5年間受診していない期間があるので社会的治癒に当てはまるのでは?と精神疾患の男性から

2歳の時に気分の浮き沈みが激しくなり、初めて精神科を受診。

その時は特に診断名はなく、抗うつ薬を処方されただけで、その後調子が良くなったので1回の受診で終わり。

それから5年ほど経って、またイライラや気力低下があり、別の精神科を受診して気分変調症、広汎性発達障害と診断された。

「現在も3年くらい通院を続けているのですが、就職ができないので主治医から障害年金の申請を勧められています。

私の場合、5年間受診していない期間があるので社会的治癒に当てはまるようなのですが、遡及請求を行ってもよいのでしょうか?」

☆社会的治癒とは

初診日から、長期間医療機関にかかることなく、社会復帰していた場合は、社会的治癒が認められ、再発後に病院にかかった日が初診日と認められる場合も。



(厚生労働省の通知等による)

社会的治癒とは、医療を行なう必要がなくなって社会復帰していることをいう。


ただし、一般社会における労働に従事している場合であっても薬治下又は治療所内にいるときは社会的治癒とは認められない。

起因する疾病があっても社会的治癒が認められる場合は、その後に初めて医師の診断を受けた日を初診日とする。

具体的には、以下の要件をすべて満たした場合は、社会的治癒と認められ、新たに発症したものとして取り扱われる。

1.症状が固定し、医療を行なう必要がなくなったこと


2.長期にわたり自覚的にも他覚的にも病変や異常が認められないこと


3.一定期間、普通に生活又は就労していること

どれくらいの期間それが続いていれば社会的治癒が認められるのかは、病気の性質などによっても異なる。

裁決例によると、「少なくとも5年以上の期間が必要ではないか」と言われている。

気分変調症の認定基準➡気分障害(うつ病)の認定基準による

この社会的治癒については、請求人が主張し、保険者が認めるか否かを判断するものとなっている。

主張した社会的治癒が必ずしも認められるとは限らない。

5年間受診していない期間があっても、社会的治癒が認められない場合もある。
 
社会的治癒が認められた場合は、現在の病院を初めて受診した日が初診日となり、障害認定日の時点でも受診をしていたことにより遡及請求は可能と思われる。

ただし、社会的治癒が認められず、以前に受診した日が初診日とされた場合は、障害認定日の時点では受診していないことにより、遡及請求は困難。

なお、現在も継続して通院し、気分変調症と広汎性発達障害の診断をされているとのことから、事後重症請求は可能。

2023/12/1