Q.障害年金とは?
A.障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
なお、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
また、障害年金を受け取るには、年金の納付状況などの条件が設けられています。
Q.障害年金はいくらもらえますか?
A.障害年金は、一般的に障害基礎年金と障害厚生年金があります。
まず、障害基礎年金の年金額は、次の通りです。(令和5年4月分から)
1級 993,750円+子の加算額※
2級 795,000円+子の加算額※
子の加算額とは、その方に生計を維持されている子がいるときに加算されるものです。
子の加算額
2人まで 1人につき228,700円
3人目以降 1人につき76,200円
なお、子とは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子を指します。
次に、障害厚生年金についてです。
障害厚生年金の年金額は次の通りです。(令和5年4月分から)
1級 報酬比例の年金額× 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕※
2級 報酬比例の年金額+ 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕※
3級 報酬比例の年金額( 最低保障額 596,300円)
※配偶者加給年金額とは、その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
報酬比例の年金額の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、
300月とみなして計算します。
また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。
Q.障害年金をもらえない人とは?
A.障害年金をもらうことができる人は次に該当する人です。
そのため、それ以外の方はもらえないこととなります。
1.障害基礎年金の受給要件
次の①から③のすべての要件を満たしているときは、障害基礎年金が支給されます。
①障害の原因となった病気やけがの初診日が次のいずれかの間にあること。
・国民年金加入期間
・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
②障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める1級または2級に該当していること。
③初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。
2.障害厚生年金
次の①~③のすべての要件を満たしているときは障害厚生年金が支給されます。
①厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日があること。
②障害の状態が、認定日に、障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当していること。
ただし、障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害厚生年金を受け取ることができる場合があります。
③初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
Q.障害年金の申請、請求は?
A.1.障害基礎年金の請求について
障害の状態に該当した時期に応じ、次の2つの請求方法があります。
①障害認定日による請求
障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日の翌月分から)年金を受給できます。
なお、請求書は障害認定日以降、いつでも提出できますが、遡及して受けられる年金は、時効により、5年分が限度です。
②事後重症による請求
障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後症状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときには請求日の翌月から障害年金を受給できます。
ただし、請求書は65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。
なお、請求した日の翌月分から受け取りとなるため、請求が遅くなると年金の受給開始時期が遅くなります。
2.障害厚生年金の請求について
障害の状態に該当した時期に応じ、次の2つの請求方法があります。
①障害認定日による請求
障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から年金を受給できます。
なお、請求書は障害認定日以降、いつでも請求できますが、遡及して受けられる年金は、時効により、5年分が限度です。
②事後重症による請求
障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後症状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときには請求日の翌月から障害年金を受給できます。
ただし、請求書は65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。
なお、請求した日の翌月分から受け取りとなるため、請求が遅くなると年金の受給開始時期が遅くなります。
Q.精神疾患でも障害年金はもらえますか?
A.障害年金は、年金加入中の病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて請求することができます。
障害年金の対象となる病気やケガは、手足の障害などの外部障害のほか、精神障害やがん、糖尿病などの内部障害も対象になります。
精神障害である次の疾患についても、請求することができます。
統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
Q.障害年金のメリット、デメリットは?
A.
次の通り、おおまかに整理しましたが、結論から言えば、障害年金を受給することのメリットが、デメリットを大きく上回ります。
1.メリット
①経済的に安定するので治療に専念しやすくなること。
障害厚生年金の3級だと最低でも月額約48,000円、障害基礎年金は2級で月額約65,000円、1級で月額約81,000円の年金が受給できます。
また、障害厚生年金の方は2級以上の場合、月額で約4万〜9万円を上乗せした年金を受けることができます。
このように、障害年金の受給が実現すれば、経済的に安定する可能性があることが、最大のメリットと考えられます。
②.国民年金保険料の支払いが法定免除になること。
1級または2級を受給すると、国民年金の支払いは免除となります。
法定免除期間は半額を支払ったとみなして計算されますので、将来受け取る老齢基礎年金にも半額反映されます。
③障害年金は非課税所得であること。
税金がかかりません。
④使用用途に制限がないこと。
生活保護との比較し、受け取った年金の使い道は自由です。
2.デメリット
①法定免除を申請した場合、65歳以降に支給される老齢基礎年金が低額になること。
1級又は2級の障害年金を受給されている方は国民年金保険料の法定免除を受けることができます。
国民年金保険料が免除になると、当然免除を受けた期間に対応する老齢基礎年金の金額が保険料を全額納付した場合と比べて半分になります。
したがって、法定免除を受けた場合、65歳から支給される老齢年金が低額になります。
ただし、法定免除の対象であっても任意で保険料を納付することもできます。
②生活保護との調整があること。
生活保護費は、憲法にある最低限度の生活保障に基づいて支給されるものです。
したがって、生活保護費を超える収入があれば支給はされず、また収入額が生活保護費よりも少なければその差額分のみが生活保護費として支給されます。
また、障害年金の遡及請求が認められた場合、最大で5年分の障害年金が支給されますが、この場合には、その期間に支給されていた生活保護費を返納となります。
このように障害年金と生活保護は調整される関係にあり、重複して受け取ることはできません。
③傷病手当金との調整があること。
健康保険加入時に初診日がある場合、健康保険法から傷病により仕事ができない時の所得補償制度として「傷病手当金」が支給されます。
原則、同じ傷病において一人の人に対して所得補償制度が重複して支給されることはないので、調整されることになります。
ただし、初診日が国民年金であって障害基礎年金の受給と傷病手当金は同一傷病であっても調整されません。
④死亡一時金・寡婦年金がもらえないこと。
老齢基礎年金の保険料納付要件を満たす方が65歳前に老齢基礎年金を受けることなく死亡した場合には、一定の要件を満たす遺族に対して死亡一時金や寡婦年金(※)という遺族給付が支給されます。
しかし、障害基礎年金を受け取っている方が65歳前にご自身の老齢基礎年金を受け取る前に死亡した場合は、寡婦年金や死亡一時金は支給されません。
⑤社会保険の扶養から外れる可能性があること。
一般的な人の場合、収入が130万円以上になると世帯主の社会保険の扶養から外れてしまいますが、障害年金を受給している場合は、この上限が180万円になります。
障害年金は税法上では非課税ですが、社会保険の扶養判定時には収入とみなされます。
障害年金と他の収入が180万円以上になる場合は扶養から外れ、健康保険と国民年金の保険料を自分で負担する必要があります。
⑥配偶者の加給年金が貰えないこと。
加給年金の対象となっている配偶者が障害年金をもらっている期間は、加給年金は支給されません。
Q.確定申告は必要?
A.非課税所得なので原則、不要です。
Q.所得制限は?
A.障害年金は年金保険料を納めていることを前提とした制度のため、所得による制限はありません。家族の収入も無関係です。
ただし、次の2つの場合については、年金保険料を納めていなくても障害の程度が該当すれば受けることができるものであるため、本人の所得による制限があります。
①20歳になる前に、障害の原因となる病気やケガで初めて病院に行った日(初診日)があり、その初診日に厚生年金に加入していない場合。(知的障害など先天性障害も含まれます)
②特別障害給付金を受ける場合。
(特別障害給付金は、国民年金が強制加入ではない時代に、初診日に任意加入していなかったことで障害年金の対象とならない方のための救済制度です)
☆具体的な所得制限の内容
・前年の所得額が4,621,000円を超える場合は年金の全額が支給停止。
・前年の所得額が3,604,000円を超え4,621,000円以下の場合は年金の2分の1額が支給停止。
Q.働いていてももらえる?
A.働くことができて報酬の高い方は、障害年金を受給する程度の障害状態にないとみなされ、障害年金の申請が通らなかったり、更新時に支給停止になったりすることがあります。
「収入がいくら以上だと支給停止になる」という明確な基準はありません。
しかし、障害厚生年金3級の基準について「労働に著しい制限がかかる状態」とされていることから、フルタイムの一般雇用で働くことができ、健常者と同程度の報酬を得ている場合は、3級にも該当しないケースが多いのが現状です。
つまり、病気やけがをする前のように、通常通りに労働することができない場合には、障害厚生年金3級を受け取ることができる可能性があります。
Q.更新手続きが必要?
A.うつ病のように、症状がずっと固定せず、改善して良くなったり、反対に悪くなったりする場合には、一定の期間ごとに主治医の診断書を添えて、更新の手続きを必要とします。