『うつ病の30代男性からの障害年金の申請のご相談』

30代男性の方より、うつ病による障害年金申請についてご相談をいただきました。



『重度のうつ病で、医師から生活保護の申請を勧められました。

社会福祉協議会に相談したところ、障害年金専門の社会保険労務士(社労士)に相談してみてはどうかと助言を受けました。



初診日は高校生の頃ですが、当時受診した病院の詳細は覚えておらず、初診日を証明する書類も手元にありません。

その後、県外の大学に進学し、地元でも治療を継続。現在は徳島に戻り、徳島のクリニックに通院しています。



実際にはほとんど働けていませんが、父が経営する会社で従業員として籍を置いており、まもなく退職予定です。

給与は名目上月額30万円以上となっていますが、実際に受け取っているのは数万円程度です。



障害年金の申請をお願いしたいです。」

1.障害年金の認定基準について

この方は高校生の時点で初診を受けているため、「20歳前障害」に該当します。

「20歳前障害」による障害基礎年金は、20歳未満で発症した場合に支給される福祉的な制度です。

国民年金の保険料納付実績は不要ですが、所得制限などの条件があります。



2.申請の可否について

障害基礎年金は2級までの等級しかありません。

うつ病の場合、就労していると原則として2級の認定は困難です。

特別な配慮のもとで障害者雇用されている場合など、3級相当が認められるケースもありますが、障害基礎年金には3級はありません(厚生年金のみ)。

今回のご相談者は、名目上月額30万円以上の給与が支払われており、税務申告もされているとのことです。

この場合、一般の労働者と同等以上の待遇とみなされ、障害年金の認定基準を満たすことは難しいと考えられます。



3.ご相談者へのご説明

ご相談者には、現在の収入状況や就労実態を踏まえると、障害年金の申請は難しい旨をお伝えしました。

経済的に大変ご苦労されている様子でしたが、現行制度上、申請は困難であることをご理解いただくしかありませんでした。

なお、給与の支払い実態やご家族の会社での雇用状況について、詳しい事情は分かりかねます。

しかしながら、申請内容や実態に齟齬がある場合、申請が認められない可能性が高いこともご説明いたしました。

『信頼こそ力』
~一緒に前進しましょう!~
2025/5/21