は「委任状の扱いが軽々である」ことを昨年から訴えております。
「委任状を託される障害者等の方々の気持ち」をよく理解して、「社会通念上、委任状とはいかに大切なものであるのか」について、「そこに込められた障害者等の気持ち」をよく踏まえた上で、
厚生労働省、年金事務所におかれては、きちんと周知徹底して関係職員に指導することを、私は訴えて参ります。
