耳(聴覚)の障害の認定基準
感音声難聴、突発性難聴、神経症難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、毒物中毒による内耳障害など耳(聴覚)の障害の認定基準
耳の障害は、純音による聴力レベル値(純音聴力レベル値)および、語音による聴力検査値(語音明瞭度)により1級~3級が決まります。
聴覚の障害についての認定基準は、次のようになっています。(実際の認定基準をもとに、分かりやすく加筆修正しています。)
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | ・両耳の純音聴力レベルが100デシベル以上のもの |
2級 | ・両耳の純音聴力レベルが90デシベル以上のもの ・両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ最良語音明瞭度が30%以下のもの |
3級 | ・両耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上のもの ・両耳の平均純音聴力レベル値が50デシベル以上で、かつ最良語音明瞭度が50%以下のもの |
障害手当金 | ・一耳の平均純音聴力レベル値が80デジベル以上のもので、症状が固定しているもの (症状が固定していなければ3級) |
認定要領
1.聴覚の障害による障害の程度は、純音聴力レベル値と語音明瞭度によって認定します。
ただし、純音聴力レベル値が90デシベル以上の場合は、純音聴力レベル値だけで2級以上となるため最良語音明瞭度の評価は不要です。
2.聴覚の障害により障害年金を受給していない者に対し、1級に該当する診断を行う場合には、
オージオメータによる検査に加えて、聴性脳幹反応検査等の他党的聴力検査、又はそれに相当する検査を実施し、
その結果(実施した検査方法及び検査所見)を診断書に記載の上、記録データのコピー等を添付します。
3.聴力レベルのデシベル値は、話声域である周波数500、1000、2000ヘルツにおける純音の各デジベル値をa,b,cとして、次の式に当てはめて算出します。平均鈍音聴力レベル値=(a+2b+c)÷4
なお、この式から算出された値が境界値に近い場合は、周波数4000ヘルツの音に対する純音聴力レベル値をdとして、次の式による値を参考とします。
平均鈍音聴力レベル値=(a+2b+2c+d)÷6
4.最良語音明瞭度は、以下のように算出します。
a.検査は、録音機またはマイク付オージオメータ(JIS規格又はこれに準ずる標準オージオメータ)により、
通常の会話の強さで発生し、オージオメータの音量を適当に強めたり、弱めたりして最も適した状態で行う。
b.検査語は、語音弁別能力測定用語音集により、2~3秒に1語の割合で発生し、語音明瞭度を検査する。
c.語音聴力表は、「57s式語表」または「67s式語表」とする。
d.語音明瞭度は、次の式により算出し、語音明瞭度の最も高い値を最良語音明瞭度(語音弁別能)とする。語音明瞭度=(正答語音数÷検査語数)×100 (%)
認定における留意点
1.聴覚の障害における検査は、人工内耳や補聴器などを使用しない状態で測定した検査値を用います。
2.両耳の聴力(両耳の平均純音聴力レベル値)とは、左右それぞれの聴力が両耳ともに認定基準に該当していることを指します。
両耳の聴力の平均値ではありません。
3.先天性の聴覚障害により音声言語の表出に障害がある場合や、中途聴覚障害により発音に障害がある場合、併合認定の対象になります。
診断書には、音声又は言語機能の障害の欄も記入してもらいましょう。
4.内耳の傷病による障害と平衡機能の障害が併存している場合も、併合認定の対象になります。
診断書には、平衡機能の障害の欄も記入してもらいましょう。
対象となる疾病例
感音性難聴、突発性難聴、混合性難聴、耳硬化症、聴神経腫瘍、髄膜炎、頭部外傷などによる内耳障害
補足
聴力レベルは、原則として両耳とも上記デシベル以上であることが必要です。
※片方の耳のみ聴力レベルが該当しても原則として障害年金の対象外です。ただし、例外もあります。
※聴力の障害と平衡機能障害とは併存することがありますが、この場合は併合認定されます。
少しでも該当するのではと思われたのなら、ぜひ専門家にご相談になることをお勧めいたします。
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