『今回は障害年金の話じゃありません!~「精神疾患の医療費のこと」~ここが肝心!🙋~』
前回は、『安心して障害年金をもらうために~「自分で申請したいけど、確認だけ頼みたい」~ここが肝心!🙋~』について、お話ししました。😄
今回は、『今回は障害年金の話じゃありません!~「精神疾患の医療費のこと」~ここが肝心!🙋~』について、お話しします。🙇
みなさん、こんにちは。
私は、徳島障害年金サポートセンターで障害年金サポーターをしている、楠 昇と申します。
「自らが病気で障害年金をもらった社労士が、あなたの障害年金のお悩みを解決」をうたい文句とし、本業の障害年金専門社労士として、またNPO法人の代表として、現在、活動中です。
1.はじめに
今、私が驚いていることについて話したいと思います。
今日は障害年金のお話ではありません。
最近、驚いたことがありました。
うつ病やストレス性の精神疾患の方から相談を受け、ご契約をいただいた際に聞いた話です。
「医療費は何割支払われていますか?」と聞くと、「えっ!3割ですけど…」と驚かれました。
2.精神科受診の際の通院公費負担制度
前職である徳島県庁時代、従事していた仕事の中に「通院医療費公費負担制度」というものがありました。
現在は「自立支援医療制度」として整理され、当時と少し変わったところがありますが、基本的には変わっておりません。
この制度は、通院して精神科医療を受けた際に医療費が安くなる仕組みです。
所得によって認否や負担割合が異なりますが、だいたい認められて負担額は1割となります。
3.制度ができた背景
昔、精神疾患の患者さんは酷い扱いを受けることもありました。
精神科の門をくぐるには大きな心の葛藤がありました。
差別や偏見、誹謗中傷など、多くの障壁がありました。
当時は「心の風邪」と呼んで啓発運動を行っていたうつ病ですが、「心の風邪」と言っても普通の「風邪」とは異なり、「2、3日薬を飲めば良くなります」というものではありません。
治療が長期間に及ぶものがほとんどです。
そのようなことから、長期間に及ぶ治療となることから、3割負担では家計に与える影響が大きくなり、経済的な負担から途中で治療を断念する方が本当に多かったのです。
せっかく良くなってきていたのに、経済的な理由で治療を断念してしまい、しばらくしてまた悪化してから病院へ戻ってくる。
そういう状態であったのです。
4.医療費を軽減して治療を続けることができるように
せっかく精神科の門をくぐっても、経済的な理由から治療の継続が困難となり、中断を余儀なくされる。
増加傾向にあるうつ病等ストレス疾患の患者に対して、経済的な負担を軽減することが重要です。
また、精神疾患の患者に対する差別や誹謗中傷からの視線。そうしたことをクリアしなければ、精神科の門をくぐることができない。
そうした背景から、「通院医療費公費負担制度」ができたわけです。
私が従事していた頃、都道府県で申請手続きを行っていたこの制度は、平成14年から法律の定めにより、都道府県から市町村に権限委譲という形で、現在のように住所地の市町村の窓口で手続きを行うこととなりました。
私が県庁を退職して自宅療養を続けているうちに、「自立支援医療制度」と変更された次第です。
5.それから20年が過ぎて
私が携わっていた当時、ちょうど平成12、13年のこと。
市町村への権限移譲のため、市町村への業務の移行作業を行っていました。
まだ当時は、精神科へのイメージを払拭し、公費負担の制度を周知する必要がありました。
そのために、さまざまな取り組みが行われ、私も説明会を実施したり、精神科の病院にお話をして、厚生労働省のポスターを掲示するなど、周知に努めて参りました。
あれから20年以上の時が過ぎました。
私は自分自身も未だにうつ病の治療のことで、病院の先生やスタッフの方々にお世話になっています。
ですから、名前は変わっても、「通院医療費公費負担制度」そのものは、患者の皆さんが普通に利用されているものと、思っておりました。
ところが、20年以上も病院に通い続けていても、制度の利用どころか、制度が存在さえもご存じない方が、こんなにたくさんおられるとは…。
まさか、本当に思いも寄りませんでした。
6.障害年金の申請を相談してから、制度の存在を知る患者のみなさん
私のところへ障害年金の申請の相談にお見えになる方は、ほとんどの場合、傷病により仕事を続けられなくなった方がほとんどです。
そのため、経済的な不安を抱えておられます。
ですから、「存在さえ知らない方がいる」という事実。
このことを知ってからは、私の方から雑談として声をかけています。
「医療費の負担は?3割支払ったりしていませんか?」と。
そうして、制度のことを説明すると、ほとんどの方が言われるのです。
「そんな制度があるなんて、誰からも教えられなかった。」
「何ですか、それ?聴いたことがない!」と。
その後は、私の約30年近い「うつ病体験記」をお話しながら、雑談します。
障害者手帳を含め、地元の徳島市における障害福祉制度のことを説明。
そして、私自身の体験から「どのように制度を活用してきたのか」、お話をしております。
『制度と制度を組み合わせることで、こうした風に、私は利用していました。
働けず、収入がなくなってしまうことから、いろいろな制限がありますよね?
でも、こうして、こうやって、制度を利用することで、私は13年以上もどうにかやってこれたんです。
たった一人暮らしでも。』
ここで、大切なことは、障害福祉の制度による支援について1つ1つお話しても、ピンとこないことが多い。
でも、支援を組み合わせることで、さまざまな利用ができて、経済的な負担を少なくして、過ごすことが可能であるのです。
7.利用できる制度を活用して再起すること
私の話を聞きながら、感謝してくれる方。
最近では、片道1時間半をご家族のみで来られた方は、「今度、主人にその話をしてもらっても良いですか?」と遠慮がちに私に頼んで、お帰りになられました。
そのご家族の方は、サイトを見て来られても、本当に私の話が半信半疑だったそうです。
でも、私の話を聞いているうちに、「うちの主人もそうだ!あれもこれも当てはまる。」とか、「そう言ってはいけなかったんですね…」とか、いろいろと話をされていました。
でも、一番に興味津々だったのは、「いったい、何をどうやってそこまで良くなってきたのか?」ということです。
『難病で余命宣告を。
さらに、それでも県庁へ戻ろうと杖をついて歩く練習をしていたら、心臓弁膜症で毎晩、心停止が起きる。
そうして、退職して13年間をどうやってここまできたのだろう?』と。
こうした話を聞いているうちに、元気な方であるご家族から、「また主人と一緒にお聞かせください」と言われました。
ご家族にとっては、本当に大切な人に良くなっていただきたいと、いつも祈っておられるのです。
私のところへ障害年金の申請を相談にお見えになる方は、ほとんどの場合、傷病により仕事を続けられなくなった方がほとんどです。
そのため、経済的な不安を抱えておられます。
ですから、そのことよりも喜ばれていることは、私自身の「なぜそこまで良くなることができたのか?」という雑談の方だったりします。
仕事の腕とかではない…微妙な気がします。
8.まとめ~「朝が来ない夜はありません」~
私自身が辛かった体験から、希望を見いだす人たちがいる。
昨年夏に、徳島市内のよろず支援センターというところへ、経営相談に伺いました。温和な中小企業診断士の先生で、私の話を2時間ほど聞いてくれました。
そのうち、その先生が言われたことは、「そうか!それで楠さんはここまで良くなってこれたのか!」と。
先生が、その後、引き続いて私にお話しになったのは、稲盛和夫先生の「利他の精神」のことでした。
稲盛和夫先生は京セラの代表取締役や、航空会社の経営立て直しで大変有名な経営者です。
そのことをお話しして、その先生は、
「『起業して事業を続けながらも、病気を良くする方法がある』ということを楠さんの話から知り、稲盛和夫先生の言葉の意味するところが、なんとなく、理解できた気がしてきた。」
と、私に言われたのでした。
「自分だけが幸せになろうとしても、決してそれだけでは幸せになることはできない」という意味のお釈迦様の教えも、存在しています。
私は障害年金を通じて、また私のしんどい体験をお話する。
そのことによって、「これからどうしたら良いのか?」と迷路に入ったような気持ちの方の一助になれば、本当に嬉しく存じます。
そういう意味では、この仕事を選んで本当に良かったと思っております。
なぜなら、稲盛和夫先生のお話と同様、私も元気をいただけるなんです!
依頼者から感謝される言葉から、「私にもまだまだ居場所がこうしてあるんだ!」と思えること。
これが、うつ病の人にとっては一番大切なことです。
「自分は人様に迷惑ばかり、かけてしまって…もうこの世にいない方が良い…」
こう思われるのが普通です。
私もずっとそうでしたから。
だから、今、私と同じく難病や障害を抱えてお悩みのみなさん。
どうか諦めてはダメです!
いつかの日か、必ず朝日の光を目にすることもあるでしょう。
「朝が来ない夜はありません」~私はあなたの人生の航海における、灯台の灯火になりたい~こうした意味で名付けた事務所が「ライトハウス社会保険労務士事務所」です。
「ライトハウス」は「灯台」を意味します。
今日で終わりとなりますが、この3月は「自殺対策強化月間」。
厚生労働省をあげて、さまざまな取り組みが行われてきました。
みなさん、諦めないでください。
決して、「朝が来ない夜はありません」から。
最後になりますが、
私は、「県庁時代における障害福祉業務に従事した経験、また我が子のために障害者団体の役員に従事した体験」から、
私と同じく、障害や難病を抱えるみなさん、あるいは、かつての私と同様に、障害を抱える子供さんをお持ちの、お父さんお母さんのお力になれればと存じます。
また、私は、「仕事や家庭等を失っても、また社会復帰することができること」、あるいは、「難病や障害を抱えていても、こうして働くことができること」を、
自分自身の姿を見せることで理解していただき、現在、障害や難病でお悩みのみなさんにも、どうか諦めずに頑張っていただければと存じます。
以上、『今回は障害年金の話じゃありません!~「精神疾患の医療費のこと」~ここが肝心!🙋~』についてでした。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
