『「客観的な書類であること」~社労士の代理申請との関わりは?』について~ここが肝心!🙋~
前回は、『「戸籍謄本が不要になった!~令和6年11月から」』について、お話ししました。😄
今回は、よくある質問の中から、『「客観的な書類であること」~社労士の代理申請との関わりは?』について、お話しします。🙇
みなさん、こんにちは。
私は、徳島障害年金サポートセンターで障害年金サポーターをしている、楠 昇と申します。
「自らが病気で障害年金をもらった社労士が、あなたの障害年金のお悩みを解決」をうたい文句とし、本業の障害年金専門社労士として、またNPO法人の代表として、現在、活動中です。
1.『客観的な』ということ
今回は、日本年金機構が規定する「客観的な書類」の、『客観的な』についてです。
まず、障害年金の申請には、様々な書類の提出が必要です。
その日本年金機構の書類に関する説明には、ほぼ必ず「客観的な」という言葉が付いています。
例外としては、「病歴・就労等状況等申立書」(以下「申立書」)という、申請者本人が作成するものくらいです。
では、「客観的な」とはいったいどういうことなのか、見ていくことにいたします。
2.障害年金に必要な書類とは?
障害年金を申請する際には、本当にとても多くの書類が必要です。
主な書類には、次のようなものがあります。
☆障害年金の申請に必要となる書類(主なもの)
1.年金請求書
2.診断書
3.受診状況等証明書
※「診断書と同じ医療機関の場合」および「知的障害で請求する場合」は不要
4.病歴・就労状況等申立書
5.通帳コピー
※「公金受取口座として登録済の口座を指定」に☑した場合は不要
6.障害者手帳や療育手帳のコピー
※ 持っている方のみ
以上は、規定のあるものですが、障害年金を専門とする当事務所では、以上の他にも書類を用意することがほとんど当たり前になっております。
その際に特に用意する書類についても、ほぼほとんどの場合、『客観的な書類』である必要があります。
3.認定は『客観的な書類』から
障害年金の認定については、認定基準をはじめ、「客観的なもの」によって行われます。
「客観的な」という言葉の意味について、有名な「コトバンク」には、次のように記載されております。
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1 主観または主体を離れて独立に存在するさま。⇔主観的。
2 特定の立場にとらわれず、物事を見たり考えたりするさま。
「 客観的 な意見」「 客観的 に描写する」⇔主観的』
主観的とは、物事を判断する際に主観(外界に対する自我)による価値を優先する様を指します。
客観的とは、自分の主観や思想の偏りを遠ざけ、第三者の目線から物事を観測する様を指します。
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このように、『生活のなかにおいて、様々な物事を学習する際に、経験や知識と同時に獲得してしまう、「先入観や思い込み」を排除することを意味しています。
このように、まず『第三者の目が用意した書類が、客観的な書類であるともいえる』と思います。
客観的(キャッカンテキ)とは? 意味や使い方 - コトバンク
4.客観的資料の代表格、『診断書』
「診断書は、請求者の障害の程度を確認するための重要な客観的資料となります。」
これは、日本年金機構の「かけはし 別冊 障害年金講座③ 診断書」に記載されている、診断書についての説明された言葉です。
bessatu03.pdf
診断書は言わずと知れた、障害年金の認定する上で、最も大切な書類となります。
この説明文から、診断書は、「客観的であること」を前提としています。
前述3の内容から、「客観的な書類である」ということは、『第三者が作成をした書類』ということ大きなポイントとなります。
参考
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「日本法における第三者」
日本法における法律用語としては、通常は一定の法律関係につき当事者以外の人物を指すが、条文の趣旨によっては限定的に解釈することもある。相続人など当事者から地位を包括的に受け継いだ者は通常は第三者とされない。
(出典)
第三者 - Wikipedia
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私たち社会保険労務士は、障害年金の申請を依頼された際、多くの場合、依頼されたご本人より「委任状」をいただきます。
この委任状に規定された事項について、本人を代理して申請の手続きを行うことになります。
その権限は、委任状に規定された事項に関しては、本人と全く同じ権限を有することになります。
「代理行為の要件及び効果」として、民法では次のように規定されています。
・・・・・・
民法 第99条第1項
「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」
・・・・・・
委任状による代理行為は「任意代理」といわれ、「委任状の内容に基づき、本人のために行われる行為」です。
委任状により、障害年金の申請する上において、『本人=代理する社労士』の関係です。
『診断書を作成する医師』とは当然、『本人及び代理人である社労士とは、全く営利関係のない人物』でなければなりません。
「障害年金の申請」を行うことについて、『直接的には関与することはない人物』であり、つまり、『全くの第三者』である必要があります。
このことが、『診断書が客観的な書類』といわれる所以であると思われます。
「客観的であるからこそ、書類に信憑性がある」
このことが、非常に重要です。
(参考)
「双務代理の禁止」
私の前職である徳島県庁時代。
従事していた頃に、条例を改正する際に学んだことの一つに、「双務代理の禁止」というものがありました。
例えば、大昔には、
「徳島県知事」と「地方公務員共済組合徳島県支部」、「徳島県職員生協協同組合」等は、代表者として当時の知事をそのまま充てていた頃もあったようです。
ところが、現在はこうしたことを法律に基づき、禁止しております。
このことを「双務代理の禁止」と申します。
(例)
「徳島県知事 阿波一郎」に対して、「徳島県職員生協協同組合 理事長 阿波一郎」はNG🙅!
対して、「徳島県職員生協協同組合 理事長 四国大介」ならOK🙆
このようなことで、たとえ組織の代表者の名前であっても、同一人物の名前となるのを禁止しているのです。
利害関係が一致したりした場合、よく問題となるのが収賄容疑等。
こうした疑いを未然に回避するためにも、こうした細かな配慮がなされております。
『疑いを未然に防ぐこと』
このことは、公的な書類を扱う上で、大変気をつけなければならないことの一つです。
私たち社会保険労務士も公的な書類を扱う者として、こうしたことは大変重要なことだと存じます。
「客観的な書類であること」
このことは、「第三者として客観的な書類であることを証明するもの」であるだけではありません。
前述のように、「利害関係にない者としての証明」であることも、大きな要素の一つです。
「申請者が障害年金を受領すること」によって、「報酬を受け取る者」は「利害関係を同じくする者」ということです。
県庁などの行政機関でも気をつけるべきことは、国家資格を持ち、公的な書類を取り扱う社会保険労務士においても、気をつける必要があります。
それは、代理者として行った行為の結果は、代理を依頼をされた申請者本人に対して、帰属することになるからです。
5.まとめ
障害年金の認定を受けるためには、「第三者の目線」よって作成された書類等の、「客観的な書類」等が必要となります。
「自分で作成したもの=主観的なもの」では、その事実を第三者である他人に対して、証明することができません。
そこには『信憑性がない』からです。
それでは、他人、つまり第三者に対して、説得力を持ちません。
以上から、障害年金の認定の上で一番重要となるのは、
『第三者に対して説得力を有する、認定のために必要な「客観的な書類」をいかに収集し、また、どのように活用していくのか?』
ということです。
最後になりますが、
私は、「県庁時代における障害福祉業務に従事した経験、また我が子のために障害者団体の役員に従事した体験」から、
私と同じく、障害や難病を抱えるみなさん、あるいは、障害を抱える子供さんをお持ちの、お父さんお母さんのお力になれればと存じます。
また、私は、「仕事や家庭等を失っても、また社会復帰することができること」、あるいは、「難病や障害を抱えていても、こうして働くことができること」を、
自分自身の姿を見せることで理解していただき、現在、障害や難病でお悩みのみなさんにも、どうか諦めずに頑張っていただければと存じます。
以上、『「客観的な書類であること~社労士の代理申請との関わりは?」について~ここが肝心!🙋~』でした。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
