『障害の程度要件について(線維筋痛症)~ここが肝心🙋~』
みなさん、おはようございます。「障害年金の寺小屋」です。
前回、『『障害の併合について(3)~ここが肝心🙋~』』について、お話ししました。😄
今回は、「障害の程度要件について(線維筋痛症)~ここが肝心🙋」について、お話しします。🙇
認定困難事例とされている傷病には、「線維筋痛症」「脳脊髄液減少症」「慢性疲労症候群」「化学物質過敏症」の4つの傷病があります。
このうち、「線維筋痛症」は、原因不明の全身の疼痛を主症状とし、不眠、うつ病などの精神神経症状、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動膀胱等の自律神経系の症状を含症状とする病気です。(「線維筋痛症診療ガイドライン2017」)
障害年金を申請する際には、「肢体の障害の診断書(様式120号の3)」を、自律神経系の症状については『診断書21欄「その他の精神・身体の障害の状態」』に記入していただきます。
線維筋痛症の障害等級の認定において、重要なのは「重症度分類」と診断書18欄「日常生活活動動作」、診断書19欄「補助用具使用状況」となります。
また、病歴・就労等状況等申立書には、忘れずに「処方内容」も参考になるので記載します。
線維筋痛症についてはその特性上、他の傷病に比べ初診日の特定が難しいところがあります。
他の疾病と区別できるような特徴的な症状が少なく、確定診断が遅れてしまう傾向にあるためです。
線維筋痛症の診断を受けるまでに、いくつもの病院を転々とするケースも少なくありません。
そのため、どの日を初診日として申請するかの判断が難しくなりやすいのです。
従来、線維筋痛症と確定診断された日が初診日とされる傾向にありました。
しかし、障害年金は初診日のあとすぐに受給できるわけではありません。
原則、初診日から1年6ヶ月経過してから受給できるようになります。
そのため確定診断が遅れるほど、障害年金の受給も遅れてしまうのです。
この事態を受けて令和3年8月に、日本年金機構が「線維筋痛症等に係る障害年金の初診日の取扱いについて」を公表します。
この文書の趣旨は、確定診断を受けた日だけでなく、条件を満たせば請求者本人が申し立てる日を初診日として認められる場合もあるといった内容です。
申立初診日が認められる条件として、以下の①〜③を満たす必要があります。
① 申立初診日に係る医療機関が作成した診断書又は受診状況等証明書の記載内容から、申立初診日において、請求者が線維筋痛症等の症状に係る診療を受けていたものと認められること。
例えば、申立初診日に係る医療機関が作成した診断書又は受診状況等証明書の記載内容から、線維筋痛症に係る申立初診日において、請求者が身体の広範囲に及ぶ慢性疼痛について診療を受けていたものと認められる場合や、重症筋無力症に係る申立初診日において、請求者が眼瞼下垂又は複視について診療を受けていたものと認められる場合などが該当すること。
② 線維筋痛症等に係る確定診断を行った医療機関が作成した診断書(確定診断に基づき他の医療機関が作成した診断書を含む。)において、申立初診日が線維筋痛症等のため初めて医師の診療を受けた日として記載されていること。
③ 発症直後に確定診断が行われなかった理由に関する申立てが行われていること。なお、提出書類の記載等から、線維筋痛症等に関連する医療機関への受診について未継続の期間が確認される場合にあっては、当該未継続期間において、線維筋痛症等の症状が継続している旨の申立てが行われていること。
また、当該未継続期間が6ヶ月を超える期間となる場合にあっては、診断書等の医療機関が作成する書類の記載内容から、当該未継続期間において、線維筋痛症等の症状が継続しているものと認められるものであること。
引用:日本年金機構「線維筋痛症等に係る障害年金の初診日の取扱いについて」(以下に掲載)


初診日の申し立てを行う場合は、医療機関で作成してもらった診断書を確認しながら、いつを初診日にするのが適当かを考える必要があります。
場合によっては、お医者さんへ相談しながら検討する必要もあるでしょう。
また、①〜③のケース以外でも、個別の事情に応じて、提出書類の内容を総合的に考慮した結果、申立初診日における診療が線維筋痛症に係る一連の診療のうち「初めての診療」であると認められれば、申立初診日が初診日として取り扱われる場合もあります。
いずれにせよ、初診日の申し立てる上では、障害年金制度に関する専門的な知見が必要になるため、社会保険労務士に相談してみることをおすすめします。
当事務所では、障害年金についてのご相談を初回無料で行っております。
認定の基準
線維筋痛症の障害年金認定は「肢体の障害」の基準に則って審査が行われます。
「国民年金・厚生年金 障害認定基準」(全文はこちら)に書かれている肢体の障害の基準を、線維筋痛症に合わせる形で書くと次のようになります。

☆注意する事項
5-1.肢体の診断書を作成してもらう
障害年金の請求を行う際の重要書類である診断書の書式は、障害の種類によって異なります。
線維筋痛症の場合は、診断書様式第120号の3「肢体の障害用の診断書」を使用します。
難病の場合「血液・造血器・その他の障害用の診断書」を使用する場合が多々あります。
しかし、同じ難病でも線維筋痛症の場合は「肢体の診断書」を使用しますので間違えないようにしましょう。
5-2.診断書に線維筋痛症のステージを必ず記載してもらう
診断書には以下の線維筋痛症の重症度を示す5つのステージ(下記に一覧表を掲載)のうち、どのステージに該当するか記載してもらう必要があります。
出典:日本線維筋痛症学会「線維筋痛症診療ガイドライン」

(日本線維筋痛症学会)
明示はされていませんが、これまでの経験上、
ステージⅡ~Ⅲが3級相当
ステージⅢ~Ⅳが2級相当
ステージⅤが1級相当
と判断されることが多いと感じています。
記載してもらう箇所は、診断書⑨「現在までの治療の内容、期間、経過、その他参考となる事項」欄(下記の画像参照)です。
ステージの記載がない場合、年金事務所の窓口で受け取ってもらえなかったり、提出した診断書が年金機構から後日、差し戻されたりします。
何度もお医者さんや年金事務所に足を運ぶのは手間ですので、必ずステージを記載してもらうようにしましょう。

お医者さんに依頼して書いてもらった診断書の内容は、必ずご自身またはご家族が確認しましょう。
障害の実態と記載内容の整合性が取れた適切な診断書が受け取れるとは限らないからです。
記述漏れや書き誤りのチェックはもちろんのこと、関節可動域・筋力と日常生活動作についての記載内容の整合性が取れているかどうかは確認しておくべき点です。
診断書裏面にある、関節可動域・筋力の評価と日常生活における動作の評価に該当する箇所を確認してみてください。
日常生活における動作の障害の程度については、評価基準に沿ってきちんと記載されているかどうかを見ます。
まず、杖や補助用具を使用しない状態で判断して記載してもらう必要があります。
補助用具を使用した状態で記載されていないかどうかチェックする必要があります。
また◯や△を使用した「動作の4段階評価の基準」をお医者さんが誤認している場合がありますので注意しましょう。
瞬間的に出来ても実用性に乏しければ△×か×の評価。
両手で行う動作も片手で行う場合は、△×の評価。
動作が出来る場合でも、時間はかかっていないか、毎回できるか、自分で工夫をして行っていないかなども考慮されたうえで、正しく評価が行われているかもチェックしましょう。
診断書の記載内容と実態に違いがある場合には再びお医者さんのもとを訪れ、相談すべきです。
線維筋痛症は命に関わる病気ではないものの、重症化すれば日常生活を送ることが困難になる場合もあります。仕事を続けられなくなるかもしれません。
しかし、障害年金を受給できれば、経済的な支えが得られるため、安心して治療に専念できるのです。
とはいえ、線維筋痛症を患ったなら誰でも障害年金を受給できるわけではなく、受給要件を満たしていることが条件となります。
また適切な内容の診断書をそろえたり、初診日を正しく特定したりと留意点も多岐にわたります。
特に線維筋痛症においては、他の傷病と比べても初診日の特定が難しい面があります。
適切な初診日を選択しなければ、本来の受給額より少なくなってしまったり、受給が遅れたりといった事態になりかねません。
線維筋痛症で障害年金の請求をする場合には、「障害年金の専門家」の力を借りることがおすすめです。
以上、「障害の程度要件について(線維筋痛症)~ここが肝心🙋」について、お話しました。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
なお、よろしければ次のブログもご覧になってください🙇
『コロナ感染後には心臓にご注意~私が試みている1つの方法について~』 (shion-npo.com) 毎週金曜日更新!
『コロナウィルス感染の後、病院退院後20日経過のその後の私』 (ameblo.jp) 原則週一不定期更新!
「日本年金機構サイト」より
☆1級該当認定事例(日本年金機構)



☆2級該当認定事例(日本年金機構)



☆3級該当認定事例(日本年金機構)



