特別編

『「相談事例から考える~障害年金はこれから先の生活を考えて」について~ここが肝心!🙋~』

前回は、『相談事例から考える~なぜ原則よりも例外なのか?~』について、お話ししました。😄

今回は、『相談事例から考える~障害年金はこれから先の生活を考えて』について、お話しします。🙇

みなさん、こんにちは。

私は、徳島障害年金サポートセンターで障害年金サポーターをしている、楠 昇と申します。

「自らが病気で障害年金をもらった社労士が、あなたの障害年金のお悩みを解決」をうたい文句とし、本業の障害年金専門社労士として、またNPO法人の代表として、現在、活動中です。

1.「うつ病」での申請で、似たような質問が?

12月から1月の間で、数件、似たような質問がありました。

全員、うつ病でのご質問であって、結果は申請しても認定もらえないと思われるものばかりでした。

「どうしてこんなのばかり??」

新規の申請もあれば、申請して認定をもらえなかったものもあります。

ここで、共通点があることに私は気付きました。

2.いただいた質問の内容

質問の内容は次のとおり。

「これは?」と私が思った、2つの例を取り上げてみました。

①「他の社労士事務所で、「働いていてももらえる可能性がある」と言われて申請しました。ところが、不支給となったのですが?」

②「私は社労士試験の勉強をしています。休職してから1年6ヶ月。数日前に復職しました。私は要件を満たしており、3級で60万円もらえると思うのですが?」

3.共通している点

お気づきだと思いますが、みなさん、次のような共通点が見られます。

・うつ病であること。

・就労に関係していること。

・障害等級3級認定をねらうものであること。

4.就労している場合の障害認定について

うつ病で就労している場合、原則はもらえません。

ただし、例外があります。

・職場から何らかの配慮をいただいている場合。

・障害者雇用である場合。

等々。

このように、「うつ病によって、職場の配慮をいただきながら、就労している」ことが必要となります。

このことを立証できると、障害等級3級をもらえる可能性があります。

5.休職していて復職された場合

①の質問の内容です。

「うつ病になって5年ほどになります。

この度、数ヶ月、職場を休職してから現在、復職しています。

職場には配慮をしていただき、担当部署を休職する前のところから、採用された部署へ配置換えしてもらいました。

給料は休職前と同じで、特に変わりありません。

自分でも障害年金がもらえるのかどうか、半信半疑でした。

が、社労士さんがもらえるように言われたので、申請しましたが、結局、不支給に。

その社労士さんは、「認定そのものは、日本年金機構がすることなので。」と言っていました。」

②の質問の内容です。

「休職して1年6ヶ月して少し前に復職しました。

復職後、元の給料の上に、昇給して給料が休職する前よりも増えました。

仕事は公務員で、勤務日数、勤務時間等は通常どおり。

ただし、職場から配慮してもらっています。

私も社労士試験の勉強しています。

(「あなたはもらえませんよ」と申し上げると)

1年6ヶ月した時点で障害等級に該当するので、私は障害年金をもらえるんです。

3級ならもらえるはずで、年額60万円、私はもらうことができるはずです。」

最近、①②の相談の後で、同じく、うつ病にて新規申請の相談がありました。

その際に、この①②の例についてお話し、いかが思われるか、感想をお聞きしました。

「素人の私にすら、もらえないことがわかりますよ!」

このように言われました。

みなさんは、いかが思われましたでしょうか?

また、なぜ、もらえないのでしょうか?

6.「障害年金は稼得保障である」

その答えの理由としては、少し前のブログでもお話ししましたが、障害年金は稼得保障の制度であるからです。




稼得保障とは、「生活の経済的な保障」を目的とするものです。

今日あげた①②ともに、休職前と比較して報酬は下がっていない。

むしろ、②の公務員の方は復職後、昇給しています。

「経済的に不安になることがない」ことから、①②ともに「保障そのものが必要ない」と考えられます。





社労士の世界でよく耳にする良い方にすると、

『報酬は、「労働したことに対する対価」』になります。

「労働したことに対する対価」は、「事業主が勤務評定をして、それによって支払われるもの」です。

通常、休職等の場合、「勤務評定は当然下がり、報酬にもそのことは反映され、下がる」ことが見込まれます。




ですが、このようにして「下がらない」、さらに「昇給した」というような場合、職場は「仕事できている」と評価をしているのです。

障害年金の申請でも、同じく、実際に「報酬から勤務評定を判断して、認定をもらえなかった例」も、過去には見受けられます。

また、「障害認定されて障害年金をもらいはじめて、ほんの数ヶ月後、休職から復職していたことで、後から認定取り消しされたもの」も、見た記憶があります。




そのため、まず、「制度が何のために存在するのか?」という、制度の目的や趣旨を理解することが、大変重要です。

7.障害年金は将来へ向けたもの

②の場合、この方は「障害認定日に障害等級に該当する」として、「主治医の診断書を用意している」から「3級として認定されて、最低保障額である年額60万円もらえる」と話していました。




しかしながら、障害年金は、『「これまでの」条件を満たすと支給される』ものではありません。

『「これからの生活のために必要性がある」からこそ、もらえるものなのです。





例えば、障害年金用の診断書には、いちばん最後に、医師が「今後の予後」を記入する欄があったりします。

これは、病状の変化について尋ねているものです。





話は変わりますが、過去の結果に基づき判断され、適用を受けるものがあります。

所得税の課税の際のように、終了した後、その実績に基づくものがそれです。




また、過去の数字等を参考にしつつも、今後1年間の収入見込として使用されるものがあります。

健康保険の被扶養者の「収入」もそれに当たります。
「今後1年間の収入見込み」で判断。 


社会保障の関係は、いろいろな政策による給付の所得について、この考え方によるものが多く見られます。



このように、必要なことは、『「過去、現在、未来」、どこを見るべきなのか?』ということです。

7.まとめ

「勤務実績がどのように評価されて、今後の収入見込はいったいどうなのか?」

「稼得保障の制度が必要であるのか、ないのか?」



このこと、障害年金の申請において、私は非常に大切であると考えています。

最後になりますが、

私は、「県庁時代における障害福祉業務に従事した経験、また我が子のために障害者団体の役員に従事した体験」から、

私と同じく、障害や難病を抱えるみなさん、あるいは、かつての私と同様に、障害を抱える子供さんをお持ちの、お父さんお母さんのお力になれればと存じます。



また、私は、「仕事や家庭等を失っても、また社会復帰することができること」、あるいは、「難病や障害を抱えていても、こうして働くことができること」を、

自分自身の姿を見せることで理解していただき、現在、障害や難病でお悩みのみなさんにも、どうか諦めずに頑張っていただければと存じます。

以上、『相談事例から考える~障害年金はこれから先の生活を考えて』についてでした。🙇

それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋

『「なぜなんだろう?」~考えることが大切!』
~制度の意味をよく理解することで、結果を変えられる~
2025年2月10日