『精神疾患の不支給は前年比の2倍」の記事から~社労士の姿勢の違いかも~ここが肝心!🙋』
前回は、『報道から~「障害年金、不支給が増加か?24年の前年比は精神・発達は2倍」~ここが肝心!🙋』について、お話ししました。😄
今回は、『「精神疾患の不支給は前年比の2倍」の記事から~社労士の姿勢の違いかも~ここが肝心!🙋』について、お話しします。🙇
みなさん、こんにちは。
私は、徳島障害年金サポートセンターで障害年金サポーターをしている、楠 昇と申します。
「自らが病気で障害年金をもらった社労士が、あなたの障害年金のお悩みを解決」をうたい文句とし、本業の障害年金専門社労士として、またNPO法人の代表として、現在、活動中です。
1.前回の記事の後で考えました。
前回の記事の中で、私は独自に換算してみました。
障害年金の認定のうち、6割が精神疾患で、2割が身体障害だと耳にしていました。
だから、精神疾患の不支給が前年比の2倍、全体では1.6倍ということから、方程式を作ってみて、解いた次第です。
計算過程は、下記をご覧ください。
この後、しばらく、このことについて、ときどき考えていました。
※前回ブログに記載した計算過程の部分の記事
- 今回の共同通信の記事では、精神(発達障害を含む)は2倍、全障害で1.6倍となっている。
- ただ、従来の新規申請による裁定者の割合では、精神が全体の障害のうち、約6割強を占めている。
- 上記のことから、全体の新規申請による裁定者を「100」として換算してみる。全障害「100」について不支給は1.6倍
(➡「100×1.6=160」)。 - そのうちの「60」の精神について、不支給は2倍(➡「60×2=120」)。
- 残りの「40」である身体について、不支給はX倍とすると、『120+(40×X)=160』より「X=1倍」となる。
- 以上から、不支給の割合は、全障害で1.6倍。そのうち、精神は2倍。身体は1倍(前年と変わらず)ということになる。
- 結果、障害年金の不支給の程度は、前年比で全体では1.6倍。精神で2倍。身体は変わらず。

2.障害年金における精神疾患と身体障害との違い
身体障害は、レントゲン写真とか、心電図とか、いろいろな検査の結果等の「目に見える指標のようなもの」があります。
ところが、精神疾患は全く、そのようなものはありません。
全てが、医師の診断書と病歴・就労等状況等申立書等の、「障害年金の申請のために新たに作成した書類」となります。
この「障害年金の申請のために新たに作成した」ということも、確かに引っかかるところです。
が、私は今回の調査対象が、「社労士が申請を代行したもの」についてであることに、原因がありそうな気がしました。
※前回ブログに記載した「今回の調査のあらまし」の部分の記事
- 共同通信は今年1月、 障害年金の申請代行を専門に扱う社労士5人にデータの提供を依頼して、今回のサンプル調査を実施。
- 病気やけがで一定の障害がある人が受け取れる国の障害年金を巡り、支給を申請しても「障害が軽い」として不支給と判定されるケースが2024年以降、増えたとみられる。
- 23年と24年で計2千件超の申請を集計した結果、精神・発達障害では24年の不支給割合が23年比で2倍に増えていた。全ての障害種別でも1・6倍に増加。
- 社労士からは「明らかに判定が厳しくなった。以前なら受け取れたはずの人に支給されなくなり、生活に影響が出ている」との声が上がっている。
- 「判定が恣意的だ」との批判が以前からあるが、不支給が増えた理由は明らかにされていない。
- 障害年金の受給者は約236万人(23年3月末現在)。
- 判定機関である日本年金機構は取材に対し「審査方法などは変更しておらず、基準に基づき適正に判定している」と回答した。
判定結果などの統計は毎年9月に公表しているとして、不支給割合が増えているかどうかは答えなかった。 - 今回は、社労士が代行したデータからの調査結果によるもの。
- 社労士が代行せずに、一般の人が自分で申請しているケースを含めると、全体の不支給割合はもっと高くなるものとみられている。
3.ある東京都の社労士の方の場合
ある東京都の障害年金専門の社労士の方の体験談を、ZOOMにて拝聴したことがありました。
その方は、2年目で年間200件近い申請をして、それぞれの認定毎に事務手数料33,000円と成功報酬3.3ヶ月分をいただく成果を上げられたそうでした。
最初は私も素直に「すごいなあ」だったんです。
ところが、近頃、「どうやって?」と思うようになりました。
後半の金額は置いておき、年間200件近いって、どういうことか、みなさん、おわかりになりますか?
1年間=365日ですから、せめて、「1週間に1日の休日」を取ったとします。
すると、365日×6/7=312.857・・≒312日となり、1年間の稼働日数は312日です。
312日÷200件=1.56日
すなわち1.5日、「1日半で1件の申請を片付ける」こととなります。
その方も私と同じく、1人で開業している方でした。
そうすると、障害年金の申請ばかりが業務ではありません。
経理、集客、サイトの運営、物品の調達、書類の発送、対外的な事項、その他・・。
本業以外に、本当にいろいろとしなければならないことが、山積みなんです!
とすると、「せいぜい1日で1件できるのかなあ」って感じでは、と思うのです。
4.当事務所のやり方から
当事務所は、1件の申請に対する時間を、何もなければ、年金事務所の往復する時間も考慮して、3~4日と計算しています。
これは精神疾患の場合で、身体障害だと1日~2日ほど早くなります。
ところが、必ず何かあるんです!
初診日が30年以上とかは普通にあるし、込み入った内容のものとかの依頼が、とてもたくさん。
そうすると、上記の「3~4日」に+「1~2日」は余分にかかってきます。
「4~6日」かかることになります。
精神疾患の場合ですので、身体障害ならそこから「1~2日」を差引して、ちょうど「3~4日」ほど。
それくらい時間がかかることになっています。
そうして、はじめて、認定率100%をキープできている次第です。
5.私の書類作成上の考え方
よく耳にすることですが、「障害年金は医師の診断書で決まる」という言葉。
間違ってはいないようにも思えますけど、そうではないと私は思います。
『診断書は原則的なもの。病歴・就労等状況等申立書等のその他の書類は、診断書の記載内容を補完するもの。』
これが、私自身の考え方です。
・診断書の内容が現実の8割なら、その他の書類で残り2割を。
・診断書の内容がもし、現実の5割しかないのなら、その他の書類では残りの5割を補う必要がある。
・合計して10割に近づけることで、認定率を100%に限りなく、近づけることができる。
このことは、私自身の障害年金の申請の際に、実際にあったこと。
そして、後日、この仕事をやり始めてから、なぜ、認定されたのか、やっと理解することができた経験からです。
たった1行しか記載されていない診断書。
障害年金のことなど全く知らなかった私が、長い時間をかけて悪戦苦闘した末、2級に認定されたこと。
このことを私は常に思い出しながら、仕事をしています。
『客観的に証明を重ねていくことができるのなら、必ず認定にたどり着くことができる。』
6.社労士の仕事の取り組み方の違い
「障害年金は医師の診断書で決まる」という言葉。
それが本当なら、私は生活もできなかったし、難病のために、心臓弁膜症のために、今頃、こうして生きてはいないと思います。
ただ、そうでなかったからこそ、こうして自分の体験をベースに、粘りに粘って認定をもらおうと足掻いています。
しかし、「1日1件の申請」をするやり方で、どれほどのことができるのでしょうか?
年金事務所に、「保険料納付要件」の確認や、「年金制度の加入状況」の調査に行く時間。
他の案件を抜きにしても、1日では形式的な申請をすることしか、できないような気がします。
本当に最低限度、となるのではないかということです。
まさに、「医師の診断書で決まる」という言葉でしか、片付けようがない気がします。
6.まとめ~社労士としての姿勢
精神疾患は、レントゲン写真等の資料が一切ありません。
作成した書類、取得した書類が全てとなります。
几帳面になればなるほど、時間が必要になります。
当事務所では、1月に4~5件まで。
それ以上の依頼があっても、原則としてお受けしないこととしております。
『1つ1つの依頼を丁寧にこなしていくこと。』
昔、小学校の音楽の時間にで習った、「村の鍛冶屋」童謡「村の鍛冶屋」楽譜・歌詞・試聴(歌入り)
この歌詞にあるような、「プロの職人に私はなりたい」と思います。
「障害年金の職人だ」と、私は自分のことをそう思っています。
最後になりますが、
私は、「県庁時代における障害福祉業務に従事した経験、また我が子のために障害者団体の役員に従事した体験」から、
私と同じく、障害や難病を抱えるみなさん、あるいは、かつての私と同様に、障害を抱える子供さんをお持ちの、お父さんお母さんのお力になれればと存じます。
また、私は、「仕事や家庭等を失っても、また社会復帰することができること」、あるいは、「難病や障害を抱えていても、こうして働くことができること」を、
自分自身の姿を見せることで理解していただき、現在、障害や難病でお悩みのみなさんにも、どうか諦めずに頑張っていただければと存じます。
以上、『「精神疾患の不支給は前年比の2倍」の記事から~社労士の姿勢の違いかも~ここが肝心!🙋』についてでした。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
