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- 『片目を突然失明…障害年金はもらえる?東かがわ市50代男性のケース』
『片目を突然失明…障害年金はもらえる?東かがわ市50代男性のケース』
当事務所に、香川県東かがわ市在住の50代男性からご相談をいただきました。
これまで何ら不調もなかった片方の目が、突然見えにくくなり、近所のかかりつけ医を受診。
医師から紹介状を受け取った後、大学病院で精密検査を行うこととなりました。
約10日後、大学病院での検査結果を聞きに行ったところ、「具合の悪かった片眼は既に失明している」と診断を受けたとのことです。
なお、失明の原因は不明とのことでした。
■ご相談内容
「障害年金の申請を検討しています。
私のケースは片方の目の失明ですが、障害年金を受け取ることはできるのでしょうか?
また、初診日はかかりつけ医、あるいは大学病院のどちらになりますか?
私はずっと自営業で、国民年金に加入し、これまで滞納はありません。」
■片眼失明時の障害年金・障害手当金の認定基準
●眼の障害の認定基準(令和7年現在)
・障害年金の支給要件は「両眼の視力や視野障害」によって認定されます。
・**片眼のみ失明(他眼の視力良好)**の場合、原則として障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)の等級に該当しません。
・支給の可能性があるのは「障害手当金」(一時金・厚生年金加入者向け)です。
・国民年金(自営業・第1号被保険者)が適用される場合、障害等級は1級・2級のみ。3級や障害手当金の制度はありません。
障害状態 | 支給対象 | 主な条件 |
---|---|---|
両眼に重い障害 | 障害年金1~3級 | 視力・視野障害の等級認定基準に該当 |
片眼のみ失明 | 障害手当金(一時金、厚生年金のみ) | 初診日が厚生年金加入期間・症状固定から5年以内など |
片眼失明+他眼障害 | 障害年金(上位等級) | 両眼の機能障害と認定される場合 |
例:障害基礎年金(国民年金)の場合、等級は1級(良い方の眼の視力0.03以下)、2級(良い方の眼の視力0.07以下)のみ。3級制度も障害手当金制度もありません
㊟県内の他の社労士事務所で「障害厚生年金3級」と言われ申請し、当事務所へ不服申立について相談された方もおられました。原則として年金はもらえませんので、ご注意ください。
■障害手当金の要件
・障害手当金は厚生年金に加入していた期間に発症し、症状固定後5年以内に請求することが必要。
・国民年金のみの場合は障害基礎年金の1級・2級条件を満たさなければ申請できません。
■初診日の取扱いについて
障害年金・障害手当金ともに「初診日」は重要です。
一般的に、
・症状が出て最初に医療機関を受診した日(=かかりつけ医を受診した日)が初診日となります。
・大学病院は紹介状をもとに経過を診るため、最初に直接受診したクリニックの日付が原則として「初診日」です。
■障害認定日と症状固定日について
・障害認定日は原則「初診日から1年6ヶ月後」ですが、実際に障害の状態が固定した場合は**「症状固定日」として診断された日=失明と診断された日**が障害認定日となります。
・診断書やカルテに「症状固定日」が明記されている必要があります。治療の継続可否や予後の見通し、医師の見解により日付が変わる場合があります。
■参考事例
昨年末にも、50代の方が「数日で片目が失明」するという同様の事例がありました。
その方も原因不明でしたが、初診日に厚生年金加入であったことから、「失明と診断された日」を症状固定日として、障害手当金の請求をいたしました。
■まとめ
1.片眼失明の場合、障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)の認定は原則ありません。
2.厚生年金加入期間に初診日があり、症状固定5年以内であれば障害手当金(一時金)の対象になる可能性があります。
3.国民年金のみの場合(自営業等)、等級1級・2級に該当しなければ「申請できない」のが現状です。
4.初診日は「最初に治療等の目的で受診した日」になります。
5.認定日は「失明と診断された日(=症状固定日)」となりますが、診断書への記載が必要です。
ご家族の状況やお気持ちに寄り添いながら、正確な障害年金・障害手当金の申請可否・取扱について一緒に考え、サポートさせていただきます。
ご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
※本記事は、令和7年7月時点での認定基準・法令等に基づき、」執筆しています。
