『「遡及請求」について~ここが肝心!🙋~』
前回は、『「糖尿病の方に関する厚生労働省からの通知」について~ここが肝心!🙋~』について、お話ししました。😄
今回は、『「遡及請求」について~ここが肝心!🙋~』について、お話しします。🙇
障害年金の申請のほとんどは、事後重傷請求が占めています。
以前にこのことについて、お話ししました。
今回は3つの請求方法のうち他の1つ、本当によく相談される遡及請求についてお話しします。
よく「遡及請求したいのですが?」と質問がありますが、ご契約の後、手続きを進めていくうちに「遡及請求できるのではないか?」、自然とそのような流れとなり、申請した結果、審査により障害認定されたというのが現実です。
決して最初から狙ってできることではありません。
①障害年金の請求の方法
障害年金には、「認定請求」、「事後重症請求」、「遡及請求」という3つの請求方法があります。
認定日請求と遡及請求では、障害年金の請求が遅れた場合でも、障害認定日に遡って障害年金を受けることができます。
対して、事後重症請求では、「遡って受け取ることはできません。」
以下に詳しく説明いたします。
a.認定日請求及び遡及請求について
認定日請求及び遡及請求とは、障害認定日(原則、初診日から1年6ヶ月を過ぎた日または症状が固定した日、20歳前に障害認定日がある方は20歳の誕生日の前日)に、
障害等級に該当する(障害厚生年金が受給できる方は3級以上、障害基礎年金が受給できる方は2級以上)障害の状態であった場合に行う請求の仕方をいいます。
通常、「障害認定日より1年以内に請求」しますが、このことを「認定日請求」といいます。
また、「障害認定日より1年以上経ってから請求すること」を「遡及請求」といいます。
ところで、障害年金の支払については請求日より5年分のみとなり、「5年間を過ぎた分は時効」となります。
例えば、10年前に障害認定日がある場合でも、5年分の年金しか支給されません。
この認定日請求を行うためには、原則として「障害認定日から3ヶ月以内の症状について書かれた診断書」の提出が必要となります。
このことに対して、遡及請求では、この診断書とは別に原則としてもう1枚診断書が必要となります。
それは、「現在の診断書が別に必要」となるのです。
このため、遡及請求の際には原則、2枚の診断書が必要となることをお忘れなく!
b.事後重症請求について
「障害認定日に障害の状態になかった方が、障害認定日後に障害の状態が悪化し、障害年金の等級に該当した場合に請求すること」ができます。
この請求の方法を「事後重症請求」といいます。
この事後重症請求の場合、障害年金の支払いが開始されるのは、「請求日の翌月から」となります。
例えば、障害認定日から2年後に状態が悪化し、障害の2級に該当していたとします。
この場合、それからまもなくして診断書を取得しても、障害認定日に遡って請求することはできません。
事後重症としての請求になります。
例外的に、3ヶ月以内の診断書が取れなくても、その前後の診断書で症状が認定された場合や、裁判で認められた例もあります。
が、必ずしも認められるとは限りません。
また、認定日請求や遡及請求を行った場合でも、認定日から障害認定されず、事後重症請求として認定されることもあります。
②「遡及請求できない」ケースとは?
例えば、次のような場合は、障害認定日時点での障害の状態のわかる診断書を用意することができません。
1.障害認定日に通院していた病院のカルテが破棄されている
2.障害認定日に通院していた病院が閉院している
3.医師が診断書を作成してくれない
4.障害認定日から3か月以内に病院に行っていない
以上のように、「診断書が取れず、障害認定日に障害等級に該当することを証明することができない場合」には、遡及請求をすることができず、やむを得ないことから事後重症請求を行うことになるわけです。
障害認定日以降に障害の状態が重くなった場合以外でも、事後重症請求を行うこともあるのです。
③「遡及請求」の特徴
a.受給権発生と支払い開始時期について
事後重症請求では、「障害年金の請求をした月に受給権(年金給付を受け取れる権利)が発生」し、「その翌月から障害年金の支給が開始」されます。
これに対して、認定日請求と遡及請求は、「認定日に遡って(遡及して)権利が発生」し、「その翌月から障害年金の支給が開始」されるわけです。
b.遡及請求は1年以上、認定日まで遡るもの
事後重症請求は「現在から未来に向けてのみのもの」であり、決して遡って支給されることはありません。
これに対して、認定日請求及び遡及請求は、障害認定日(原則、「1年6ヶ月を経過した日」)障害等級に該当すれば、遡って支給されます。
障害認定された場合、「障害認定日から受給権が発生し、年金が支給されるのは障害認定日の翌月から」となります。
なお、この「障害認定日に障害等級に該当しないときで、その後において障害等級に該当することになった場合」には、全て「事後重傷請求」となるのです。
例えば、「障害認定日が5年前で障害等級に該当せず、障害認定日の後に症状が重くなり、実際に障害等級に該当したのが3年前」だったとします。
この場合には、3年前まで遡って年金を受給することはできません。
なぜなら、「障害認定日に障害等級に該当しない」このケースの場合は、「事後重傷請求」しかできないことになるからです。
以上のように、「遡って年金の支給が受けられるのかどうか」という点が、認定日請求及び遡及請求と事後重症請求の大きな違いです。
④「遡及請求」を行う場合の注意点
a.65歳以降でも請求できる!
認定日請求及び遡及請求は、「65歳に達する日の前日までに障害等級に該当」すれば、65歳以降でも請求が可能です。
これに対して、事後重症請求は、「65歳の誕生日前々日までに請求」必要があります。
すなわち、65歳を過ぎている方は、障害認定日請求及び遡及請求しかできないということです。
なお、「老齢基礎年金の繰上げ請求をされた方は、65歳に達したとみなされる」ことから、事後重症請求をすることができません。(障害認定日請求・遡及請求の場合はできる場合有り。)
b.早めに行うことが望ましい
遡及請求のもらえるのは、請求時点から5年間のみであり、それ以前の分は消滅時効の関係でもらうことができません。
このため、手続きはなるべく早く行うことです。
カルテの存在、病院があること等の心配もあるからです。
ない場合には、初診日の証明や診断書が用意できず、申請できないこととなります。
また、遡及請求は他の請求方法とは違い、準備する書類も増えて、認定も厳しくなります。
もらえる金額がかなり大きいことも要因でしょう。
規定されている書類の他にも、障害年金を専門とする当事務所は、必要により書類を追加するのは常となっています。
認定率を上げるには、用意周到な準備が必要となりますので。
さらに、遡及請求の場合には、その書類が他の請求方法よりも多くなることが多いです。
また、書類の作成も詳細となり、また複雑になります。
そのため、他の請求とはまた異なり、慎重を期するため時間がかかることとなります。
なお、認定されなかった場合は事後重症請求となります。
「年金が支給されるのは請求日の翌月から」となるため、「請求が遅れれば遅れるほど結果的に受け取る金額が少なくなってしまう」こととなります。
⑤その他注意すること
1.遡及請求には、障害認定日から3ヶ月以内の診断書、現在の障害の状態(現症)を記載した診断書の2種類の診断書を提出すること。
2.診断書の日付(現症日)から3か月以内に、年金事務所または市区町村役場に提出すること。
3.このほかにも、戸籍謄本や住民票、配偶者の所得証明や子の在学証明書、障害年金の初診日に関する調査票などが必要なケースがあること。(有効期限1ヶ月以内)
遡及請求では、処理する過程が大変複雑であり、また認定の審査自体も厳しくなります。
ぜひ、最寄りの年金事務所や障害年金専門の社労士にせひご相談ください。
以上、『「遡及請求」について~ここが肝心!🙋~』について、お話しました。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
