最近の出来事から

『料金の値上げ~物価高での苦悩』

前回は、『「遡及請求」について~ここが肝心!🙋~』について、お話ししました。😄

今回は、最近の出来事からとして、『料金の値上げ~物価高での苦悩』について、お話しします。🙇

11月に悩んだ末、3度も料金の見直しをしました。

できるだけ金額を抑えていくつもりが、相次ぐ値上げラッシュについて行けなくなったからです。



当事務所は、現在、事務手数料22,000円を契約時に、また障害認定となって銀行口座に振込があってから、成功報酬として、原則、年金額の2.2ヶ月分いただいております。




「高いなあ!」

依頼される月給取りのみなさんは、きっとこう思われることでしょう。

開業した当時の私も「こんなにもらっていいのだろうか?」と思っていました。

開業時は、秋口だったので年間の必要経費は把握できません。

個人事業主は、1月~12月が会計年度となり、決算をして確定申告となります。

このことからです。



ですので、初年度は参考になりません。

その翌年である2年目が終了して、初めて丸1年間の経費がわかることにになります。



ただ、開業時には事務所の賃貸にかかる費用や備品の購入等に、多額の費用が必要でした。

3年目に入って確定申告の手続きを済ませてから、あらためて原価計算をいたしました。

要するに、決算時の事務所経費として年間の総費用と、事務所の原則とする稼働日数から割り算をして、1日当たりの必要な費用を割り出しました。



最初は「1日当たり3万円くらいかな?」と高をくくってました。

が、出たのは「1日当たり5万円!」という金額。

この金額は、開業時に知り合いの個人事業主の方に、また知人の税理士に聞いた金額でもありました。

「なぜ、こんなに費用が必要なんだ?」

と私は思いました。

その経費の中には、事務所の固定費として自分の給料、光熱水費。

その上に、賃貸費用や駐車場の借り上げの費用くらいは必要であることは、みなさんもおわかりになるでしょう。



ところが、その上に、購入した備品類、年金事務所や病院に調査等に行くための自動車の購入費用、そのガソリン代や自動車保険料に自動車税、その他、損害保険料、弁護士保険料、さまざまな費用が乗っかります。

事務所の営業活動に関する費用を全て参入します。




もちろん、自動車や備品類は耐用年数で割ることで、1年に費用として計上できる額が決まってきます。

現実には一度に支払いをすることも多いですが、そんなことをすれば年間の費用が大きくなりすぎ、その会計年度の経営状況が把握できなくなることからです。

他にもその都度、出て行く費用が存在します。



こうした費用の総額を出して、それを稼働日数で割り算すると、「1日当たり5万円」という金額が本当に出てきたわけなんです。

私は、自分自身が病気で13年間以上過ごしました。

その間、障害年金のお世話になったことがあります。

そのことから、依頼された方のことを考えて、できるだけ費用を抑えて、良いサービスをと考えて参りました。




事務手数料22,000円。

これはずっと、当事務所と依頼者の間を往復するのに使用する、レターパックプラスの費用に大部分を充てておりました。

当時は1部520円、往復で1,040円。

これを標準で16回以上繰り返し、赤字になることもしばしばありました。




もちろん、「予期せぬ時にはご相談の上、別途徴収」という契約書の規定はあります。

が、自分と依頼者を重ねて見ていたことで、大抵の場合にはそれはできなかったのです。




そして、郵送費用としてレターパックプラスの代金は、全て当事務所の負担。

また、往復に使用するレターパックプラスには、当事務所と依頼者の宛名シールを作成して貼り付け。

依頼者には郵送するのはただポスト投函するだけ。

病気やけがによりお困りのみなさんに負担をかけないように、配慮していたつもりです。

ところが、10月いろいろなものが値上げしました。

まず、レターパックプラスは1部520円から600円に!

約16%もの値上げです。



当事務所では従業員を雇ってないので、最近問題となっている賃上げと社会保険料の加入のことでは、直接的には影響はありません。

ところが、政府が言われているように、「賃上げ分を価格転嫁に」ということで物価が上昇。

ガソリン等や光熱水費も高騰し、それがまた価格転嫁をすることになり、現在の物価高がドンドン進んで参りました。

「10月に値上げがあるから」

そう考えて、11月に入り、料金の見直しをはかりました。



すると、ニュースで「11月もいろいろなものが値上げされます」と見出しにありました。

「ええっ!まだまだ続くのか!」

そう思っていると、そのニュースは現実のものとなり、現在も未だにガソリンや灯油などの燃料費は上がり続けています。



こうしたことから、当事務所はなるべく経費を抑えたサービスをと悩みながら、原価計算をやり直すこと3回。

料金改定を3度も、11月に行う羽目となりました。

依頼者の中には、ご自分からこのことを心配して、事情を聞いてくださった方もおられます。

他の社労士事務所では同じことをやっているところは、全国にありません。

当初から「気にかかっていた」そうです。




契約の後、書類作成に標準で2ヶ月、提出後の審査に3ヶ月~4ヶ月あまり、そして認定されて年金証書が届いてから、さらに実際に銀行口座へ振込されるまで50日前後。

その振込後に当事務所は報酬をいただく(成功報酬)わけです。

要するに、契約してから業務を行っても、業務開始から約8ヶ月前後しないと、当事務所にはほぼ1円も入金されないという状況です。



こうしている背景には、依頼者の方の実情があります。

傷病により働くことのできない方への稼得保障、つまり生活費の工面という役割としての障害年金。

そのことを考慮して、こうした配慮を行っています。

「月に5万円?よくそんな金額でやっていけるなあ」

経営者の方にはよくそう言われます。



が、県庁勤めだった私のように月給取りの人たちは、私が思ったように「高いなあ!」ときっと思われるのは、当たり前でしょう。

経営のことまでわからないのが普通です。




私は、いちおう、県庁時代に企業会計の経理を従事して、複式簿記の経理の管理と、それに伴う決算報告や確定申告、あるいは経営分析等にも従事していました。

それでも、経理をするにしても、「自分が実際に事業をして経営のために経理を行うのと、ただ組織の中で働くということ経理をすることは、全く大違い」でした。

個人事業主でもいちおう経営者だということです。

このことが丸1年間の収支を目にしたときの、私の心中でした。

ここでみなさん、考えてみてください。

私一人の個人事業主ではなく、これが従業員を雇っている法人経営であったら、いったいどうなるのか?

まず、給料等の人件費や、最近ニュースに取り沙汰されている、社会保険料の負担のことを思い浮かべられる方も多いことでしょう。



それに、大所帯となるとすると、大きな事務所や大きな駐車場が必要。

また、運営費として多額の光熱水費や損害保険料が必要でしょうし、人が多い分、営業で使用する自動車も多く必要となり、自動車税も台数分を支払うことが必要で、燃料費等もまた増加します。




もし、仮に、自動車は個人所有のものであっても、ガソリン代等の費用は費用弁償として、最低限の旅費等として支給しなければなりません。

できれば、その私有車を使用して業務に利用することから生じる、損耗費等の負担もすべきです。

他にも従業員に見合う業務量から、戸棚等の備品類も多く必要。

これらの莫大な経費が、報酬額に乗っかるのです。




こうしたことから、法人の大きな事務所にて、同じ成功報酬、同じ事務手数料で、個人事業主と同じサービスは、物理的に不可能です。

同じサービスを提供しようとすると、金額が高くなる。

金額を抑えようとすれば、サービス内容を減らす。

この2択しかありません。


私が大きな法人を経営するのであれば、多角経営を行うしか収益を上げる方法は見当たりません。

しかしながら、多角経営といっても地方の小さな街では、その対象となる企業や人が非常に少ないのです。

このように一見して大きな事務所は安心できそうに見えます。

が、賃金上昇や社会保険の加入の強化による社会保険料の負担額の増大など、人にまつわる経費のこともあって、今はとても大変だと思われます。



そう考えてみると、当事務所は私ひとり。

法人と比較すると、事務所自体の運営そのものとしては、賃上げや社会保険料負担額増の影響は受けません。

ただ、巷の物価高に対しての影響を考えるだけです。



それでも、自分自身が難病や障害により障害年金をもらっていた私は、11月に3度の料金見直しをするなど、本当に悩んだのです。

そうした当事務所に、私にできることは「より、障害年金の認定される精度を高めていくことで、依頼者のみなさんの信頼を上げていくことだ」と、考えました。

「コストダウンができないとなれば、仕事の中身で勝負する」しかありません。


ただ、周囲の社労士事務所は値上げせざるを得なくなるでしょう。

当事務所よりも、このことの悩みは大きな事務所ほど深刻だからです。

当事務所の周囲でも、個人事務所の値上げを目にすることがすでにあります。



私は、開業以来、障害年金の専門家というよりは、「障害年金の職人」を目指して参りました。

「腕で勝負、仕事の中身で勝負」

昔気質の大工さんなどの職人さんの姿を、今も理想の姿としております。

「べらんめえめ!」

と、時代劇で見るあの大工の棟梁のような姿。

それが私の夢見る姿です。




剣道でいえば、「ずっと使い古されて、それでいて黒光りするような磨き抜かれた木刀」のごとき人。

「そういう風になりたい」




私はこれからも「障害年金の職人」として、みなさまのお役に立ちたいと存じます。

以上、『料金の値上げ~物価高での苦悩』について、お話しました。🙇

それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋

『物価高が直撃!』
~企業の経営者も一般庶民もみんな大変です!~
2024年12月9日