『「令和7年度における年金額の改定」について~ここが肝心!🙋~』
前回は、『今回は障害年金の話じゃありません!~「精神疾患の医療費のこと」~ここが肝心!🙋』について、お話ししました。😄
今回は、『「令和7年度における年金額の改定」について~ここが肝心!🙋~』について、お話しします🙇。
みなさん、こんにちは。
私は、徳島障害年金サポートセンターで障害年金サポーターをしている、楠 昇と申します。
「自らが病気で障害年金をもらった社労士が、あなたの障害年金のお悩みを解決」をうたい文句とし、本業の障害年金専門社労士として、またNPO法人の代表として、現在、活動中です。
1.令和7年度年金額改定
令和7年度の年金額は、令和6年度から1.9%引き上げされました。
この改定は、物価や賃金の変動に応じて毎年度行われるもので、具体的には以下のとおりです。
・国民年金(老齢基礎年金)
満額は月額69,308円(令和6年度は68,000円)。
・厚生年金
夫婦2人分の標準的な年金額は月額232,784円(令和6年度は228,372円)。
2.改定の理由
この1.9%の引上げは、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合に、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、名目手取り賃金変動率を用いて改定されるためです。
☆令和7年度の参考指標
・物価変動率:2.7%
・名目手取り賃金変動率:2.3%
・マクロ経済スライドによるスライド調整率:▲0.4%
これにより、令和7年度の年金額改定率は、
「名目手取り賃金変動率2.3%-マクロ経済スライド調整率0.4%=1.9%」
となりました。
3.法律に基づく改定
この改定は、法律の規定に基づき、令和6年度から1.9%の引き上げとなります。
改定は、令和7年4月分(6月13日支払分)から適用されます。
※在職老齢年金制度の変更
さらに、在職老齢年金制度の支給停止調整額も、令和7年4月より51万円に変更されました。
4.年金額の改定にかかる要因
年金額の改定は、物価や賃金の変動に応じ、毎年度行われる仕組みに基づいて、計算されています。
具体的には、以下の要因が考慮されます。
・物価変動率
前年の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の変動率を基にします。
・名目賃金変動率
2年度前から4年度前までの3年度平均の実質賃金変動率に、前年の物価変動率と3年度前の可処分所得割合変化率を乗じたものです。
・マクロ経済スライド
公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除します。
5.名目手取り賃金変動率の計算
名目手取り賃金変動率は、以下の計算式に基づいて算出されます。
☆名目手取り賃金変動率
=「前年の物価変動率」×「2年度前から4年度前までの3年度平均の実質賃金変動率」×「3年度前の可処分所得割合変化率」名目手取り賃金変動率
=「前年の物価変動率」×「2年度前から4年度前までの3年度平均の実質賃金変動率」×「3年度前の可処分所得割合変化率」
具体的な例として、令和6年度の名目手取り賃金変動率の計算を見てみましょう。
・前年(令和5年)の物価変動率 3.2%(1.032)
・3年度平均(令和2~4年度)の実質賃金変動率 ▲0.1%(0.999)
・3年度前(令和3年)の可処分所得割合変化率 0.0%(1)
これらの値を乗じると、
1.032×0.999×1≈1.0311.032×0.999×1≈1.031
つまり、令和6年度の名目手取り賃金変動率は、3.1%となります。
6.マクロ経済スライドによる調整の具体的な計算方法
マクロ経済スライドによる調整の具体的な計算方法は、以下のとおりです。
a.スライド調整率の計算
スライド調整率は、「公的年金制度の被保険者数の減少率」と「平均余命の伸び等を考慮した一定率(0.3%程度)」を、合計したものです。
☆スライド調整率
=「公的年金制度の被保険者数の減少率」+「平均余命の伸び等を考慮した一定率(0.3%程度)」スライド調整率
=「公的年金制度の被保険者数の減少率」+「平均余命の伸び等を考慮した一定率(0.3%程度)」
例えば、令和6年度のスライド調整率は、以下のように計算されました。
・公的年金制度の被保険者数の減少率:▲0.1%
・平均余命の伸び等を考慮した一定率:▲0.3%
したがって、令和6年度のスライド調整率は、
☆スライド調整率
=▲0.1%+▲0.3%
=▲0.4%スライド調整率
=▲0.1%+▲0.3%
=▲0.4%
7.年金改定率の計算
年金改定率は、物価変動率や賃金変動率から、スライド調整率を差し引くことで、決定されます。
☆年金改定率
=「物価変動率」または「賃金変動率」−「スライド調整率」年金改定率
=「物価変動率」または「賃金変動率」−「スライド調整率」
例えば、令和6年度の年金改定率は、以下のように計算されました。
・物価変動率 3.1%
・スライド調整率 ▲0.4%
したがって、令和6年度の年金改定率は、
☆年金改定率
=3.1%−0.4%
=2.7%年金改定率
=3.1%−0.4%
=2.7%
8.障害年金との関係
令和7年度の障害年金は、前年度から1.9%の引き上げが決定されました。
これにより、障害年金の支給額は、以下のとおりとなります。
・障害基礎年金1級 月額86,635円
・障害基礎年金2級 月額69,308円
・障害厚生年金3級の最低保証額 年額623,800円(月額約51,983円)
これらは、令和6年度と比較して1.9%の増額となっています。
9.まとめ
令和7年度の年金額改定は、物価や賃金の変動を反映し、現役世代の負担能力に配慮した形で行われています。
改定後の年金額は、令和7年4月分から適用され、障害年金も同様に引き上げられます。
最後になりますが、
私は、「県庁時代における障害福祉業務に従事した経験、また我が子のために障害者団体の役員に従事した体験」から、
私と同じく、障害や難病を抱えるみなさん、あるいは、かつての私と同様に、障害を抱える子供さんをお持ちの、お父さんお母さんのお力になれればと存じます。
また、私は、「仕事や家庭等を失っても、また社会復帰することができること」、あるいは、「難病や障害を抱えていても、こうして働くことができること」を、
自分自身の姿を見せることで理解していただき、現在、障害や難病でお悩みのみなさんにも、どうか諦めずに頑張っていただければと存じます。
以上、『「令和7年度における年金額の改定」について~ここが肝心!🙋~』についてでした。🙇
それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋
