社会的治癒について

社会的治癒とは?

社会的治癒とは、いったん症状が軽快したあとに以前と同じ疾患が再び生じても、社会生活を行うのに問題なく過ごせていた期間が一定以上あれば、治癒したと見なし、再発した後の症状は別だとする考え方のことです。

この「治癒」は医学的な視点から治癒してるというものではなく、社会保険上の視点から判断されるものとなっています。

法 理

社会保険の運用上、傷病が医学的には治癒に至っていない場合でも、予防的医療を除き、その傷病について医療を行う必要がなくなり、相当の期間、通常の勤務に服している場合には、「社会的治癒」を認め、治癒と同様に扱い、再度新たな傷病を発病したものとして取り扱うことが許されるものとされており、当審査会もこれを是認している
平成26年(厚)第892号 平成27年9月30日裁決

社会的治癒が認められる条件とは?

通院・服薬をしていなかったからといって、即、社会的治癒の援用がが認められるわけではありません。

社会的治癒だと判断されるには、以下のような条件を満たす必要があります。

1.病気などの治療を行う必要がない状態になったこと

社会的治癒だと判断されるには、病気などの治療を行う必要がない状態になったことを証明する必要があります。

医学的な治療を行わずに、安定した社会生活を送ることのできる状況下にいる場合でも、医療機関に通院しておらず、薬物治療もしていない状態が続いていることが証明できないと社会的治癒は適用されません。

ただ、病気などの経過観察や予防に関するケアを医師の判断のもとで行っている場合は、社会的治癒と認められるケースもあると言われています。

2.一定期間、社会生活を問題なく行っていたこと

就労していたり、家事などがスムーズに行われており、社会生活に支障をきたさない状態が一定期間続いている場合も、社会的治癒が認められます。

また、外見上において自身も他者も、病気などが回復したと見て取れる状態であることもポイントです。

さらに、社会的治癒は、上記の状態がおおむね5年以上続いていることで認められます。

病気などによっては、5年未満でも可能とされるケースもありますが、精神疾患の場合は病態に波があることから、短い期間での例はあまりありません。

社会的治癒を証明することにおけるメリット

社会的治癒を証明するためには書類などの提出を必要とし、時間も要するため、デメリット面ばかりを感じる方もいることでしょう。

しかし、個人の状態によっては、障害年金を申請する際に、大きなメリットとなることも多いのです。


1.初診日に年金保険料の支払いが十分でなかった場合

以前の病気などの初診時に、国民年金保険料を納めていなかったり、支払いが不十分だった場合は、障害年金を申請することができないケースがあります。

なぜなら、障害年金を申請するには、国民年金などの社会保険料を一定額以上支払っていることが要件となっているからです。

しかし、社会的治癒が認められれば、以前の病気と再発後の病気は別のものと捉えられるので、再発後の初診日が適用されます。その際に、年金保険料の支払い要件を満たしていれば、スムーズに障害年金の申請をすることが可能です。

2.初診日には国民年金だったが、社会的治癒後に厚生年金に加入している場合

障害年金には、障害基礎年金、障害厚生年金及び障害共済年金があります。

障害基礎年金は初診日に国民年金加入者が対象となりますが、障害厚生年金は、厚生年金加入者が受給の対象です。

原則的に、障害厚生年金は障害基礎年金よりも受給額が高くなります。

そのため、以前の病気などの時点では国民年金加入だったために障害基礎年金受給の対象となっていたとしても、再発後に厚生年金加入に変化していた場合は、社会的治癒を証明することで、再発後を初診日とすることができますので、障害厚生年金を受給できる可能性が開けます。

社会的治癒の証明が困難なケースも存在する

社会的治癒を証明できれば、メリットが多い結果になる方が増えるのは事実ですが、個人の状態によっては、その証明が難しい場合もあります。

例えば、専業主婦や主夫の方は、就労していた事実がないこともあり、どこを基準に社会的治癒の状態にあったかを示すことに、時間を要するケースが考えられるからです。

社会的治癒とは、「第三者から見ても寛解していたと推察できる状態」がポイントとなるため、家事ができ、日常生活を送ることに支障がなかったということを、明確に医師に伝え、理解してもらうことが大切です。

社会的治癒を援用する4つの場面

障害年金を請求する際、もっとも大切なことは初診日をはっきりさせることです。

なぜなら、初診日を基点として以下の4つが決まるからです。

1.納付要件の確認
2.請求する制度(基礎年金・厚生年金)の決定
3.障害の程度を定める障害認定日(原則、初診日の1年6ヵ月後)
4.障害厚生年金の基本額を増額したい


精神疾患の初診日は、原則として病名を問わず、メンタル不調で初めて医療機関を受診した日ですが、社会的治癒の仕組みを使えば、請求上の初診日を動かすことができる場合があります。

ただし、自力で書類を揃えたり、医師と協力しながら進めて行くのは、大変な労力が伴います。

さらに、せっかく書類などを提出しても、社会的治癒が認められない結果となることも否めません。

このような一連の作業は複雑になる可能性も高いため、少しでもストレスなく手続きをするためには、社会保険労務士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

2024年6月7日
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