『障害年金を申請する上で大切なこと~「なぜ書類が必要なのか?」~』について~ここが肝心!🙋~
前回は、『「稼得保障の制度」として「他の稼得保障制度との関係」~「障害者の社会参加の支援」として』について、お話ししました。😄
今回は、よくある質問の中から、『障害年金を申請する上で大切なこと~「なぜ書類が必要なのか?」~』について、お話しします。🙇
みなさん、こんにちは。
私は、徳島障害年金サポートセンターで障害年金サポーターをしている、楠 昇と申します。
「自らが病気で障害年金をもらった社労士が、あなたの障害年金のお悩みを解決」をうたい文句とし、本業の障害年金専門社労士として、またNPO法人の代表として、現在、活動中です。
1.『障害認定に必要な書類』のこと
今回は、「障害年金の認定をもらうために必要な書類のこと」についてです。
少し前に、「客観的な書類が必要」ということで、この「障害年金の寺小屋」において、説明したしました。
また、ずっと以前において、「障害認定は診断書で決まるのか?」ということについても、お話しをしたことがありました。
今回は、これらのことを引き続いてのお話であります。
障害年金に必要な書類には、原則として、日本年金機構のサイトにおいて、次のように記載が有ります。
2.『障害認定は書類審査である』ということ
続いて、このような書類がなぜ必要となるのかについて、ご説明申し上げます。
この障害年金の申請に限らず、いわゆるお役所の仕事は「書類審査」となるのがほとんどです。
私も県庁時代は、書類と押印することがいっぱいだった気がします。
山のような書類と、それに押印する箇所の多いこと。
現在では、基本、押印は不要とされる場合が多くなりました。
障害年金の申請では、ほとんど不要となっています。
「こうしたたくさんの書類を揃えて、何をするのか?」
このことが一番重要なところだと思います。
3.『障害認定は何についてされるのか?』ということ
申請の目的は、言わずと知れた「障害認定をもらうため」のはずです。
では、障害認定をもらうためには、「どういったことが必要であるのか?」
障害年金は、稼得保障の制度と前回、申し上げました。
その稼得保障の制度としての『障害年金の持つ「性格」』については、次のようなことです。
『病気やけがによって、「日常生活を過ごす」、または「仕事で働く」ということに対して、「差し支えることができてきた」場合に』申請を行うことができる。
わかりやすいように記載したつもりです。
こうしたときに、その病状等によって、重い方より「1級~3級までの障害等級」により認定をされ、もらるということになります。
この場合の『』内の状況を「客観的に(「第三者目線」で)見て、どうなのか?」という観点から、認定をもらうこととなります。
上記の、「第三者の」とは、一般的には「利害関係のない他人の」ということです。
通常、契約の場合、依頼者とこちら側で二人となり、それ以外の人として「第三者」と申します。
ただ、障害年金は社労士が代行する際、一般的には委任状をいただき、ご本人の代理となります。
ですから、「ご本人=社労士」の関係が存在することに注意が必要です。
こうした上で、上記の『』内のことを証明することが必要となります。
4.『書類の考え方』について
前述3のために必要な書類を作成、または取りそろえるわけです。
この書類の中心となるものが、「医師の診断書」となります。
このことによって、病気やけがの有無や状態、また診察の状況等がわかることから、一番大事な書類となります。
ところが、この障害年金の申請のための診断書には、全部で8種類の様式が存在します。
傷病によって使用される様式は様々です。
そのなかには、「日常生活や就労の際」について、記載する箇所が設けられていたりします。
しかしながら、例えば、精神疾患の病院のように、1人当たり5分間あるかどうかという限られた診療時間の中では、必要な事項を聴き取りし、全てカルテに記載することは物理的に無理があります。
理由としての1つには、『医師は患者の治療をするという目的のためにいる』ということもあります。
ところが、医師法という法律の中に、診療録(カルテ)、そしてその次条に診断書の作成が義務づけられています。
このこと規定により、医師の業務としてされていることになります。
このことから、医師としては、診療した結果を記述して、今後の診察へつなげていくためにも、診療録を作成しなければならない。
そして、診療録からその内容を記載していき、診断書を作成して、医師としての見解等を記載します。
ここで重要なのは、あくまで、患者の治療のために必要な事項を記録するためと考えられます。
まず、障害年金の診断書作成のためではありません。
そうなると、診断書に記載の有る内容以外の部分について、診断書の記載項目においてカルテに記載がないこと等では、より具体的に補足する必要が出てくる場合があります。
この場合に、診断書以外の客観的な書類を別に用意して、申立等によりそのことを証明をしていくこととなる。
そのような意味合いから、数々の書類が必要となってくる場合も存在する次第です。
5.『障害認定は医師の診断書のみで決まる』という考え方について
よくサイトで見かける言葉です。
診断書は障害認定における最重要書類だと、私も認識しております。
が、診断書のみで全てが決まる者ではないことを、私は自分自身の障害年金をもらった経緯から、よく存じております。
それは、たった1行の、今思えば信じられないような医師の診断書でした。
でも、障害年金のことをまるで知らなかった私が、2ヶ月あまりかけて病歴・就労等状況等申立書を作成。
その上で、長い仕事を休職期間中の様子を、水しか口にできなかった1月半を3度経験したこと等を、客観的な書類を準備するなどして申立たのでした。
障害年金はもらえましたが、それから3人ほど主治医を変更。
その度に、その診断書をお見せしました。
どの先生もきっと「診断書で決まる」と思われていたのでしょう。
当時は、確か、国民年金の障害年金については、各都道府県にて認定をしていたはずでしたし。
「3級でも(障害認定には)かすりもしないよ」
と言われた主治医もいました。
私もこのときは全く、自分でも認定された理由がよくわからずにいました。
でも、自分がこうして障害年金専門社労士として業務を行ううちに、この理由に気がついたのでした。
現実、このことを公言して、私の住む徳島県にも、
「契約して事務手数料をもらってからでなければ、取りかかれません。」
という社労士事務所もあるとの話も、相談のあった方からよく耳にいたします。
日本年金機構の原則的な書類のみを整備して、提出するだけであれば、「単なる書類の作成代行」であって、「代理して申請を代行」とは言えないと、私は考えております。
『診断書で決まるだけなのなら、社労士は不要です』
私は、いつも相談される方にこのように申し上げ、そしてまた、
『難しくはないです。お手間ですが、何度も年金事務所へ行くことになりますが、ご自分でできませんか?お金がかかりませんよ。』
と必ず、お話ししております。
私はたった1行の診断書を、自分の事務所の相談室に、額に入れて飾ろうと思います。
このことのおかげで、障害年金専門の社労士とすべき役割を、私は学ぶことができたからです。
6.『国家資格としての社会保険労務士の真価』
「国家資格を持ち、高い報酬に見合う仕事を行うこと」からこそ、「社会保険労務士としての価値」があり、そのことで私は「依頼されたから喜んでいただけるようになりたい」と存じます。
「他の社労士事務所では断られた。年金事務所でも首を傾げられた。申請できないのでしょうか?助けてもらえないのでしょうか?」
こうして困った方から相談されたとき、「グッと胸にこみ上げるもの」があります。
進めるにつれてだんだんと困難度が増していき、「できるのか?」と思いながら、悪戦苦闘。
ときには、県庁出身の方等を頼り、全く初対面の市役所副市長のところまで行く。
「カルテが本当にないのか、県立病院の方はどうなっているのか、わかりませんか?」
こうした結果、40年以上も前の初診日をも証明することができたこともありました。
「1日5万円の経費がかかるから、それだけ売上がないと廃業する」
こういつも毎回、依頼者に説明しながら成功報酬のことの説明を、毎回依頼者に対して行っております。
「依頼を受けてもこれは無理だ」
そういう場合には、率直に申し上げます。
『契約時に税込22,000円いただきます。私の事務所は1日当たり5万円の経費がかかります。お互いに損をするわけですから、意味の無い申請は辞めておきませんか?これからお金が大切になってきますから。』
病気療養中、働けずに、障害年金のわずか1ヶ月11万円しかない私は、1,000円のお金を使うのにもとても慎重になっていました。
預貯金を取り崩すのにも、同様です。
身寄りがないことから、もう頼る者が全くない。
そういうことで13年間以上を過ごしてきた私は、そうした気持ちが痛いほどよくわかります。
しかし、熱くなってしまうと、
「ええい!儲けを考えていては仕事にならんわ!」
となってしまうのが常。
そうして障害認定の証書が届いた方から深夜に電話があったり・・。
「ダメ元と思っていました、正直。どうもありがとうございました!」
喜んでくれています!
こんなことがあって、今も障害や難病を抱えている私に、またさらなるパワーを与えてくれて、病気の身体も元気にもしてくれているのです。
7.まとめ
『情けは人のためならず』と申します。
かつて、私が県庁時代にお世話になったお師匠、また先輩方より、いろいろと学んだことがありました。
家庭に恵まれずに過ごしてきた私にとって、肉親の情というものはよくわかりません。
「なんで、ここまでしてくださるのですか?」
私はあるとき、泣きながらお師匠に尋ねたことがありました。
当時は23歳で、徳島県庁へ大型コンピュータが導入され、職員の給与の電算化が行われていました。
その際、私は「県教育委員会」管轄の職員約9,000人の総括を命じられておりました。
同じ、いわゆる「県庁」という「知事部局」管轄の職員は約4,400人ほどでした。
知事部局の総括する担当者は私よりもずっと年上で、県庁退職後、今から数年前には徳島市の副市長をされていました。
その当時、私は18歳で県庁に入ったものの、その大役とも言える業務を遂行するには、人生の経験がほとんどなかった私には本当に大変でした。
一番年下の私が、先輩職員へ仕事をしてもらわなければならないのです。
そのことを見かねたのでしょう。
上司であったお師匠、先輩方は、私にいろいろと気を遣ってくれたのでした。
その後、様々なことがあって、私は徳島県庁を去ることになりました。
でも、ほんの数人の方でしたが、当時のお師匠や先輩方には、今も感謝しており、その中には、今なおご指導をいただく方もおられます。
私が病気にもかかわらず、こうして頑張ろうと思えるのは、そういった上司や先輩との思い出が大きなウエイトを占めております。
それをよく耳にされる言葉で表すと、次の言葉となります。
『情けは人のためならず』
家庭に恵まれなかった私には、ほんの数年間の日々が大変でした。
が、人と本当に触れあえた気がして、今の私にとっての一生の思い出になっています。
そうしたことから、私は上司や先輩、ほんの数人でしたが、私がその方たちにしていただいたことを、他の方にお返しすることで、「周り巡って、またその方たちに還っていくように」と、いつも心の中で願っております。
最後になりますが、
私は、「県庁時代における障害福祉業務に従事した経験、また我が子のために障害者団体の役員に従事した体験」から、
私と同じく、障害や難病を抱えるみなさん、あるいは、かつての私と同様に、障害を抱える子供さんをお持ちの、お父さんお母さんのお力になれればと存じます。
また、私は、「仕事や家庭等を失っても、また社会復帰することができること」、あるいは、「難病や障害を抱えていても、こうして働くことができること」を、
自分自身の姿を見せることで理解していただき、現在、障害や難病でお悩みのみなさんにも、どうか諦めずに頑張っていただければと存じます。
以上、『障害年金を申請する上で大切なこと~「なぜ書類が必要なのか?」~』についてでした。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
