『ALS(筋萎縮性側索硬化症)の夫を持つ奥さんからのご相談』

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の旦那さんのことで、奥さんからご相談をいただきました。



「2年ほど前に発症し、最初は病院を転々とし、今は大学病院に通院しています。

先日から病状悪化により大学病院へ救急搬送され、緊急入院中です。

会社員をしていて、現在、傷病手当金を受けていますが、それももうすぐ支給期限がくるので。

子供を3人抱えてなかなか病院にも行けず、自分ではどうして良いのか、わからなくて。

助けてもらえませんか?」

1.ALSとは
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、脳や脊髄に存在する運動神経(運動ニューロン)が障害されることで、手足・のど・舌・呼吸に必要な筋肉が徐々にやせ細り、力がなくなっていく進行性の神経難病です。


2.病態と特徴
筋肉自体の病気ではなく、筋肉を動かすための神経(運動ニューロン)が変性・消失することで、脳から筋肉への指令が伝わらなくなり、筋肉がやせて動かなくなります。

運動機能が徐々に低下し、最終的には自力で動くことや呼吸が困難になります。

一方で、知覚や感覚(視覚・聴覚・触覚など)や意識はほとんど保たれます。

排尿や排便のコントロールを担う括約筋や、眼球を動かす筋肉は比較的障害を受けにくいのが特徴です。



3.主な症状
初期は手足の筋力低下や筋萎縮、痙攣、手指の使いにくさ、歩行障害などから始まることが多いです。

進行すると、嚥下障害(飲み込みにくさ)、構音障害(話しにくさ)、呼吸筋の障害による呼吸困難が現れます。

感覚障害や認知機能障害は基本的にみられません。



4.発症・原因
発症年齢は60~70歳代が多いですが、若い世代にも発症する場合があります。

男女比は男性がやや多い傾向です。

発症の原因は明確には分かっていませんが、遺伝的要因や環境要因が関与していると考えられています。

約5%が家族性ALS(遺伝性)で、残りは孤発性(非遺伝性)です。



5.診断と治療
特異的な検査法はなく、症状や神経所見、筋電図検査などから診断します。

根本的な治療法は確立されていませんが、進行を遅らせる薬剤(リルゾールなど)が使用されます。

症状に応じた対症療法(リハビリ、呼吸補助、痛みや痙攣の緩和、栄養管理など)が中心です。



6.予後と社会的支援
病気の進行は比較的早く、人工呼吸器を用いなければ発症から2~5年で死亡することが多いとされています。

難病指定されており、医療費助成や介護保険などの社会的支援制度が利用できます。

ALSは、運動機能が失われていく一方で意識や感覚が保たれるため、患者本人や家族にとって精神的・身体的な負担が大きい病気です。

進行に応じて医療・福祉サービスを活用し、QOL(生活の質)を維持するための支援が重要となります。

奥さんからお話をお伺いしました。

最近は、ご自宅でもずっと寝たきりでいて、訪問看護、訪問介護、訪問リハビリテーション等の支援を受けられているとのこと。

高校生以下の子供さんが3人。

旦那さんの傷病手当金だけでは家計を維持できず、奥さんはフルタイムでパートをされているとのこと。




奥さんが今、一番気がかりなのは、傷病手当金がもうすぐ支給期限となり、障害年金を受けられるまでの間、どうやって生計を維持してということでした。

障害年金を受けられるまでは、契約後1ヶ月~2ヶ月して申請し、それから通常、認定されるまで約4ヶ月ほどかかります。

それから約50日後に指定した銀行口座へ振り込まれることとなります。

約7ヶ月~約8ヶ月。

このことをお話しすると、大変困惑されていました。




そこで、私は市町村役場へ行って、一時的に生活保護の申請をお勧めいたしました。

できれば現在、入院中の医療扶助も含めて、傷病手当金の支給が終了し、障害年金の支給が開始されるまでの間、つなぎということでお話されるように説明をいたしました。




そして、旦那さんは初診日当時、会社員であり厚生年金加入時であったことから、障害厚生年金での請求となり、日常生活のご様子から2級以上、おそらく1級の認定をもらえるのではないかとお話をしました。

奥さんは、「パートが休みの日の土日に面談できる、最も早い日」を希望されていたことで、たまたま毎週日曜日に開催中の「無料学習会」の参加者がなかったことから、次の日曜日に面談をされてご契約ということになりました。




障害年金の申請は私は専門家ですから、そこは特に問題は感じません。

やるべきことは理解しております。

この旦那さんの場合は、現在入院中であり、病状がもう少し良くなったら、胃瘻の手術を行われるとのこと。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、原則、8つの診断書様式のうち、主に「肢体の障害用の診断書」様式を使用します。




が、進行により、嚥下障害、言語障害、呼吸障害などを合併することがあるため、症状が重複する場合は「そしゃく・嚥下機能」「言語機能」「呼吸器疾患」などの診断書を併用することもあります。

「胃瘻」ということで、「嚥下障害」の可能性を考えました。

肢体障害と嚥下障害の診断書を作成していただき、両方で認定基準に該当した場合、ALSは併合認定されることとなります。

双方が2級であった場合、2+2=1級となることがあるのです。




ただし、既に寝たきりの状態ということですから、肢体障害のみで1級をもらえる可能性があります。

診断書を複数作成するのは費用が嵩むことにもなり、また作成される医師への負担にもつながることから、決して望ましいことではありません。

ですから、肢体障害のみで1級を獲得すべく、病歴・就労等状況等申立書を中心として、その他の客観的な証拠書類を整えていく作業を丁寧にこなすこと。

このことで、上位等級で認定をもらえる可能性が高まります。




現在、障害年金の問題で賑やかですが、私は私のやり方をもって、良い仕事ができるようにただひたすら頑張るだけです。




あと、面談の際に、前述の生活保護の件でお話をしようと考えています。

場合によれば、生活保護の申請の際に、私は同行して、窓口で一緒になって説明をすることも考えております。

私を信じてご遠方から片道1時間半をかけてお越しになる依頼者の奥さん。

そのことを思うと、私は「男冥利に尽きる」という気がしますので。




「仕事というものは、意気でやるもんだ」

私はそう思っております。

私は「障害年金の職人」ですから。

『信頼こそ力』
~一緒に前進しましょう!~
2025/5/3