「保険料納付要件について~ここが肝心!🙋~」
前回は、「初診日について~ここが肝心!🙋~」について、お話ししました。😄
今回は、「保険料納付要件について~ここが肝心!🙋~」について、お話しします。🙇
障害年金の申請で、前回のブログの「初診日」に続いて、次に確認を行うのがこの「保険料納付要件」です。
このようにして、まずは、申請する「資格の有無」をまず見ていくことになります。
その後、「障害認定を受けられるのかどうか」について、進めていくこととなります。
①保険料納付要件について
障害年金を受給するためには、一定以上の保険料の納付等の状況を確認する必要があり、このことを「保険料納付要件」といいます。
原則として、
「初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、当該被保険者期間にかかる保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間がその被保険者期間の2/3以上であること」(2/3要件)
とされ、また、経過措置として、
「初診日が令和8年4月1日前にある傷病による障害については、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間(当該初診日において被保険者でなかった者については、直近の被保険者期間に係る月までの1年間)に保険料納付済期間と保険料免除期間以外の期間(未納期間)がないこと。」(1年要件)
と規定されています。
※この経過措置は「初診日に65歳以上の者には適用されない」
※注意すること!
1.この「初診日の前日において」とのことから、初診日以降に納付された保険料、免除等の申請を行って承認されたものについては、保険料納付要件の確認においては考慮されません。
※「初診日の前日」までに「国民年金の保険料を納付する」、あるいは、「全額免除、学生納付特例、納付猶予を申請する」ことが必要。
2.「一部免除」の場合には、「納付義務のある部分を納付」する必要があります。
※実際にあった法定免除の期間がきちんと記録されているかどうか、確認することが必要。
3.「生活保護の受給期間」は原則、「法定免除期間」となりますが、例外として、「外国人が受給」している場合には「申請免除期間」となります。
※「生活保護法が国民のみを対象」とし、「外国人は準用して適用される」ことから、このような取り扱いをされています。
※初診日が平成3年5月1日前にある場合
初診日が平成3年5月1日前にある場合は、初診日が属する月前の直近の基準月(1月・4月・7月・10月)の前月以前の保険料納付について確認します。
「基準月の前月以前の被保険者期間内」に、「保険料納付要件(3分の2要件)」または「保険料納付要件の特例(直近1年要件)」を満たしていることが必要です。
②保険料納付要件の期間について
「納付要件の期間」の見方です。
この期間の計算ですが、「直近1年要件」については「暦日」により行います。
そして、この場合、「被保険者でなかった期間も含めて」掲載します。
くれぐれも「被保険者期間だけを12ヶ月抜き出すのではない」ことにご注意ください。
※「暦日」について
例えば1月15日からであれば翌年1月14日までを1年間とします。
2月1日であれば翌年1月31日までとオーソドックスな数え方です。
このとき、このことにとらわれすぎるとついうっかりしてしまうのが、「初診日の前日において」という条件です。
もし、初診日が1月15日であれば、「初診日の前日」は1月14日になりますから、前年の1月15日から1月14日までの1年間でみることになります。
※なぜ、「初診日の前日」という規定があるのか?
➡「ずるをさせないため」です!
「ずる」は「ズルイこと」でして、例えば、お医者さんで最初に診断を受けた日、初診日ですが、これを1月15日とします。
「今日は1月15日。あっ!保険料を納めてないな。急いで納付しなければ!」
ということで、1月15日に納めれば、
「OK!なんだ、簡単じゃん!!」
としてしまうと、みんな
「正直者が馬鹿を見る」
とばかりに、真面目に保険料を納めることがアホらしくなってしまいます😅
そういうことがないようにするために、
「あなたはきちんと国民年金の保険料を納めてきたから、ご褒美ですよ!よく真面目にされてきましたね!!」
というような意味合いで考えられると良いと思います。
※
ただし、「ご褒美」と言いましたが、それは「天からのご褒美」であって、政府から「持って行け、認めてやるわ!」というものではありません。
「人からもらうものではなく、当然の権利として与えられたもの」
であるとご理解いただき、「当然の権利の行使」として支給要件に該当するのなら、
「きちんと請求して受取ることとし、十分に病気やけがを治療をしてまた元気な日常生活を送ることができるように。働くこともできるように。」
という、制度の趣旨を正しく理解していただきたいと、私は思っております。
③保険料納付済期間と免除期間には、それぞれどのような期間が含まれているか?
保険料納付済期間と免除期間には、それぞれ次の期間が含まれています。
1.保険料納付済期間に含まれる期間
・会社員だった期間
・公務員だった期間
・国民年金に任意加入し、保険料を納めた期間
・第三号被保険者だった期間
2.免除期間に含まれる期間
・全額免除期間
・4分の3免除、半額免除、4分の1免除期間のうち残りの保険料を納めた期間
・法定免除の期間
・産前産後の保険料免除期間
・学生納付特例期間
・納付猶予の申請期間(20~50歳)
※以上の期間は、いずれも保険料納付要件の算定対象に含まれます。
④『20歳前に厚生年金加入期間がない場合で、初診日が20歳の誕生月及びその誕生月の翌月にある場合』
『20歳前に厚生年金加入期間がない場合で、初診日が20歳の誕生月及びその誕生月の翌月にある場合』の保険料納付要件については、
➡「初診日の前々月」
でみることになります。
たとえば、11月21日生まれだとすると、初診日が11月、12月にある場合。
この場合、「初診日の前々月」は11月➡9月、12月➡10月 ・・・㋐
国民年金に加入するのは20歳になってからなので、11月20日に20歳に到達
➡11月から加入することになる。
ということで、上記㋐の場合は9月、10月はまだ未加入であり被保険者とはなりませんから、被保険者期間はないことになります。
保険料納付要件は、「被保険者期間がある場合には・・・」となっていますので、このように「ない」場合には保険料納付要件を必要とはしません。
そのため、他の支給要件を満たすことで、全ての支給要件を満たすこととなり、30条または30条の2に基づき障害年金(拠出制の障害年金)が支給されることとなります。
※拠出制の障害年金の「拠出」とは「保険料を払っているよ!」ということです。
⑤「20歳前の障害基礎年金」
「拠出」に対して、「非拠出」とは「保険料を払ってない」ということで、「20歳前の障害基礎年金」がこれにあたります。
20歳前に初診日がある人は保険料納付期間がありません。
それは、国民年金への「加入義務は20歳以降」となるからです。
※「保険料納付期間がない」ことから、今日最初にお話ししたもの、つまり「20歳の誕生月」と「その誕生月の翌月」の場合の障害基礎年金と、この点については同じ。
※異なるのは、先の場合は「初診日に被保険者である」が、後のこの場合は「初診日に被保険者ではない」という点が異なります。
「被保険者であるかどうか」で「保険料納付義務があるかどうか」へとつながります。
「20歳前の障害基礎年金」の場合は、「保険料納付義務がない」ことで「保険料を納めていない」人がもらえるものだから、「無拠出」。
対して、「20歳の誕生月かその翌月に初診日がある」場合は、「保険料納付義務がある」ことで「保険料を納めなければならない」人がもらえるものだから「拠出」。
「無拠出」の「20歳前の障害基礎年金」は、「保険料を納めていないのにもらえるもの」ということで「保険には当たらない」ことから福祉的な性格を持つとされ、結果、「国民年金制度」というように「保険」という文言が付きません。
対して、「厚生年金保険制度」は「保険」という文言が付いています。
それは、この「20歳前の障害基礎年金」という「福祉的な性格を持つものが含まれている」ことからであるからです。
そして、「20歳前の障害基礎年金」は、「福祉的な性格を持つ」ものであるからこそ、「本来の障害基礎年金」にはない「様々な制限がある」こととなります。
みなさん、「拠出」、「無拠出」の障害基礎年金の違いがおわかりになりましたでしょうか?
このように、「保険料納付要件」は問われませんが、この初診日には「保険料納付義務がある」ことから、「20歳の誕生月及びその誕生月の翌月に初診日がある」場合の障害基礎年金は、「20歳前の障害基礎年金」ではなく、本来の障害基礎年金(拠出制の障害基礎年金)であるということになる。
そして、このことから「20歳前の障害基礎年金」とは大きく異なり、「様々な制限がない」ということになる。
ここがよく間違いやすい箇所でもありますので、どうかご注意ください。
⑥よく間違われる方が多い問題
次は、よく間違われる方が多い問題です。
良かったら一緒にお考えください😄
(問題)
64歳で初診日がありました。
60歳以降は働いていなくて、また専業主婦でもありません。
かといって1号被保険者でもなく、また任意加入しているわけでもありません。
さあ、この人は障害年金を申請できるのでしょうか?
(よくされる勘違い)
a)64歳で初診日ということは、障害認定日は65歳6ヶ月以上先のことだから、65歳以降は障害認定を受けられない➡×
b)国民年金は20歳から60歳までとなっており、この人は働いていないから国民年金の2号被保険者でもなく、また専業主婦でもないから3号被保険者でもない。1号被保険者でもなく、任意加入しているでもない。➡×
(答え)
国民年金には強制加入として3つの種別があります。
1号被保険者、2号被保険者、3号被保険者、この3つと、強制加入ではなく任意加入による被保険者(任意加入被保険者)があります。
自営業者が加入する➡1号被保険者
厚生年金の被保険者➡2号被保険者
2号被保険者の被扶養配偶者➡3号被保険者
この問題の方はこのどれにも該当しません。
国民年金法(以下「国年法」という)30条1項に
①被保険者であること
がありますが、これには該当しません。
が、その次の規定
②被保険者であったものであって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること。
こちらに該当することになります。
被保険者でないから無理と考えている方が多いようですが、この場合は被保険者ではありませんが、受給資格はあることになります。
だから、まず、上記の問題bは間違い。
続いて、上記の問題aについて。
障害年金は原則、65歳までなんですが、65歳前に初診日があればOKなんです。
ただし、このとき、通常ですと1年6ヶ月後の障害認定日に障害等級に該当しなければ請求(障害認定日請求)できないことになります。
どうしてなのか説明いたします。
このような場合でもし65歳前であれば、障害認定日請求が無理であれば事後重症請求となります。
ところが、この方は障害認定日にはもう65歳を過ぎてしまっていることから、事後重症請求はできないことになってしまいます。
『事後重症請求は65歳前に障害等級に該当してなければできない』
このところが、一つの大事なポイントです!😄
よく勘違いされるところです。
ということで、上記問題aも間違い。
以上から、64歳で初診日があったこの方の場合、『1年6ヶ月後の障害認定日に障害等級に該当し、そして他の要件を満たすのなら、障害年金の申請はできる』ことになります。
では、次はこの人の「保険料納付要件」については、「いったいどこで見る」のでしょうか?
(よくされる勘違い)
初診日の前々月までに被保険者期間がない➡見なくても良い
➡(理由)「20歳前の障害基礎年金」のときや、20歳の誕生月やその次の月の場合は、「保険料納付要件は問われなかった」から
(答え)
この方は、国民年金は60歳までとなり、それ以降は加入していません。
そのため、この場合は『「直近1年要件」から60歳誕生月の前月でみる』ことになります。
では、ここでもし仮に、「この方が国民年金の第2号被保険者だったり、または任意加入期間があったりしたとき」は、どうなるのでしょうか?
この場合には、『初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間で見る』ことになります。
このところもまた間違いやすいところなんです。
上にあげた「20歳前の障害基礎年金」等の場合には、本当に「被保険者期間がない」のでみることができません。
が、この方の場合には、本当に「被保険者期間がある」のだからみることができます。
ただ、それが「初診日の属する月の前々月」よりもずいぶんと前になるだけだからなんです。
ここもポイントの一つです。
『本当に「被保険者期間」が有るのか、無いのか』
ちょっといろいろと間違いやすい箇所がありましたので、ややこしかったかもしれませんね🙇
⑦「20歳の翌々月に初診月があった場合」
前述の「20歳の翌月に初診日があった」場合には、「保険料納付要件は問わない」こととなっていました。
が、今回はそれとは異なり、「保険料納付要件を問う」ことになります。
⑧保険料の納入告知書が「初診日以降に届いた」とすると、「初診日の前日」を過ぎてしまっていることから、「保険料納付要件を満たしていない」ということなってしまい、障害年金をもらえなくなるのでしょうか?
保険料の納入告知書が「初診日以降に届いた」とすれば、保険料納付要件の「初診日前日までに保険料を納付すること」はできません。
なぜなら、届いた日にはもうすでに「初診日前日まで」という納付期限を過ぎてしまっているからです。
そうすると、このケースでは「保険料納付要件を満たしていない」ということなってしまい、障害年金をもらえなくなるのでしょうか?
「令和2年、社会保険審査会の裁決」から
『納入通知書そのものが「初診日前日」に発行されたため、請求人(障害年金の請求者)が「初診日前日」までに対象期間の保険料を納付することは不可能である。
また、請求人は、保険者により納入通知書に記載された納付期限(=「初診日前日」を過ぎてしまっている)までに納付をしている。
以上のことから考慮すると、保険者が「初診日前日」までには「納付不可能な納付期限を指定」して手続きを行っており、「初診日前日」までに「保険料が未納であること」の責任を請求人に負わせることはできない。
したがって、請求人は、「保険料納付要件を満たしていたと評価するのが相当」である。』
以上のように、「納入通知書が初診日前日に発行され、納付期限までに納付している場合には、保険料納付要件を満たす」
という判断をされております。
現状として、20歳になったばかりの時期、第1号被保険者に種別変更をしたばかりの時期等には、納入通知書がこのように遅れて届くことがあります。
このことから、
『「初診日前日」という保険料納付要件をみる場合には、「実際の年金記録にある納付日」にとどまらず、「納入通知書の納付期限日」についても確認が必要である』
ことがご理解いただけると思います。
請求人本人は、「これが正しい」と信じて、きちんと年金機構からの納入通知書のとおりに、納付期限までに納付した訳であって、請求人本人には何らの落ち度もありません。
でも、これは不服申立の際に、社会保険審査会にて裁決されたものです。
ということは、一度はそのまま「納付要件を満たしていないとして処理をされた」のだということができます。
だから、こういう際に請求人本人に代わって私たち社会保険労務士が請求をした場合には、「ご本人に代わってきちんと対処しなければならない」ことだと考えます。
それが請求人本人より高い報酬を受けて申請代行をする社会保険労務士の、いわば「値打ち」のようなものだと、私は思っております。
こういうことがあった際に、
『「それっておかしいですよ!」ということを言えなければ、高い報酬を受け取る資格ははない』
そう私は考えて仕事を行うと同時に、また
「この安心のためにみなさんは私たち社労士に仕事を依頼される」
ものなんだと、常に自らに言い聞かせるようにしています。
「社労士に依頼する価値があるか、ないか」
それはこの「何かあった際の対応力の有無」であると私は思っており、今後もそうした姿勢を忘れることなく、依頼されたみなさまに「ご安心ください」と、胸を張って仕事ができるようにと思っています。
以上、「保険料納付要件について~ここが肝心!🙋~」について、お話しました。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
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