『障害の程度要件について(発達障害と就労)~ここが肝心🙋~』
みなさん、おはようございます。「障害年金の寺小屋」です。
前回、『社会的治癒について~ここが肝心🙋~』について、お話ししました。😄
今回は、「障害の程度要件について(発達障害と就労)~ここが肝心🙋~」について、お話しします。🙇
前にお話しした「気分障害」では、原則として就労していると障害年金をもらうことができず、就労支援作業所や、職場でその病状に対して特別な配慮がある場合等に限って、3級と認められる程度となっております。
このことに対して発達障害では、就労していても2級と判定されることがあります。
例えば、平成30年4月24日東京地裁の判決では、アスペルガー症候群で就労していたことから障害基礎年金支給停止とされた決定を取り消しされています。
つまり、2級と認めたわけです。
判決については、「日常生活能力の判定」の7項目及び就労状況について、丁寧にその援助の度合いを検討した結果、
「社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられることから、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの」
という「認定基準の2級の例示に該当する」としております。
このときの被告(国)は、
認定に当たって想定される「日常生活」とは、「労働に従事すること等の社会内のおける様々な他人との複雑な人間関係の中での社会的活動よりも狭い範囲の活動」であり、具体的には、
1.食事や入浴、家事などの、他人関係を伴わず、主に家庭内で行う行動
2.買い物や通院等、比較的単純な対人関係を比較的単純な対人活動を伴う活動をさすもの
とし、原告(請求者本人)の本件処分当時の生活は、本件認定基準にいう
「家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの」、「家庭の生活で言えば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの」
という例示にみられる活動範囲を大幅に超える、広い活動範囲の中で営まれていたものと主張。
これに対して、裁判所は、
被告(国)が指摘する「本件認定基準の例示」の記載は、「障害等級2級に該当する障害の程度」とされる
「必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもの」
の「例示」として記述されたものであるところ、
これらは「身体の機能障害又は長期にわたる安静を必要とする症状」についての例示であって、「必ずしも闊達障害を含む精神の障害について想定したものとはいえない」。
本件認定基準は、
「発達障害について個別に基準を設け、日常生活能力等の判定に当たっては、社会的な適応性の程度において判断するもの」
とし、また、
「労働に従事したことをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えるべきではない」
としているのであるから、発達障害について、障害等級2級に相当する場合として
「活動の範囲がおおむね家屋内に限定する趣旨ではない」
と解すべきであるとされ、支給停止処分を取り消しし、2級容認されたわけです。
この判決の大事な部分は、
「認定基準の発達障害の個別基準に当ては待て2級該当性を判断している」
という点にあります。
その個別基準は、
「社会的行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために、日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う」
として、2級の例示として、
「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適切な行動がみられる日常生活への適応にあたって援助が必要なもの」
とされています。
国年法施行令2級15号の「著しい日常生活制限」は、
発達障害については「社会性」に着目し、「日常生活の適応にあたって援助が必要なもの」等
となっており、このことは発達障害の認定を考える際には大変重要なポイントとなります。
平成28年9月に精神障害等級判定ガイドラインが施行。
そして、翌平成29年4月からは中央裁定が始まりました。
それまでは、障害基礎年金の審査を都道府県で行っていたことで、生じていた認定上の格差を是正するために、障害厚生年金と同様に、東京で一括して審査や認定が行われることとなりました。
このことでその格差は改善されたと言われておりますが、時期を同じくして、それ以降の発達障害の認定に際しても、
「障害者雇用により支援を受けて就労している場合でも、2級と認定されていることが多くなった」
という状況となっているようです。
この「就労した場合の2級該当非該当の部分」が、知的障害やてんかんを除く、「うつ病等の他の精神疾患」と対比し、大変大きく異なっている箇所かと思います。
「同じ精神疾患の診断書を使って」ことと、「同じ精神科が作成する」こと。
私は、このことが大きな理由のひとつであるのでは考えております。
お医者さんは医療の専門家であって、障害年金のプロではありません。
一般的な社労士でさえ、こんな細かいことまでわかるはずがないでしょう。
専門的になればなるほど、他のことまで目に映らなくなってきます。
ただ、先生が「患者に良くなってもらいたい」という気持ちを、
私はその患者のこうした外部要因の一つである「経済的部分を支えること」で、ずっと治療が続けていけるようにして、
「医師の先生方と一緒になって、患者が少しでも元気になれるよう、お手伝いしたい」なと思っております。
以上、「障害の程度要件について(発達障害と就労)~ここが肝心🙋」について、お話しました。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
なお、よろしければ次のブログもご覧になってください🙇
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