障害者雇用をお考えの方・障害者雇用枠で働いている方へ

現在、障害者雇用をお考えの方は障害年金をもらえる可能性があります。

(平成30年4月24日東京地裁判決から)
軽度の知的障害を持つ男性が、障害基礎年金2級を受給していたところ、働いていることを理由として支給停止とされました。

この男性は、アスペルガー症候群による障害のために本来なら働くことはできなかったところ、父親の知人の紹介で障害者雇用で単純作業を割り当てられ、8年以上勤務して年収は約250万円でした。

裁判では、「日常生活能力の判定」の7つの項目及び就労状況について、その援助の必要性の度合いを検討することで進められました。

その結果、『社会性やコミュニケーション能力が乏しく、また、不適応な行動が見られることをあげられ、「日常生活への適応にあたって援助が必要なもの」という障害認定基準の2級の例示に該当する』として、障害年金の支給停止の決定の取り消しを命じられることとなりました。

当初、支給停止の決定をした国は、次のような決定をしました。
『認定基準の発達障害の個別基準には、
「社会的行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う」

また、2級の例示としては、
「発達障害があり社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの」
とされており、

通常は、障害等級の認定にあたっては、「日常生活」とは「労働に従事すること等の社会内における様々な他人との複雑な人間関係の中での社会的活動よりも狭い範囲の活動」を示すものとし、

具体的には、主には家庭内で行う行動(食事、入浴、家事等)や比較的単純な対人関係を伴う活動(買い物、通院等)を指すものとされている。

以上のような「活動範囲を大幅に超える広い活動範囲の中で営まれていたものである」』


ところが、判決では、
『これらは「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状」についての例示であって、必ずしも「発達障害を含む精神の障害」について想定したものとはいえない』として、国の決定を否定し、

『認定基準は「発達障害について個別に基準」を設け、「日常生活能力等の判定」に当たっては、「社会的な適応性の程度において判断するもの」であり、「労働に従事したことをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えるべきではない」としている。』
としていることから、


『発達障害について、障害等級2級に相当する場合として「活動の範囲がおおむね家屋内に限定されるものではない」と解すべき』

とされたわけです。



「身体」の場合にはその障害のことから「家屋内に限定」とされる活動範囲により判断されている。

が、「精神」の場合には「家屋内」という場所に限定されるのではなく、「社会への適応の程度」によって判断されるべきであること。

また、上記の場合においても、『ただ「働いていること」から「日常生活能力が向上したもの」と捉えるべきではない』として発達障害の個別基準を示されています。

安直に、「働いている=能力アップ=障害等級には該当しない」ということではない。

という意味合いを含められた判決でした。


このように障害者雇用の方は障害年金を受け取れる可能性があります!

もし、障害者雇用をお考え、あるいはすでに障害者雇用枠で働いている方で、障害年金を受け取っていない方はご相談ください。