特別編

『「2025年障害年金制度改正の詳解~公的資料から読み解く現状とこれから」~ここが肝心!🙋』

みなさん、こんにちは。

私は、徳島障害年金サポートセンターで障害年金サポーターをしている、楠 昇と申します。

「自らが病気で障害年金をもらった社労士が、あなたの障害年金のお悩みを解決」をうたい文句とし、本業の障害年金専門社労士として、またNPO法人の代表として、日々、活動を続けています。

あらためて、みなさん、こんにちは。

徳島障害年金サポートセンターの楠 昇です。



前回は、『障害年金と地方の見えにくい壁 ~「胆道閉鎖症・肝移植」家族の声から考える現実と制度の課題~ここが肝心!🙋』について、お伝えしました。



今回は、『「2025年障害年金制度改正の詳解~公的資料から読み解く現状とこれから」~ここが肝心!🙋』。

「2025年の障害年金制度改正」について、厚生労働省・年金部会資料等から最新の情報とポイントをわかりやすくまとめてみました。

障害年金を専門としている立場から見ると、今回の年金法改正の中で特に大切だと感じているのは、記事の最後に書いた『6.付帯決議・運用見直しの補足』の部分です。

実は、この内容は、今春から大きく取り上げられている障害年金の不支給問題にもつながっているのではないか、と当事務所では考えています。

1.障害年金の「保険料納付要件」とは(仕組みと重要性)

障害年金は、障害等級などの医学的要件だけでなく、“保険料納付要件”という社会保険制度上のハードルを満たさないと、請求できない仕組みです。



【原則】被保険者期間(国民年金・厚生年金加入期間)のうち、「初診日(障害原因の病気やけがの治療開始日)のある月の前々月までの期間」の3分の2以上、保険料を納付、または免除されていることが必要です。

例:年金未納期間がある場合、保険料納付済み・免除期間の合計が、3分の2以上で申請可能となります。



【注意】会社員時代は保険料が給与から自動天引きですが、自営業者・主婦・学生の場合は自分で納付する必要があるため、未納になりやすいです。

【特例】障害原因となった「初診日」が65歳未満のときに限り3分の2要件を満たさない場合でも、「初診日前々月までの直近1年間に未納がなければ」障害年金請求が可能という救済措置があります(これを“直近1年要件”特例と呼びます)。



この納付要件が満たされていないと、どれほど重い障害でも障害年金の受給は認められません。

そのため、申請前には自身の納付記録をしっかり確認しておくことがとても重要です.

2.直近1年要件の延長(2025年改正のポイント)

2025年制度改正の最大の目玉は、この「直近1年要件」を2036年3月末まで10年延長することが公的に決定された点です。



この特例は1985年から導入され、約10年ごとに延長されてきましたが、生活保護世帯・非正規雇用・納付が途切れがちな方の申請救済措置として機能しています。

今回の改正では、「初診日が2036年3月31日以前」であれば、3分の2要件が満たせない場合でも“直近1年間に未納がなければ障害年金申請可”となります。



部会議事録や厚労省発表でも「特例の重要性と、受給者への安定した支援継続の必要性」が再三強調されています。

■この特例の救済意義と注意点

特例は、経済的に厳しい方の申請機会確保のため、制度設計の“セーフティネット”となっています。

逆に、「保険料未納の方の救済」に制度の不公平性を指摘する声もあるため、今後は“実態調査による制度設計の見直し”が部会でも求められています。



申請者は、自身の納付記録を日本年金機構の「ねんきんネット」や年金事務所で随時チェックし、直近1年間の納付状況を確実に押さえておきましょう。

3.障害厚生年金の受給範囲拡大—公平性向上を目指す議論

現行制度では「初診日に厚生年金被保険者であること」が絶対条件ですが、退職直後・長期納付者への不公平(生じている不支給)が部会で重点課題となっています。



「延長保護」案(資格喪失後の一定期間でも受給可)・「長期要件」案(納付済期間が長い方へ救済)なが審議中。

・特に、「初診日」による厳格な不支給を改める方向で、厚労省・部会が意見集約を続けています。

・2025年改正には盛り込まれませんでしたが、2030年代に向けた法改正の最重要テーマです。



今後、改正法案提出がある場合には、部会の公式資料や厚生労働省情報を定期的にチェックしましょう。

4.申請・認定の最新事情

精神障害・内部障害の、認定基準明確化診断書の様式改定

申請手続きデジタル化・利便性アップ

社会背景の変化に即した制度運用の見直しも進行。


今後も年金部会議事録や厚労省発信に注目し、最新の運用情報を把握することが重要です。

5.制度改正の背景—現場からの声・生活者視点

・障害年金が本当に必要な人に届かない現実や、会社員長期勤続でありながら受給不可となるケースは社会的課題。

「初診日」制限等で不支給事案が増加し、認定基準の見直し・公平性向上が繰り返し部会で指摘されています。

障害年金が“生活再建”のための土台として、時代とともに柔軟な設計へと求められています。

障害年金制度は救済と公平性を両立した設計へ改正が進んでいます。

納付記録の確認、申請前相談、制度変更点へのキャッチアップを継続することが安心につながります。

6.付帯決議・運用見直しの補足

今回の年金法改正等に関連して、国会付帯決議や今後の制度運用の見直しポイントも公的に明記されています。


障害年金の審査・認定については、不透明さや地域差の是正、実情を反映した判定方法への見直しが今後さらに進む方向です。

初診日の微妙な違いによる受給可否の不公平解消や、長期的に厚生年金を納めていた方の「救済範囲の拡大」も、今後の検討・議論の焦点と位置づけられています。

現在は就労中(就労継続支援B型など)でも実情をしっかり考慮し、一律に認定から外さず個別状況を踏まえた判定が強く求められています。

精神障害・内部障害の認定基準や判定理由の透明性も引き上げられつつあり、「無年金リスクの緩和」「公正な救済」の方向性が打ち出されています。

「救済の拡充」と「公平性の向上」を両立するため、付帯決議等を受けた運用や関連制度改正の動向も、これから随時チェックが必要です。

最後になりますが、

私は、県庁時代の障害福祉業務や親として障害児団体に関わった経験を活かし、

「障害や難病を抱えていても社会で再び活躍できる」

その可能性を自分自身の生き様でお伝えしていきたいと考えています。



たとえ病気や障害で多くを失っても、人は再び立ち上がれます。

何もしなければ失敗もありませんが、成功も絶対にあり得ません。



私の経験が、悩みながらも挑戦し続けるみなさんの一歩につながれば幸いです。

以上、『「2025年障害年金制度改正の詳解~公的資料から読み解く現状とこれから」~ここが肝心!🙋』について、お話ししました。🙇

それではみなさま、来週また月曜日にお会いしましょう。🙋

『救済と公平性を両立した設計へ』
~障害年金は“生活再建”のための土台~
2025年9月22日