特別編

『「眼瞼けいれんの方の取り扱いに関する厚生労働省からの通知」について~ここが肝心!🙋~』

前回は、『「障害年金と交通事故の関係」について~ここが肝心!🙋~』について、お話ししました。😄

今回は、『「眼瞼けいれんの方の取り扱いに関する厚生労働省からの通知」について~ここが肝心!🙋~』について、お話しします。🙇

☆この度、次のとおり、眼瞼けいれんの方の取り扱いについて、厚生労働省年金局から事務連絡として通知が出されました。

この通知の内容について、「いったいどういうことなのか」、これまでの経緯からくわしく見ていきたいと思います。

①「眼瞼けいれん」とは?

眼瞼けいれんはまぶたが下がり眼の開眼ができず、症状が進行すると全く眼が開けられなくなる難病です。

②「眼瞼けいれん」についてのこれまでの経緯

眼瞼けいれんも他の傷病と同様に症状に大きな個人差があります。

重度患者になると眼がずっと閉じたままで就労することはもちろん、外出することも困難となる場合もあります。

こうした重症患者も含めて、「障害手当金」に分類されてしまうというのが現状です。
 
 
しかし、通常は、障害手当金でも「傷病が治らない」障害の場合は3級に該当することとなっております。

眼瞼けいれんは医師によっても「症状固定」か「進行性」で意見が分かれるところです。

が、これまでは残念ながら、障害年金請求の審査を行う認定医のほとんどは、「症状固定」として判断、障害手当金と認定しています。

③「眼瞼けいれん」の障害等級

平成25年6月1日の障害認定基準の改正において、眼瞼けいれんに関する認定基準も追加されました。

当事務所で認定基準からわかりやすくまとめています。 

そちら(以下、「認定基準」)をご覧ください。

「3.その他の眼の障害」の認定基準には、「障害手当金」のみの欄があり、そのうち、

『3.「まぶたの運動障害」のうち、眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業等が続けられない程度のもの』

に記載があります。

つまり、眼瞼けいれんは「障害手当金」に該当するということになります。 

④一般的な障害等級についてご説明

まず、障害年金の制度には、一般的に国民年金制度と厚生年金保険制度があります。

国民年金制度では「障害基礎年金」が支給され、厚生年金保険制度では「障害厚生年金+障害基礎年金」が支給されることになります。

「障害基礎年金」では1級と2級が、「障害厚生年金」では1級、2級に加えて3級と障害手当金の、障害等級があります。
障害年金でもらえる金額 


※障害等級の内容について

1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる

2級:日常生活が著しい制限を受ける

3級:労働が著しい制限を受ける、傷病が治らないで労働が制限を受ける

障害手当金:労働が制限を受ける

⑤「障害手当金」とは?

障害手当金とは、障害厚生年金3級に達しない障害の場合に、年金ではなく一時金として支給されるものです。

その額は、報酬比例の年金額(3級障害厚生年金)の2年分で、最低保障額は令和6年4月1日現在、1,224,000円(3級障害厚生年金の最低保障額の2年分に近い金額です。)

初診日から5年以内に障害が「治った」場合(症状固定)に、その治った(症状固定)日から5年以内に請求した場合にだけ支給されます。

※症状固定とは(法令上は「傷病が治った」とは)

症状固定とは(法令上は「傷病が治った」とは)

次の2つの要件を両方満たすことにより、症状固定したとして障害手当金を支給する。

① 症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められること

② 医療の効果が期待できない

⑥「眼瞼けいれん」にかかる障害認定基準によるこれまでの取り扱い

「眼瞼けいれん」の障害年金認定基準については、3級の(労働に著しい制限)や2級以上に該当するという記載がなく、障害の程度が障害手当金(労働(単に)制限があるという程度)に限定されています。

本来、障害年金の認定においては、日常生活や働くことにどれだけの支障が出ているかによって受給の可否が決まるはずです。

⑦「眼瞼けいれん」についての不服申立の裁決等の状況

a.2016年〜2019年の3年間に5件の裁決で3級を容認

ボトックス治療の効果は限定的であっても、医療効果が認められるから症状固定ではない。

⇒ 不服申立て⇨国は4か月後に「間違えました」と3級認定

b.現在では3級ももらえなくなっている

令和5年以降

・3級を受給していた8割の人が支給停止: 12件支給停止 3件継続

・新規請求の人も不服申立てをしても3級にしない

ア)ボトックス治療をしている場合

医療効果があるという裁決 
➡不服申立てが認められる可能性は十分ある。



イ)ボトックス注射をしていない場合

症状固定として障害手当金 
➡不服申立てはこれまで認められていない。

※現在のところ、「難病や内科的疾患、精神障害」には「症状固定という扱いはされてない」。
➡障害等級は3級までとなり、「障害手当金」の認定がされることはない。

⑧今後の「眼瞼けいれん」にかかる障害認定での取り扱い

今回の通知に記載のとおり、次により取り扱われることとなりました。

1.眼瞼痙攣の取扱いについて 

原処分及び審査請求の対応について、「症状の固定」かどうかの判断を、ボトックス注射をしているかどうかという事実だけで判断するのではなく、ボトックス注射も含めた全体の治療等の経過に着目し、効果や症状等を踏まえて個別に判断すること。 

その際、社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和 28 年法律第 206 号)に基づき行われた過去の同様の社会保険審査官の決定や社会保険審査会の裁決(以下「裁決等」 という。)の内容等を踏まえ、審査等を行うこと。
 


2.過去の事案の取扱いについて 

ボトックス注射を行っている眼瞼痙攣に係る過去の事案(眼瞼痙攣に係る障害認定基準の改正以降。障害年金と決定したものを除く。)については、1の方針に基づき、裁決等が行われた事案を除き、再度審査を行うこと。 


3.裁決等を踏まえた対応について 

今後、裁決等の内容について、特に、同種の事案で同様の裁決等が複数続いている場合などは、その内容を十分に精査し、疑義が生じた際には、年金局事業管理課と方針を協議し、必要な対応を行うこと。 

⑨まとめ

「眼瞼痙攣の取扱い」について、これまで、関係者やその団体等が政府に対して意見されてきました。

そのことが一部認められて、反映された結果であると思われます。

これまでも他の障害年金の認定に関して、同様のことが見受けられます。

多数の方がこうして声を上げていくことで、政府もはじめて「そんな問題があるのか?」と認知することになります。

おかしいと感じてもただ単に黙っているだけでは、「別に意義もないようだし」としておかしいとは認知されず、そのままにされてしまいます。

今はたとえ認定されずとも、おかしいことにはおかしいと声を上げていくことは、障害認定においても非常に大切なことであると、私は思います。 

以上、『「眼瞼けいれんの方の取り扱いに関する厚生労働省からの通知」について~ここが肝心!🙋~』について、お話しました。🙇


それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋


なお、よろしければ次のブログもご覧になってください🙇


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