『最近、多くなった初診日探しの旅~「3月は自殺対策強化月間」~ここが肝心!🙋~』
前回は、『最後のセーフティーネットとしての障害年金~「心の財第一なり~社会への恩返し」』について、お話ししました。😄
今回は、『最近、多くなった初診日探しの旅~「3月は自殺対策強化月間」~ここが肝心!🙋~』について、お話しします。🙇
みなさん、こんにちは。
私は、徳島障害年金サポートセンターで障害年金サポーターをしている、楠 昇と申します。
「自らが病気で障害年金をもらった社労士が、あなたの障害年金のお悩みを解決」をうたい文句とし、本業の障害年金専門社労士として、またNPO法人の代表として、現在、活動中です。
1.ここ最近、初診日がらみの相談が多くなりました。
ここ最近、契約をいただいた方も、またご相談いただいたばかりの方も、本当に初診日がらみの案件が多くなりました。
今から31年前だとか、7年経つかどうかのうちに初診の病院が廃院だとか・・。
障害年金の制度は、初診日を基準に制度設計がなされております。
このため、初診日が確定しないことには初診日要件はもちろんのこと、他の保険料納付要件、障害の程度要件など、さまさまな要件を満たすかどうかの判定さえもできなくなります。
2.初診日の確定とは?
初診日を確定が必要となるのは、原則、病院を転医された場合です。
たいていの場合、長期間におよび療養をされた方は、途中で病院を替わられているケースが多くなります。
病院を替わられることを「転医」といいます。
転医された場合、初診日の証明書(「受診状況等証明書」)が必要となります。
もしも、同じ病院であれば、初診日のことで悩まずにすみます。
それは、作成していただく診断書に、初診日が記載されてあるからです。
同じ病院の証明書ですから、その証明された内容は有効です。
反対に申せば、診断書には必ず初診日の欄があります。
そこに、転医されて来た方の場合、診断書に初診日の記載をしました。
「だったら、それでも良いじゃないか!」
違います。
別の病院での記録があることを、病院では「初診日は〇〇です」と証明できる権限がありません。
「〇〇と紹介状に書いてありました」等の内容しか、記載することができないのです。
そして、初診日の証明書が必要な場合、通われていた病院に対し、証明書の作成についてお願いすることが普通です。
このとき、病院では、医師はカルテを基にして、証明書の作成を行います。
医師は、医師法という法律に基づき、資格免許を与えられ、医師法に従ってお仕事をされています。
その医師法の中に、「医師は、診療した際には診療録を作成しなければならない」とする義務規定があります。
診療録とは、いわゆる「カルテ」のことです。
その次の条文に、「依頼があった場合、医師は診断書等を作成しなければならない」とした規定があるのです。
そういうことで、医師は医師法に基づき、医師としてのお仕事を実施し、また、医師法に従い、診断書等を作成されているというわけです。
初診日の件で必要となるもの、それはカルテの存在なんです。
例えば、通っていた病院の主治医が他の病院へかわっていた。
その際には、みなさん、初診日の証明書をどうされますか?
これもときどき、ご質問をいただくことがあります。
「次の病院へ先生を追いかけていって、書いてもらえば良いんですね?」
全然、違います!
カルテの保存義務は病院にあります。
追いかけていっても、元の主治医はカルテを持って、次の病院へ動かれたわけではありません。
ですから、カルテがなければ、追いかけて行っても無駄になる。
例えば、私は主治医を慕って、どこまでも追いかけて行くという方。
それも良いかもしれません。
私もそういうのが好きです。
でも、証明書は、その他の病院へ行かれた主治医には書いてもらえません。
それは、その医師の手元にはカルテがないからです。
そのようなことで、医師が変更されていても、元々の病院にて証明書を作成してもらうこととなるのです。
3.初診日探しの原因(その1)・・・「カルテの保存年限」
カルテの保存年限が決められております。
健康保険法に基づき、「5年間」と規定されているのです。
そのため、法的には5年を過ぎれば処分しても構わないこととなります。
ただし、現実には「〇〇から5年間」という規定がありません。
そこで、最近、大学病院で、12月には20年も前の証明を取得できました。
が、その翌月の1月には、
「7年間しかカルテがないので・・・」
と断られました。
私は、前月にはカルテが存在し、証明書をもらったことを主張して、
「5年間の前後に1年を足して、7年と言われているのではありませんか?」
と、担当者にかなり食い下がったのですが、途中で諦めざるを得なくなりました。
パワハラ?みたいな気がしてきて、その窓口の担当者には気の毒に思えたからです。
しかし、私は諦めたのではありません。
私は、依頼者の代理人として、きちんと業務を遂行していくべき義務がありますから。
証明書の作成は無理でしたが、7年間と言われた、今あると言われた全てのカルテの開示請求を行いました。
そして、それを糸口にして、その後、無事に解決へ向かうこととなりました。
ただ、この件も、それから調査をずっと続けたことは、言うまでもありません。
4.初診日探しの原因(その2)・・・「古くなった病院の立替工事」
カルテのことに話を戻します。
仮に、同じ病院であったとします。
何十年も通い続けてきた病院。
でも、長期間、通院を続けるうちに建物が古くなりました。
そのため、病院を立替工事をされることになりました。
別の建物を借りて仮移転をし、工事が終わるとまた移転を行う。
自宅の移転、いわゆる引っ越しの際に、みなさんはどうされますか?
「押し入れの整理をしたら、こんなにいっぱい物があった!」
そのたくさんの物を全て持って行かれますか?
必要な物と不要な物の選別を行い、不要品を処分されますよね?
そうした場合、持って行かれる物よりも、処分される物の方が多くなったりしませんか?
「ここぞ!」とばかりにみなさん、処分される方が多いと思います。
「引っ越しは、断捨離するのに絶好のチャンス!」
それと同じく、病院の立替の際にも、移転時には不要品を処分するのが通常です。
書類も同様です。
普段は多忙な業務のため、古くなった書類は倉庫へ保管。
移転の際には、倉庫から書類等を全て出してみて、その書類の多さにビックリ!
「古い分は処分しようか?」
自然とそうなりますよね?
移転を2回もするのですから、荷物は少ないほど良いわけです。
このようなことも関係してくると思われませんか?
5.初診日探しの原因(その3)・・・「病院の後継者不足による廃業」
それと、最近、増えている企業の廃業。
少子化の影響からか、事業の後継者不足に政府も頭を抱えております。
「黒字のくせに、なんで、廃業になったのか?」
大変はやっていた、私の御用達である、老舗の和菓子屋さんが廃業??。
このようなことが最近、多くなりました。
みんなに必要とされ、経営も黒字で心配ないけれども、跡継ぎがいないから廃業。
このこと、病院についても御同様のようです。
後継者不足から、廃業する病院も、ボツボツ見受けられるようになりました。
6.不思議な社労士事務所の存在
以上のように、初診日探しが必要な理由の原因のほとんどについては、カルテの有無にありました。
そして、そのことから必要となる「初診日探しの旅」は、とても気長に行くことを要求されるのです。
どれも複数の病院が相手のことなので、一つの病院が終わればその次の病院へ・・・と、時間をかけなければ、結果は出てこないのです。
この点は、料理の世界と同じことですね!
「料理の味は愛情の深さで決まる!」
ずっと昔、このようなCMがあったような気がします。
時間をかけてじっくり煮込まないと、美味しい料理はできない。
「初診日探しの旅」も、同じく、気長にコツコツ進めることが重要な作業なんです。
しかしながら、世の中には、1年間に100件も200件も、申請したと言われる社労士の方がおられます。
「なぜ、そんなことができるのか?」
このことが、私はとっても不思議です。
だって、みなさん、その社労士のされているお仕事について、「稼働日数を申請件数で割り算」してみてください。
1件の申請について、1日から1日半とかで行うこととなりませんか?
1日から1日半って、どんなことができますか?
ただ、提出されてきた書類をもとにいて、申請書類の作成代行するだけになってしまうのでは?
「私は、社長で忙しい身の上だから、金を払うからあんたがやるべきだろう?」
実際にこう言った徳島の社長さんがおられました。
年商数億円。
「社員がするから。」とご自分では何もしません。
でも、社長の前では一言も口をきかなかったその社員。
私とのことでは、イライラする口ぶりで、言うことを聞きません。
「もうこれ以上、ガタガタ言ってくることがないように、一度で必要なものを言ってください」
そんな楽な仕事をしていません。
あまりに言うことを聞かないので、私はもう辟易して契約書の内容に従い、お断りしました。
「契約履行ができません。会社は無関係。社長、あなたの個人のことだから、人任せではダメですよ!」
こう、一言?お話して、金も書類も速攻で送り届けました。
こんな人もたまにはおられます。
障害認定をもらうには、もらった書類を見ながら整理して、申請書類を作成していきます。
「あれ?こんなことがあったのか・・。なら、こんな書類とかってないのかな?」
こうして、依頼者に相談してみて、必要になると思う内容を証明できるものを集めていきます。
その結果が、ただ、認定率100%になっているに過ぎません。
「成功する確率を上げていくこと。」
「認定されるための確率を上げていくこと。」
そのことの積み重ねにより、結果がついてきているに過ぎないのです。
ですから、私には到底、無理な話です。
1日や2日では「初診日探しの旅」すらできません。
契約した際とは事情が異なり、結果、二転三転どころか、四転五転することもあります。
生な話ですが、当事務所では、1日当たりの事務所の必要経費が約5万円。
そこから計算していき、1日で申請できるのであれば、1日分の5万円しか報酬をいただかない。
これが「原価計算」です。
製造業では必ずされていることです。
「1個のお菓子を作るのに、どれだけコストが必要となるのか?」
通常の障害年金の申請に要する日数は、当事務所の場合、標準で約3日~4日。
なかにはもっとかかる場合もあります。
初診日探しのこともそのうちの1つです。
報酬が高くなる理由が、この手続きに対する「所要日数及びその間の事務所経費」のことからなのです。
ですから、初診日探しを引き受けると、通常の成功報酬ではほぼ費用倒れとなります。
いわゆる「赤字」です。
そればかり続けば当然、事務所は廃業しなければならなくなります。
ですが、昨年まで最低賃金が全国ワースト2位であった、私のいる徳島県。
それを知る私には、なかなか値上げすることはできない。
そもそも、障害年金の制度って、ほとんどは病気やけがにより、働けなくなった方が多い。
私もそうでしたから。
「私が生きているうちだけだから。」
そう考えながら、日々、仕事をしています。
9.まとめ
「カルテが置いてあるべきところにカルテがない」
そういう事情もあって、「カルテ探しの旅」を行うことが多くなりました。
もちろん、この初診日の件で、この徳島県の国会議員に一人の方が、昔、国会にて質問。
その後、初診日の証明ができない方へ、取り扱いが柔軟に改善されました。
そして、現在に至ります。
でも、一般の方、それも病気やけがで働けなくなった方たち。
ましてや、重い知的障害者の方、精神疾患の方にはごく普通の障害年金の申請すら、大変難しいものです。
そういう方たちのためにと思うからこそ、多少のことは目をつむって、
「廃業しなければましなのかな?」
そういう気持ちで、今日も明日も、障害年金のことと向かい合っております。
それは、障害認定をもらえた際の、依頼者の喜んでくれる顔や声。
それが、私に「また頑張れよ!」と励ましてくれるからです。
難病で余命宣告を、また、うつ病で自殺願望を。
「生きているだけで自分はみんなに迷惑をかけている」
そう思い続けて、私は約13年間以上を過ごして参りました。
でも、今は、一生懸命することで、他人の方から報酬をいただき、感謝の言葉まで、いただけるのです。
始めた際には、フラッシュバックと言って、一番悪かった頃を思い出すことがあまりにも辛かった。
「障害年金など絶対できるか!」と何度も思いました。
けれども、今は、「自分がしてきた辛かった体験が、同じ悩みを抱える方たちのお役に立つ。」
こんなこともあるんだなと、私は常々、不思議に思います。
そうして離婚となり家庭を失い、県庁を辞めることになり、13年間単身生活を過ごした。
余命宣告を受けて、人から誹謗中傷され、生きるだけでも迷惑な存在。
それが私でしたが、ようやく克服することができたのです。。。
毎年3月は「自殺対策強化月間」として、政府も尽力しています。
そう、この3月のことです。
私と同じく、難病や障害を抱えるみなさん。
どうか最後まで諦めないでください。
13年間、病気で苦しんできた私が、こうして自分自身の姿をお目にかけることで、ご理解ください。。
『朝が来ない夜はありません』
事務所名である「ライトハウス=灯台」と名付けた理由が、ここにあります。
徳島において、県庁において、もう悲しい出来事が二度と起こりませんように。
元県庁職員である私は、徳島県のみなさんを自分なりに、応援させていただきます。
最後になりますが、
私は、「県庁時代における障害福祉業務に従事した経験、また我が子のために障害者団体の役員に従事した体験」から、
私と同じく、障害や難病を抱えるみなさん、あるいは、かつての私と同様に、障害を抱える子供さんをお持ちの、お父さんお母さんのお力になれればと存じます。
また、私は、「仕事や家庭等を失っても、また社会復帰することができること」、あるいは、「難病や障害を抱えていても、こうして働くことができること」を、
自分自身の姿を見せることで理解していただき、現在、障害や難病でお悩みのみなさんにも、どうか諦めずに頑張っていただければと存じます。
以上、『最近、多くなった初診日探しの旅~「3月は自殺対策強化月間」~ここが肝心!🙋~』についてでした。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
