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- 『60代男性(元公務員)のⅠ型糖尿病に伴う障害年金のご相談』
『60代男性(元公務員)のⅠ型糖尿病に伴う障害年金のご相談』
●相談事例の概要
対象者は元公務員で、在職中に急激な体重減少を契機に医療機関を受診し、Ⅰ型糖尿病と診断されました。
初診から3年経過しており、転医歴はありません。
公務員退職後は現在、自営業を営んでいます。
●健康状態の特徴
・血糖値の変動が極めて激しい
・現場業務継続困難のため前職を退職
・長時間の継続作業が不可能(日中頻回の体調変動)
・自己管理による細切れ業務形態
●制度適用の根拠
1.適用制度
・初診日当時:共済組合加入中
・現行制度:共済組合が厚生年金保険法に基づき運用
→ 障害厚生年金3級の申請対象
2.要件充足状況
・国民年金保険料納付要件:充足
・初診日要件:充足
●申請プロセスのポイント
1.医学的根拠の整備
・主治医による「糖尿病用診断書」作成
・血清Cペプチド値(0.3ng/mL未満)等の検査データ収集
2.日常生活制限の立証
・業務継続困難の具体的事例(前職退職経緯等)
・現職業における制限状況の客観的説明
3.手続き機関
・初診時の共済組合を通じた障害厚生年金申請
●対応経過
相談時点で申請要件を充足していることを説明し、診断書作成から申請手続きまでの包括的支援を提案。
その場で業務委託契約を締結し、現在書類準備を進めている段階です。
●特記事項
・血糖変動の激しさが「一般状態区分表」のイ~ウに該当する可能性
・今後の経過観測で2級昇格の余地あり(重症低血糖発作等の有無)
Ⅰ.Ⅰ型糖尿病における障害年金の認定基準
・Ⅰ型糖尿病で障害年金を受給するには、以下の認定基準や条件を満たす必要があります。
●認定基準の概要
障害年金の認定は「糖尿病そのもの」または「糖尿病による合併症」を請求疾患として申請できます。
Ⅰ型糖尿病の場合、インスリン治療を継続しても血糖コントロールが困難なケースが主な対象です。
1. 認定等級の区分はこちら
Ⅱ.3級認定の具体的条件(Ⅰ型糖尿病の主なケース)
以下すべての条件を満たす場合、3級に認定されます(厚生年金加入者のみ)。
1.90日以上継続してインスリン治療を行っていること
2.次のいずれかに該当すること
・内因性インスリン分泌が枯渇し、空腹時または随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満
・意識障害により自己回復ができない重症低血糖が平均して月1回以上
・インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上
3.日常生活状況が「一般状態区分表」のイまたはウに該当
・イ:軽度の症状があり、肉体労働は制限されるが、歩行や軽労働・座業は可能
・ウ:歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している
※症状や検査成績、日常生活状況によっては、さらに上位等級(2級・1級)に認定される場合もあります。
Ⅲ.申請時の留意点
・初診日要件や保険料納付要件を満たしている必要があります。
・障害年金は現役世代(20歳~65歳)でも受給可能です。
・就労中でも、業務に支障があれば受給できる場合があります。
Ⅳ.まとめ
Ⅰ型糖尿病で障害年金を申請する場合、主に「インスリン治療を継続しても血糖コントロールが困難」「Cペプチド値や低血糖発作、入院歴」などの医学的条件と、日常生活の制限度合いがポイントとなります。
