基本編

『障害の程度要件について(肝疾患)~ここが肝心🙋~』

みなさん、おはようございます。「障害年金の寺小屋」です。


前回、「障害の程度要件について(発達障害)~ここが肝心🙋~」について、お話ししました。😄

今回は、「障害の程度要件について(肝疾患)~ここが肝心🙋~」について、お話しします。🙇



肝機能の障害認定基準については、平成26年6月施行により改正されています。

1.認定基準の「2(4)重症判定の検査項目及び臨床所見」の大幅な見直し

グローバルな基準値である「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)スコア」で重症度を判定することとされ、認定基準を改正されました。

血清アルブミンには3つの測定方法(BCG法、BCP法、改良型BCP法)があり、認定基準としてはBCG法の数値を用いることになっております。

ところで、「日本肝臓学会」によると、採用率としては、改良型BCP法が46.4%、BCG法が46%、そしてBCP法は3.3%。

前者2つの方法がほぼ同数で採用されているそうです。

この測定方法に統一された換算式はなく、このことから「診断書の注意書き」に「改良型BCP法の換算式を掲載する」ことになっています。

ただし、換算式によって数値の再計算をすることは大変との考えにより、”診断書裏面の⑬肝疾患(3)検査成績の「血清アルブミン」の欄”にも、これら3つの方法の測定方法が記載され、そのうちのいずれかに〇をすることになっています。



また、1級の認定に「又は高度異常を2つ及び中程度の異常を2つ以上示すもの」が追加され、該当者が増えることとなりましたが、検査数値の異常、他の傷病との整合性という観点から、次のとおり、「一般状態区分」による等級の基準は「かつ」という表現で残っています。

下記の検査成績及び臨床所見のうち、高度異常を3つ以上示すもの又は高度異常を2つ及び中等度の異常を2つ以上示すもので、かつ一般状態区分表のオに該当するもの



このことについて、厚労省はパブリックコメントの結果、次のように回答されています。


『「検査項目」「臨床所見」が1級相当となる者(「高度異常を3つ以上示すもの」又は「高度異常を2つ及び中程度の異常を2つ以上示すもの」)は、

「日常生活においても相当程度の影響が生じているもの」と考えられるため、・・・・(省略)、

「一般状態区分の判断」について、「診断書やその他の添付資料により妥当と判断される場合以外」については、「診断書を作成した医師に照会」して、「一般的には日常生活に相当程度の影響が生じていると考えられている点を含めて説明」した上で、「その状況を確認するなどの対応」を行います。』


このようなことで、認定基準上では「かつ」という表現で残ってはいるものの、それは形式的な表現だけであり、「かつ」は「=」、すなわち「一般状態区分はオ」と判定されるものとなっています。




2.慢性肝炎

従来、慢性肝炎は「インターフェロン治療で99%、症状がコントロールできるもの」という理由により、認定の対象から外されていました。

ところが、改正により、

・治療により労働に支障がある場合

・傷病名が「慢性肝炎」であっても、検査数値から「肝硬変」であったり、ボーダーラインであったりする場合

等が見受けられることから、明確に「認定要領の例示」に該当するようであれば、障害等級を認められることとなっております。




3.肝移植の取り扱い

臓器移植の取り扱いは、肝移植も含めて、元々、認定基準の「その他疾患」で定めた基準である次のとおりです。

a.術後の症状、治療経過及び検査成績等を十分に考慮して総合的に認定する。

b.臓器移植後、少なくとも1年間は従前の等級とする。等級が3級の場合は、2年間の経過観察を行う。


肝移植を受ける人は「検査数値的に1級に該当」していることから、『肝移植後の従前の等級とする期間は「1年間」』となります。




あと、アルコール性肝炎のことも改正されていましたが、実際にはこの認定要領に該当する人はいないのではないかと思われますので、割愛させていただきます。





以上、「障害の程度要件について(肝疾患)~ここが肝心🙋」について、お話しました。🙇

それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋


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